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手は届かなくても、心でつながれたら(はじめまして)

3カ国15都市での暮らし、異業種キャリア……自分の心がYESと言うことを追い続けてきた人生には、様々な挫折や最初の夫の死という苦難もありました。人生の深い霧の中で立ちつくした時に助けてくれたのは、マインドフルネスを通して自分の内に宿る叡智とつながること、そして自然の力による癒しです。これまでの自分のプライベートな体験やマインドフルネス講師・認定ライフコーチとしての知識や経験から得た学び、日々の生活で心に響いたことなどを、noteの場を借りて皆さんとシェアしていきたいと思っています。今回初めての記事では、自分の人生で一番迷っていた頃を振り返り、それがどのように私の現在の活動へつながって行ったかを、簡略にお話しします。

20代の深い霧

都心へ向かう通勤電車はギュウギュウ詰めで、立ったままうたた寝しても倒れるスペースすらない。車窓から見えたのは、乗客の頭や肩、立ち並ぶビルの輪郭で切り取られ、無くなってしまいそうな空。「この生活から抜けださなきゃ......できるだけ早く」

25才でアメリカに住む夢を実現させたものの、異国暮らしの興奮が冷めた後に待っていたのは、言語の厚い壁、恋愛の破綻、勤めている会社の分裂、ビザ問題、家族との断絶などの、厳しい現実でした。自分の意思ではどうにもならないことが相次いで起こり、それまでには経験しなかった痛みに心が苛まれていました。

日中は仕事で気を紛らわせ、夜は一人スイーツを食べたり、ソファでワインを飲みながら眠りに落ちるまで面白くもないテレビを見続ける、鬱々とした日々を送っていました。

アメリカに留まって生活を変えるのか、日本に戻って一からやり直すのか、考えようとする気力も、混乱した思考を整理する明瞭さも、新しい方向へ一歩踏み出す勇気も持てず、甘いものやお酒、ショッピングなどへ「逃避」すのるが精一杯。しかし、それはその場限りの慰めにしか過ぎず、抜け道のない迷路に陥ったような、無力感や虚しさに襲われていました。

やがて勤めていた会社が倒産したのを機に日本に戻りましたが、ロサンゼルスの企業で3年働いた後では日本の職場環境にうまく馴染めず、かといってアメリカに戻ることもできず「どこに向かえばいいかわからず立ち尽くす」状態が続きました。大学院進学のためアメリカに戻ることを決めるまでは、いつになっても晴れない霧の中で、ただもがいているような感じでした。

50代の深い霧

夫の遺灰を海に撒きながら、私はこれまでの自分という存在も海中へと消えていくのを感じていた。すべてが終わった......でも私の身体はまだこうして脈打ち、今日は明日へと続いていく。これからどうやって、生きていけばいいのだろう。

20年連れ添った夫であり、大親友であり、一番の理解者であり、困難と共に立ち向かった戦友でもあった人の死は、私を底のない悲しみへと突き落としました。「悲しいと感じる時間がないほど、忙しくすればいいよ」と友達は言いましたが、それは救いにならないと、わかっていました。

多忙、仕事、お酒、甘いものやショッピングへの「逃避」は、一時的に心の痛みを忘れさせても、癒しにはならないと、20代の経験から学んでいたのです。

夫の死は、彼に寄り添って生きてきた、自分自身の死でもありました。

とても居心地の良かった家や、やりがいがあったアーユルヴェーダ (自然5元素の調和に基づくインド医学)・ライフカウンセラーの仕事など、それまで充実していると思っていた生活に突然違和感を覚え、自分はどこに住んで、何をして、どこへ向かって生きていきたいのか、わからなくなってしまいました。

深い霧が、再び私を包んでいました。

しかし、30になって瞑想とマインドフルネスの実践を始め、人に教えるようにもなっていた私には、この苦難を乗り越えるための、別のアプローチがありました。

それは、悲しみや孤独などの辛い感情と向き合い、それをありのままに認めて表現することです。そして、夫との思い出や将来に対する不安へ思考が揺れ動くたび、「今」という瞬間に戻ること(マインドフルネス) でした。

もがいて霧から逃げ出そうとするのではなく、デイヴィッド・ワゴナーの「Lost(迷う)」という詩にあるように、霧の中で静かに「たたずんで、森に自分を見つけてもらう」ことにしたのです。それは、人生に対する私の信頼を表したアプローチでした。「晴れない霧はない」のですから。

「悲しいと感じる暇がないほど忙しくする」代わりに、自然の中で静かに過ごす時間を多く持つことで傷ついた心が癒され、新しい人生を歩き始める力やヒントを得ることができました。登る朝日と共に一日を始め、日中には木々や、渡る風や、鳥の声に耳を傾け、沈む夕日と夜空に光る様々な形の月を見上げて一日を終える......そんな些細なことの繰り返しが、冷え冷えとした心を暖め、孤独の渇きを潤してくれました。

やがて、少しづつ、少しづつ霧が薄らぎ、一本の道が見えてきました。

......そして今


「かつての自分と同じように、霧の中で迷っている人たちの力になりたい、喜びと平穏に満ちた生活を送る手助けをしたい」という願いから、アメリカのテキサス州を拠点として、マインドフルネスの指導とライフコーチングに取り組んでいます。

マインドフルネス クラスといえば、8週間のマインドフルネス ストレス低減法 (MBSR) が定番ですが、受講料が高い、クラス時間(1回2.5時間 x 8回 + 1日リトリート)や自宅での練習時間(毎日45分)にコミットできない、等の理由で、気軽に参加できない人が多い現状です。

そこで私は、自分のマインドフルネス指導経験とMBSRコース修了体験を生かして、より取組みやすい6週間のマインドフルネス コース(Reduce Stress with Mindfulness)を制作、経済的に余裕がない人でも受講できるよう、テキサス州の市自治体と提携して参加費無料で提供しています。

また、現在のライフ・パートナーと共に運営している、テキサス州丘陵地帯のリトリートハウスやオンラインで、マインドフルネスやライフコーチングの個人セッションや小グループクラスを開催しています。

これまでは移住先のアメリカと、約10年に渡って暮らしたバリ島での活動が主でしたが、最近になり「生まれ育った日本への恩返しとして、日本の皆様のためになることをしたい」という願いが強まりました。

そこで日本人向けサービスとして、現在5カ国語で提供され、世界中で6500人が修了したパルース・マインドフルネス(8週間の無料オンラインMBSRコース)の日本語版制作を思いつき、6名の日本人当コース修了生の協力を得て、一年前より翻訳作業に取り組んでいます(2024年末までに日本語版完成予定)。

さらには、noteへの投稿を通して一人でも多くの読者の方とつながり、ほんの少しでもいいのでお役に立てれば幸いです。

過去の主な実績

マインドフルネス
・米国テキサス、フロリダ、アーカンソー州の市自治体の出資により、公立図書館、美術館、レクリエーションセンターなど多数の公共施設にて、マインドフルネス 、マインドフルアート、マインドフルヨガのクラス(4−6週間コース及び単発のワークショップ)を教える。

・テキサス州都オースティン市のプログラムとして、Creative Mindfulness Summer Campを企画、運営、指導。8週間に渡り100人の児童にマインドフルネスを教える。

・オースティン市職員を対象に「職場で実践するマインドフルネス 」クラスを教える。​

・2018年よりテキサス州でライフパートナーと個人リトリート施設運営。また同施設にてマインドフルネス、瞑想、マインドフルアートやマインドフルヨガを教える。

・バリ島のAnand Krishna AshramとThe Yoga Barnで瞑想を教える他、グローバルな年次イベント、Bali Spirit FestivalとInternational Bali Meditators’ Festivalでも教える。

ライフコーチング
・認定ライフコーチ(詳細はこちら)として、個人セッションとグループクラス(4週間コースと単発のワークショップ)を、自ら運営するリトリートハウス、公共施設、オンラインにて開催。

Noteでシェアしていきたいこと


以下のことを皆さんと分かち合いたいと思っています。

  • マインドフルネスを日常生活に取り入れる工夫

  • 喜びと安らぎに満ちた生活を送るためのヒント

  • 自分の求めるものを明確にし、それを手にいれるためのアプローチ

  • 自然を生活に取り入れて心身のバランスをとることの勧め

ご興味があれば、ぜひ読んでみてください。またnote上でお会いできたら嬉しいです。

お問い合わせ

info@surapsari.com
https://www.surapsari.com/ja
YouTube: Mindful Living with Sari

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