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セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(29)

友人マルケリヌスの危期について

El sagitario no debe dar alguna vez en el blanco, sino errarlo alguna vez. El arte no debe obrar por casualidad, y como la sabiduría es arte, debe tomar el camino seguro y elegir aquellos que pueden aprovechar sus consejos, abandonando aquellos otros de quienes nada espera, aunque no ligeramente, sino después de emplear los últimos remedios que exige este caso extremo.
射手は時々命中させるのではなく、時々外すのでなくてはいけません。技術は偶然に駆使されるべきではなく、知恵の活用は技術であるので、確かな適応を見定める必要があり、何も期待できない人たちは見捨てて、忠告が役立つ人たちを選ぶ必要がある。そのまえに、軽くではなく、この極端な症例に必要な最後の治療法を使ってからではあるけれども。

Cartas de un ESTOICO - Carta 29

単語

por casualidad【句】偶然に
avprovechar【動】利用する
ligeramente【副】軽く
emplear【動】使う *emplear は使用するものが消耗するのに対し、usar は道具などのように使用するものが消耗しない。
remedio【男】対策、救済手段、治療法、(ラ米)薬

コメント

 この部分は、知恵 (sabiduría) を使った救済があたかも外科手術であるかのように適応症例を選ぶ必要性について述べています。ここで言う知恵は、哲学のことで、後世、哲学が「魂の医学」と呼ばれ、現代の認知行動療法にその精神が受け継がれていることを考えると、合理的な考えでありますし、古典時代にこのような頻度に基づく適応が考慮されていたことは、現在のEBMの先駆けとも言え、ちょっと驚きです。ナシーム・ニコラス・タレブの「反脆弱性」では、セネカの不確実性に対する「バーベル戦略」について紹介されており、セネカは、もっと現代的コンテキストで読み直されてもいいのかもしれません。


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