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時雨

これから時雨んなあ、ふとクライアントのおばあちゃんはそう言った。僕たちは玄関先の縁側のようなところに座り、ぼんやりと剪定後の松の木を見上げ、煎茶を飲んで一服していた。

時雨れる・・・とは何ですか?僕が彼女に尋ねると、僕の上司は、うそやん、時雨るってわからへんの、と言うのだけれど、まったくこころあたりがない。

どうも冬の肌寒い時に少しだけ降る雨のことを時雨る、というみたいです。おばあちゃんは99歳で笑顔いっぱいで元気な方だ。接していて思わずこちらの方が元気をもらえる。

近所の方がおばあちゃんから柿をもらって帰りしなに、あつかましゅうに、すんませんなあ、おおきにおおきにと言っている。なんとなく京の風景っぽい。

雨が降るとすこしだけうれしくなる。時雨る感じはちょっとこたえるけど、雨が好きだ。小学生の頃、我が家ではゲーム類は禁止で、雨の日だけはゲームをしてもよいという条約を結んでいた。

なので小学生の頃は雨の日を待ちに待った。その頃ゲームボーイというのがあった。とくにポケットモンスターのピカ版、レッド版、ドラクエのテリーとワンダーランドというソフトにはかなりハマったなあ。なつかしい。ちょっとわかる人にしかわからないネタで申し訳ないのだけれど・・・もう今はゲームをすることはもうないけれども。

そういえば、むかしの人は雨にいろいろな名前をつけた。四季折々の雨にどうも名前がついてるそうで、最近本屋でそのような雨の本を見ました。今度買ってみよう。

絵で言えば、広重の浮世絵に出てくる雨の絵が好きだ。wikipediaで調べたところどうも東京の隅田川が舞台で「大はしあたけの夕立」というそうです。

ちなみにこ広重の「大はしあたけの夕立」の浮世絵のゴッホ版があるのをご存知ですか?アダチ版画さんのブログで紹介されているのでもしよければリンク貼っておきます。アダチ版画さんのブログ情報によるとこのゴッホ版浮世絵はアムステルダムにあるヴァン・ゴッホ美術館所蔵だそうです。

と、話があっちこっち行ってしまいましたが、雨に名前をつけるってなんとなくいいと思いませんか?せわしなくスピーディーな今日だからこそ、少しゆっくりと縁側のほとりであたたかいお茶でも飲みながらお気に入りの名前で雨の名を呼んでみるのもたまにはありなのかもしれません。


◇参考url

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