2人とも好きだったんでしょ?それでいいんじゃない?
別居生活も108日目(煩悩の数か)
カジュアルに母と娘で「家族観」や「夫婦観」について語り合う。
そんな一風変わった2人暮らしが続いている今日この頃。
またしても、達観している愛娘から言われた一言が心に刺さった。
◇ 最初の夫:娘の生物学的父親(=先代)
最初の夫、娘にとっては生物学的な父親。
今の夫と区別するため、前回の夫を『先代』と呼ぶことにする。
先代との結婚生活は、2年にも及ばず終了。娘が1歳7か月の時に離婚した。それ以来、現在に至るまで、先代とは一度も会っていない。
娘には『先代』の記憶が全くない。
一度目の離婚については記事にしている。離婚理由は先代の不倫。
1歳7か月までを先代と一緒に過ごしたわけだけど、その時間といえば、子どもがめまぐるしく成長する時間。毎日違う表情、新しい表情を見せてくれる。
初めての寝返り、初めてのお座り、初めてのチュルチュル(麺類)、初めてのお箸、初めてのおさんぽ、初めてのスイカと水着……この『初めての○○シリーズ』連続の毎日だもの。たくさんの写真が残っている。
2002年当時、デジカメも持ってはいたけど、写真はデータではなく現像して残していた。当然、先代と一緒に写っている写真がたくさんあった。
不倫発覚時、私と娘は、バタバタと必死こいて実家に引き上げてきたが、実はその当時の記憶があまりない。
だけど、実家に戻って荷物の整理をした際に、先代と写っているたくさんの写真を、ビリビリに破って捨てたことはうっすらと覚えている。
怒りに駆られて、というよりかは「無」になった延長として、また「無」でいられるための手段として、無心に写真を捨てたんだと思われる。
それでも数枚、先代がバッチリ写っている写真が今でも残っている。
決して未練とかではない。
生物学的な父親の顔くらいは娘に教えてあげなければならない時が、いつか訪れると思ったからだ。
思春期になって、「なんで離婚したの?」とか「本当のお父さんに会いたい」などと言われることもあるかもしれない、そう思って取っておいた。
(実際、娘からこのような質問を受けたことはなかった。質問ではなく、小学校2年生のある日突然、「本当のお父さんと電話で話をさせてほしい」っていうド直球な申し出を受けたことを思い出す……)
娘が知っている先代は、今も残るその数枚の写真の中の彼。
くちゃくちゃな笑顔だったり、デレデレな笑顔で幸せそうに娘を抱いて写っている姿だけ。
◇ 現在の夫:娘の戸籍上の父(=二代目)
現在別居中の夫であるが、結婚当初、娘と養子縁組の手続きをし、戸籍上もちゃんとした親子関係になっている。(今回は夫を『二代目』と称する)
娘が5歳の頃から、二代目は娘の世界に登場し、存在し続けてきた。
だから彼女の中で、リアルな父親はこの二代目ということになる。
彼女と二代目の関係は良好だった。(勝手に過去形にしているけど、今でも2人は良好な関係)
結婚して2年が経った初冬の頃、一泊で温泉旅館に泊まりに行ったことがある。(あの頃はまだ家族でお出かけもしていた)
その時、お世話をしてくれた仲居さんから
「お嬢ちゃんはお父さん似だね〜」
と言われた。
照れながらも嬉しそうに、めちゃくちゃ笑顔になる娘を見て、幸せ気分になったことを思い出した。(あの時の照れっぷりはたまらん可愛かった‼︎)
血のつながりはないのに「似ている」と言われたことを、娘も二代目もとても嬉しそうにしていた。(二代目もニヤニヤ)
でも、何を隠そう、いちばん嬉しかったのは間違いなくこの私だ。
2人は親子になれた。私たちは家族になれた。
仲居さんからの一言、そして2人のリアクション……再婚した幸せを実感した。嬉しすぎる出来事だったことを今でも忘れない。
娘にとっては2人とも父親
先代も二代目も、娘にとって、父親に変わりない。
どちらかというと二代目のほうが、彼女に多大なる影響を与えた存在。
もちろん互いに大好きだろうし、娘は二代目を尊敬もしていて、将来バージンロードを一緒に歩く、この先もずっと父親でいてくれる、そう思っていたはずである。
二代目との結婚が破綻に終わるとなると、せっかくできた父親をまたしても彼女から奪うことになる……その点がどうしても離婚に踏み出せない理由なのかもしれない。
「母はなんで父と離婚しないの?」
何でもズバズバ聞いてくるインタビュアーの娘。
この質問に対し、先代のことも含めた「父親」っていう存在について、私の思いを素直に打ち明けてみた。
すると、娘からオトナな返答。
「別に父は父だよ。離婚したとしても、父は父だよ。現に、本当のお父さんとだって離婚してるじゃん。でもお父さんはお父さんでしょう?」
「どっちも(先代も二代目も)母が本気で好きになった人でしょう?2人とも、結婚するほど好きだった。でも一緒には生きられなかった。それでいいんじゃない?」
う、ううっ。そ、そうですね。(ぐうの音も出ない)
バツイチ母子家庭、シングルマザーの呪縛
*再婚したからには今度こそ、幸せな家庭を作らなくては。
*何が何でも、みんなで幸せな家族にならなくては。
*絶対に父親にいてもらわなければ。
私はひとりで勝手に、この恐ろしい呪縛にかかり続けていた。
そして、この呪縛を解けずにいるのは、
妻であり母である私だけなのかもしれない。
またしても娘に教えられた。子どもに教えられた。
(離婚する、しない)どっちでもいいけど、母が幸せなのが一番だよ。
「2人で居たって楽しいじゃん」
そう言って、彼女は買ってきた夏休み版のじゃらんとるるぶのページをめくり、新たなステージの夏の思い出作りの場所を探す。
娘よ、あなたは私の守り神ですか⁉︎(もはや神々しさしかない)
そばにいてくれて良かった。
この神的な娘を授けてくれた先代、私と一緒に育ててくれた二代目に感謝。