セネカ「道徳書簡集」をスペイン語で読む(22)
中途半端な遣り方の無益さについて
単語
renunciar【動】諦める
emprender【動】取り掛かる
brusco【形】急な 例:cambio brusco 急変、curva brusca 急カーブ、frenazo brusco 急ブレーキ
lazo【男】(主に複数で)きずな、束縛
sujetarse【動】しがみつく
コメント
今回の話で思いつくのが、ゴルディアスの結び目の逸話である。紀元前333年、アレクサンドロス大王がペルシアの都市ゴルディオンを占領した時、町の中心にあるゼウス神殿に一台の古い戦車が祀られており、「ゴルディアスの結び目」と呼ばれていた複雑に絡んだ縄で固定されていた。そして、この結び目を解いたものがアジアの支配者になると言い伝えられていた。アレクサンドロス大王は刀で縄の結び目を切断し、「運命とは伝説によってもたらされるものではなく、自らの剣によって切り拓くものである」と兵たちに宣言したそうな。
そこから派生したモットーが、"Tanto monta cortar como desatar." (切るのも解くのも同じこと。)というスペイン王室のモットーで、略して"TANTO MONTA" 、世界で初めて口語の文法書を著したアントニオ・デ・ネブリハの進言だそうだ。
後世には、"Tanto monta, monta tanto, Isabel como Fernando." (どちらも同じ、イサベルとフェルディナンド)として、カトリック両王の対等な結婚を表す表現として広まり、現代でも、”Tanto monta, monta tanto." で、「どっちもどっち、どちらも同じ」みたいな意味で使われるようです。そしてその対等な結婚、アメリカ大陸の発見、アントニオ・デ・ネブリハ『カスティーリャ語文法』の完成は、1492年の出来事で、その後、征服者たちは、この文法書と聖書、セルバンテスの「ドン・キホーテ」を携えて海を渡り、スペイン語をアメリカ大陸に広めていくのでした。
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