早朝は独特なにおいがする
鼻腔の奥がツンとする
乾燥が目を刺激する
この感覚はなにかに似ている
そのせいで誰かを思い出す
遠くに人影が見える
知らない人に違いない
なのにどこかで期待する
イヤホンから流れるノイズ
少し音量を下げる
そうしたらどうだろう
鳥の鳴き声がした
結局すれ違ったのは
思い出した誰かではなかった
それでもこの早朝に
同じ道を歩く人だった
いつか思い出すだろうか
今日すれ違った人のこと
忘れえぬ人 忘れえぬ人
そんな誰かにいつか僕も──
-.
国木田独歩「忘れえぬ人々」
高校時代に現代文で読んだなあ。
こちらから青空文庫で読めます。よければぜひ。
-.