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Photo by
soeji
物盗られ妄想の始まりと現在
化粧品の減りが早いと私を疑い、物忘れ外来でMCIと診断された母。
「今の時点では何もする事はない、何か困ることがあったらその時にまた来て下さい」と言われてから約二年後、突然【物盗られ妄想】が始まりました。
初めは庭のコスモス。
枯れた花の部分を自分で折ったことを忘れ、「(家族ではない)誰かが折った」と思い込み、その鉢を玄関や家の中に隠す。
そのこと自体を忘れるから「(家族ではない)誰かが家に入ってくる!」
そこからはもう何でもかんでも疑うように…
何年も前からあった廊下の傷や壁紙の剥がれも「誰かがいたずらした!警察呼ばないと!」
自分で畳んだ洋服さえ「畳み方が違う!」
自分の部屋が狙われてると思い込み、ドアに細工して開かないようにしたり、使っていない部屋に布団を敷いて寝ていたこともありました。
この頃は毎日が地獄のようで、母を施設に入所させることだけを考えていました。
もちろん財布や通帳をしまった場所を忘れて大騒ぎしたことも。
通帳が無くなった、と言うので一緒に探して引き出しを開けると「大切な物なので触らないで下さい。」という誰かに宛てたメモが入っていたり。。
ただ、たいてい物盗られ妄想は身内を疑うと言われますが、母の場合は化粧品以外は家族を疑わなかったのが救いでした。
そして色々な資料に書いてあるように、被害妄想は長くは続かず、今では自分が忘れるということを受け入れているようです。
そんな時必ず母は「色々忘れても、他人のご飯食べる訳じゃないからね。」と言います。
私が「そうそう、少し忘れるくらい、誰にも迷惑かけないから、大丈夫大丈夫!」と言うと、大きく頷いて安心するのです。