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本田翼と全裸で相撲取って勝ちたい

友人・佐藤と、「将来どうなりたいか」についてよく話す。
働き方や恋愛など具体的な計画を立てることもあれば、漠然としたくだらない話をすることもある。
その日のテーマは「将来誰に勝ちたいか」だった。
そもそもどんな勝負なのか、何を持ってして勝ちなのか、明確な定義づけはない。
だが漠然と、「ジジイやババアになった時、全裸で相撲取って勝ちたいよな」というのが2人の総意だった。
私も佐藤もファッションが好きだ。おそらく一般的にはかなり気を使っている部類に入ると思う。
それでも、最終的に人間としての格好良さ、強さを決めるのはそれら全てを剥ぎ取った時にどう光れるか、だ。
全裸で相撲を取って勝ちたい。それも、圧勝で。
誰に勝ちたいか、真剣に考えた。終電間際のマクドナルド。
バーガーを食べ終わり、マックポテトに辿り着いたタイミングで佐藤は千葉雄大に、私は本田翼に勝つということで決着。
なぜ本田翼なのか。
めちゃくちゃ美人で、格好良い雰囲気もあって、モードな服も似合っちゃって、それでもクラスの男子が「バッサー可愛すぎ!」と騒いでいたら、どこか冷ややかな目で見てしまう。
憧れと嫉妬のちょうど狭間に存在する美女。
それが本田翼なのだ。

2人とも「このままいけばギリギリ勝てる」と勝機を見出し、どこか誇らしげな顔で解散した。

それが昨年秋の話。
昨年末、鏡に映ったお風呂上がりの自分の姿を見て愕然とした。
脳内の自分とは違う、理想とはかけ離れただらしのないシルエット。
これがイラストなら、きっと作者はこれでもかと悪意を込めて書いただろうと思う中年女性がそこにいた。
おい、これで本田翼に勝てるのか?
恥ずかしかった。

年明けからマシンピラティスを始めた。
マシンに寝転んで優雅に身体を伸ばす……そんなイメージとは裏腹に、小さな動きでも過度な負荷がかかるように設計されたゴリゴリの筋トレだった。
週1で通っているので、ずっと筋肉痛だ。
せっかく運動をしたのだから、と食事にも少しずつ気を使うようになってきた。
これなら勝てる。今年の夏頃にはギリギリ勝てるくらいまで持ち直せるのではないか?
そこではた、と気づいた。
私は本田翼の何も知らない。勝負に勝つにはまずは敵を知ることからだと言うのに。
初めて本田翼のインスタグラムを見てみることにした。

本田翼、ピラティスやってた。2023年から。

立派なババアになって、本田翼に勝ちたい。
全裸で相撲を取って、圧勝したい。






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