人生のエッセンス
学生の頃、敷地内に売店があった。
そこに行ってアイスクリームを買うのが
僕たちの気晴らしのひとつだった。
売店のおばちゃんとのたわいのない
やりとりもなんだかんだで楽しみの
ひとつだったように思う。たまに女の子も
来ていたのでそれも目的のひとつであった。
ある日、その当時よく入荷されて
いたアイスクリンというアイスが無くなって
いた。アイスクリンないんですか?と尋ねる
と入荷が遅れているらしい。2,3日待って
と言われしぶしぶ帰った。それから毎日
顔を出して、まだ?と確認した。それを
3日間しょっちゅう顔を出す僕に呆れたの
だろう。おばちゃんはある時僕に一枚の
メッセージを手渡してくれた。
「待つことは人間を成長させる最高の
エッセンス!に違いないっ!」
僕は返す言葉もなく、思わず笑い
お互いげらげらと笑い合った。思えば
当時は笑うことが多かった。そして
なんとか「待つ」ことにした。
しばらくしてもうすっかり忘れていた頃
別のおばちゃんから「おー、アイス
入ったよー」と言われ、そうだそうだ
と買った記憶がある。物に対する執着
は薄いが、食べることに対する執念は
どうやらまあまあ強めである。
最近そのことをよく思い出す。待つこと。
僕たちはどうやらずいぶん待たされる。
いつになったら売れるのか、
パートナーはいつ出来るだろうか、
スーパーマーケットの行列、高速道路、
道中の渋滞、病院、その他もろもろと。
ある意味ひとつの教訓として、どんな
偉人の格言よりも僕の奥深くにささって
離れないことばのひとつだ。たしかに
どうせ待つなら、いやいや待つより、
あるいはイライラしながら待つより
楽しみながら待てる人でありたいと思う。
モテる人もいいが、マテる人も結構いい。
待つ最中、本を読むのもいい。あるいは
お気に入りのラジオを聴くのもいいだろう。
イベントに参加するもよし、新しい料理に
挑戦するのもいいかもしれない。
何が言いたいかというと、、
忘れることだ。その待ってる「ナニカ」を。
忘れた方がいい。あれ、おれ待ってたっけ?
位になるまで忘れる。ということまでも
忘れられたら理想だ。
そうしたら気がついたらやってきてる
んじゃないでしょうか。あなたの隣に、
そのナニカは。