自己受容できた瞬間
「仕事の内容ですか?えーと…一般的な総務、経理、人事、窓口受付です」
とある場での一場面。
一瞬周りの空気が固まった。
「マジかよ…」みたいな雰囲気あったよ、うん。
そのあと「さらみさん、うち来ません?」とさらりと。
「いやいや、今の仕事まだ辞めたくないんで」と自分は笑って流した。
でも正直、「良いんですか?」と言いたかったよ。
巷では、自己肯定感が低いやつは面倒だから相手にするな、みたいなのが通説。
自分の自己肯定感の低さはかなりのものだと自負してる。
自分は他の人たちよりも、世間一般の社会人よりもかなり低い位置にいると思ってる。
やり甲斐なんて求めたらバチがあたる。
自分になんて価値がない。僕は常にそう思っている。
自分のやってることが基本的に不安。
感覚的センスはほぼ皆無だから、自分の中で落とし込めなかったり、自分で説明できなかったりするのは、すごく不安。
だから、何度も確認してしまう。
「面倒だな、一度で覚えろよ」っていう表情をされることもたくさんある。
一を聞いて十を知るなんてことはできなくて、一を聞いたら三から五を知るために0.5を確認して一を再認識する。
これってなんのために?これってこういう意味合いで良いの?お金や時間や人はどのぐらい必要?目安は?などなど。
あー面倒くさいやつ。
一度で走りながら考えることができない。
一人でなにかを始める、なんてのは本当に無理。
僕は、何かを生み出すタイプの人間じゃない。
だから、リーダーシップのある人、自分の信念の元で何かを生み出せる人をすごくすごく尊敬するし、眩しく、神々しい。
僕のような、凡人でも天才でもない、中途半端な人間は割と早くに仕事を失って露頭に迷うのは目に見えていた。
自分がやることなんて、すべてAIちゃんに取って代わられるから。
だから漠然と、長生きしても良いことないなぁって最近割と思ってたんだ。
そんなとき、ここ数日のことだ。
hanpo編集長と、とあるイベントにでてその打ち上げにひょっこりついていった。
そこである人が「さらみくんのような右から来たものを処理して左に流せる能力って、引く手あまたなんだよ。自己表現をしたい人たちは事務処理が苦手だったり、おろそかになりがちなんだ。だからhanpoの編集長くん、すごく羨ましいし、すごく良いコンビだと思う」と言ってくれた。
「はぁ…そうなんですかねえ」
いまいちピンとこなかった。
自分のモチベーションを高めてくれてるのかなぁった思った。
でも「君のような人が欲しい」と言われた時、ゾワゾワって、肌が震えたんだよ。
価値がないって思ってた自分自身に、価値を感じてくれる人がいるんだ、って。
ここで自分をさらにおとしめることは、自分に価値を見出してくれた人たちに対して失礼だ、と思った。
こんな気持ちは、初めてだった。
記録がてら、帰ってルポ記事を書いた。
今までで最高記録のシェアといいね、だった。
イベントで講演してくれた人たちが「素晴らしい」と言ってくれた。
僕が憧れている、何かを生み出す人たちが、僕のことを素晴らしいと言ってくれた。
その夜。なんかよくわからなくて、「フヒッ、フヒャヒャヒヒヒ」って怪しい笑いと涙が出てきたんだ。
自分にも、価値があったんだ。
それを肌で感じてしまったんだよ。
多分、今まで一番追い求めてたんだと思う。
病気で障がいがあって、支えてもらったり、迷惑をかけるだけの自分。そんな自分が、自分がウィークポイントだと思ってる部分を差っ引いて、純粋な想いと能力を買ってくれる人がいたら良いなって。
過去、何度も信頼を失ったことがある。
自業自得だった。
だから、もっともっと力をつけたい。
今の僕を必要としてくれているのなら、その期待に応えたい。
もちろん、限界を超えた「無茶」をしないように。ただ、自分が少し頑張れる「無理」を使いこなしながら。
「ただ処理するだけじゃなくて、想いを持ってくれて、「必要だ」という言葉に対して泣ける君とだから一緒にやりたいんだ」
編集長の言葉。
ただ最後に言いたい。
BLじゃないからな。