呑気放屁

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最近の記事

人の行く裏に道あり花の山

今日の日本経済新聞に日本の自己啓発本 (los libros de autoayuda) が世界でヒットしていることを紹介する記事があった。なかでも国内で大ヒットし、ドラマまで生み出した「嫌われる勇気」ですが、意外にもAdler心理学が普及していそうなドイツ語圏でも人気なんだとか。 残念ながらスペイン語版はkindle版が出ておらず、中古が高値で流通しているようです。表紙のデザインが、お正月風ですね。 2019年にすでにスペインの新聞 "EL PAÍS" で記事になってい

    • セネカとキリストの対話

      Chat GTPを使い、現代に同世代人でもあるセネカとキリストが生きていたらという設定で、スペイン語で対話してもらいました。なぜスペイン語かって?カルロス5世の慣習に従ったまでです。 セネカ: ES: "La guerra siempre ha sido un acto de insensatez. A pesar de tener razón, los hombres se dejan llevar por la ira y el odio, dañando a sus

      • セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(30)

        死に勝つことについて 単語 igualdad【女】平等(英:equality) equidad【女】公正(英:equity) defender【動】擁護する↔atacar 攻撃する disvolver【動】溶かす suceder【動】a〜、〜に続く コメント 平等も公正も、同じ語源から出来た単語なので紛らわしいが、英語同様に明確な下の絵に示すように違いがある。  英語と比較して分かるように、英語で-tyで終わる名詞は、スペイン語で-dadで終わることを知っておけば、

        • マクトゥーブ(運命)

          今日、帰路、雑誌BRUTUSの「猫になりたい」を買おうと思って本屋に寄って目に入ったのが、この文庫本。アラビア語を齧ると、大抵の教科書で一番初めに出てくるのが、kataba (書く)という動詞。(日本語の「言葉」と似ている!)そこから派生して、maktub という語が出来るのだが、「書かれたもの」ということで、「運命」という意味になる。ストア哲学では、Amor fati(運命愛)という格言があり、変えられない運命を受容することを勧めている。アラビア語、運命で連想するのが、映画

        人の行く裏に道あり花の山

          恋と地球の表面

          最近、オーストリアという国に関心がある。というのも、ストア哲学との関連で、アドラー心理学やドラッカーの経営学、いずれもオーストリアの出身者だということ。そして、最近読んでいる次の本が、経済学のオーストリア学派についてなのだが、どうやら、その思想が道教と共通性があること、それはとりも直さず、オーストリアの経済思想が、直接、諸子百家の影響を受けていることは考えづらいから、ストア哲学に何らかの影響を受けているのではないかと睨んでいる。もしそうだとしたら、なぜアドラー、ドラッカーに比

          恋と地球の表面

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(29)

          友人マルケリヌスの危期について 単語 por casualidad【句】偶然に avprovechar【動】利用する ligeramente【副】軽く emplear【動】使う *emplear は使用するものが消耗するのに対し、usar は道具などのように使用するものが消耗しない。 remedio【男】対策、救済手段、治療法、(ラ米)薬 コメント  この部分は、知恵 (sabiduría) を使った救済があたかも外科手術であるかのように適応症例を選ぶ必要性について述

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(29)

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(28)

          不満を治す旅について 単語 Es necesario + 不定詞【句】~が必要である。 persuadir【動】確信する fijo【形】固定した penetrar【動】侵入する、深く理解する、挿入する、貫く、見抜く tedio【男】退屈 コメント 今回の手紙を読んで思い出したのは、江戸中期の談義本、佚斎樗山の「田舎荘子」の一話である「猫の妙術」の次の部分。 どこにいても、誰に学んでも、環境を楽しみ学ぶ心構えは、その人の中にあるということですね。荘子の思想にはストア哲

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(28)

          10月からの語学講座

          4月から通勤の往復の時間を使って「NHKラジオらじる★らじる」で語学講座を聴くことが習慣になりました。習得できたとか、上達したとかは次の目標です。10月から新しい講座が始まるので、スペイン語講座と韓国語講座を聞こうと思っています。 まいにちスペイン語は今月まではコノスールの話題が多かったのですが、後半期の応用編は上智大学ヒスパニア語科教授の長谷川ニナ先生が講師で、メキシコのお話が伺えそうです。 韓国語は、2001年に公開された映画「JSA」でソン・ガンホさんのセリフで、「戦

          10月からの語学講座

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(27)

          永続きする善について コメント 今回は趣向を変えて様々なソースから引用して、機械翻訳してみた。どうやらスペイン語版Wikisourceは初心者の私が読んでもわかるような誤訳が多いようだ。これをきっかけに、今後はkindleで入手したSergio Catalán Calvo訳を専ら引用元として使おうと思う。製品版だから欠損もなさそうですし。

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(27)

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(26)と「道徳書簡集」kindle本の紹介

          老年と死について 単語 desprenderse【動】(拘束から)逃れる rebajar【動】下げる detener【動】止める impedir【動】阻む dispuesto【形】用意のできた コメント 有名な "Memento mori" です。エピクロスの言葉だったのですね。この書簡集は、エピキュリアンである若きルキリウス君をストア派に引き込もうとするセネカの手紙のやり取りとされています。このときセネカは、皇帝ネロに言い渡された自害前年のことで、60代半ばでした。

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(26)と「道徳書簡集」kindle本の紹介

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(25)

          心の改造について 単語 provechoso【形】有益な imponerse【動】自らに課す comtemplar【動】注視する コメント セネカにおけるストア哲学は、思想でなく実践で、ここでは日常の修練について述べている。フランスの古典哲学の研究者 Pierre Hadot は、ストア哲学の修練として、"le regard d'en haut"(上からの視線)ということを重視した。そう言えば、幼稚園の頃、「いつもお釈迦様が見てますよ」と言われていたな。これが他者の目

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(25)

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(24)

          死を軽視することについて 単語 asustar【動】驚かす despreciar【動】蔑む 反対語:preciar【動】誇る soportar【動】耐える padecer【動】患う コメント 死は、視覚や聴覚で過剰に装飾されているが、その分を差し引いて考えると、実体は痛みだけで、日常経験する痛みは耐えることが出来るし、耐えられないほどの痛みであれば、苦しむ間もなく死んでいる、ということを言っている。動物は、「死」という概念を持たないので、死ぬことはない。火や強敵など外

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(24)

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(23)

          哲学の真の喜びについて 単語 cúspide【女】頂上、てっぺん potestad【女】権力、権限 anhelo【男】切望 subyugar【動】服従させる、支配する コメント 幸せとはなにか?その問いを考えるとき、思い出す映画のフレーズがある。 ちょっと、ストア哲学の「幸せ」とは違うかもしれないけど、示唆に富む名言だと思う。

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(23)

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(22)

          中途半端な遣り方の無益さについて 単語 renunciar【動】諦める emprender【動】取り掛かる brusco【形】急な 例:cambio brusco 急変、curva brusca 急カーブ、frenazo brusco 急ブレーキ lazo【男】(主に複数で)きずな、束縛 sujetarse【動】しがみつく コメント 今回の話で思いつくのが、ゴルディアスの結び目の逸話である。紀元前333年、アレクサンドロス大王がペルシアの都市ゴルディオンを占領した時、

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(22)

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(21)

          手紙のもたらす栄誉について 単語 equivocarse【動】間違う、混同する resplandor【男】輝き foráneo【形】他国の、よその espeso【形】濃い、密生した、厚い、汚い fulgrar【動】輝く コメント 大衆に評価を委ねて名声を追うのではなく、神に誓いをたてたプロになれということなのでしょう。名声は金銭に繋がり、プロの仕事は、ある意味自己満足でしかありません。つまるところ、金かプライドかの選択では、プライドを選びなさいということなのでしょう。

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(21)

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(20)

          教えの実践について 単語 de conformidad a … 【句】~に従って desdecir【動】[+de と]調和しない、そぐわない、一致しない discordancia【女】不調和、軋轢 concordancia【女】一致;(複数形で)用語索引 コメント 今回の手紙を読んで思い出したのは、Peter Drucker(1909年11月19日 - 2005年11月11日)の「マネジメント」で強調される「真摯さ(integrity)」と言われる言葉である。英語で、

          セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(20)