8月の読書まとめ
とりあえず、8月の読書まとめです。我ながらきもちのわるい読書感想文だなと思う。なんでこんなに自分の文章はきもちわるいのか。
感想書かなかったものもある。それは類似書籍を読みたくて買った本たち。哲学者の本や経済の本はたとえ話が知りたくて買うけれど、わかりやすさを求めるとオリジナリティのあるたとえ話は難しいのだなと思った。
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文鳥・夢十夜 夏目 漱石著
夏目漱石の描写は巧みだなと思いながらも、文鳥は自分勝手さに苦笑した。全ての描写が上手だから主人公の行動も気持ちも理解できてしまう。だから余計に身勝手さを自分に重ね合わせて嫌な気持ちになる。 文鳥は夢十夜のあとに読んだので、この話には何か理論性があるのかもと、足りない頭で文鳥観察日記のからその心理を考えたい思ったけれど、上手くいかなかった。何故かふとヘーゲルのミネルバのフクロウの話が浮かんだ。現象があってから理論を考えるというのが当たり前だけれど、考えなくてもいい現象→理論もあると自分を納得させてしまった。
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眠れないほどおもしろい哲学の本: もう一歩「前向き」に生きるヒント 富増 章成著
タイトルの「眠れないほどおもしろい」は言い過ぎだと思うけれど、何度も読んでいます。はじめて読んだときは哲学の歴史がわかる本なんだという単純な認識だったけれど、二度目に後ろの章の現代哲学から読み直したら、これはすごい本だなと思いました。哲学の本って内容があっち行ったりこっち行ったりで掴みにくいけれど、この本ではわかりやすく絞ってその人の主張を書いてくれている。だからその人の主張が納得性の高いものなら、原著や研究者の本を読んでみようと思える。哲学入門には素晴らしい本です。
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ワンダフル・ワールド 村上 由佳著
この小説には香りの表現が多く出てくる。『失われた時を求めて』の中でマドレーヌを紅茶に浸したときの香りで幼少期を想い出すことをプルースト効果というらしいのだけれど、この本は逆で、香りを想像させる文章から、脳が勝手にそれにふさわしい香りを選び出してくる。だから読んでいて更にのめりこめるのかもしれない。私はその中でも「サンサーラ」の骨董店の香りが好きだ。それは、麝香のような沈香のような深い森や苔や土を連想させる香りというもの。それに、不安定なものが絶対的安心感に行き着くストーリーに心惹かれた。
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ポケットに名言を 寺山 修司著
松本隆氏を特集した番組をみて、この本のことを思い出して再び読むことにした。松本隆氏の作詞した南佳孝氏のParadisoを初めて聞いたときに、雷に打たれたような衝撃があった。「俺が抱きお前が抱く 一瞬の永遠」素晴らしいメロディと歌詞。同じように衝撃を受けた言葉がこの本にも載っていたなと関連した記憶が蘇った。『希望はすこぶる噓つきであるが、とにかくわれわれを楽しい小道を経て、人生の終りまで連れていってくれる。 ラ・ロシュフコォ伯爵「道徳的反省」』この本で紹介されているこの言葉も私の中で相当の衝撃だったのだ。
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落花流水 山本 文緒著
タイトルの「落花流水」内容はまさにこれ。
落ちた花が水に従って流れる意で、ゆく春の景色。転じて、物事の衰えゆくことのたとえ。時がむなしく過ぎ去るたとえ。別離のたとえ。また、男女の気持ちが互いに通じ合い、相思相愛の状態にあること。落ちた花びらは流水に浮かびたい。流水は花びらを浮かべて流れたいという気持ちがある。すなわち男女が互いに慕い合い、愛し合うこと(=相思相愛)。
引用Wikipedia
惹き込まれて一気に読んだ。連作短編で誰が主人公になるのかを読み始めで推測するワクワク感も堪らなかった。山本文緒さん凄い。
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恋愛中毒 山本 文緒著
主人公は地味なもっさりとした印象の女性。どこか浮世離れした人生を諦めているような彼女に感情移入してから、『ダメだよそっち行ったらダメ』、『えっ元から?』って、読んでいる私の感情が彼女の狂気に振り回されていくので、大変おもしろかった。山本文緒さんの表現力の素晴らしさなのか、ストーリー構成が巧みさなのか、素人の私にはよくわからないけど、場面は脳内に浮かぶし描き出される感情は私もどこかで持っているもので、ぐいぐい引き込まれる。すっかりはまってしまった。山本文緒さんの本はこれで2冊目。
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堕落論 坂口 安吾著
人生の節目節目でこの堕落論をテーマにした講演と出会う。本来は戦後の世の中に思いを馳せるもの。でも私がそのたびに思い浮かべるのは掃除のことだ。「秩序だったものは、その後は堕落するしかない」だから掃除は完璧に仕上げたと思ったところから崩れていく。それは悪いことではなくて、崩れていく(堕落や怠惰)こと負けを認めてそこに希望を見出さないと。アポロ的な秩序だったものが理想だけど、人間はディオニソス的なものと表裏一体で完璧に整ったまま維持はできない、これが人間なんだなと思う。でも坂口安吾はそんなことは書いてない。
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盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識 トキオ・ナレッジ著
世の中には行動経済学による罠が張り巡らされている。例えば無料相談、ポイント制など人がお得と感じるものはだいたい危ない。でも結局は罠に嵌ろうが罠を避けようがその個人の満足度が高ければいいのではないかとも思った。損しないことを選択するだけが人生じゃない。 ただ、集団志向の罠は考えていくべきだと思う。まさにコロナ禍で判断することが多岐にわたる現在の日本が陥っている。各所で集団志向の罠が蔓延っていて合理的な判断が下せないでいるのではないか。政府も会社も学校も家庭もオリンピックも…。
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