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せんすい島とすうちゃん

「腹も一杯になったし次はどーする?」
「あ!私キノコ達にお土産を買っていくって約束してて」
「お土産は、どんな物にするのか決まってるの?」
少し考えて
「私…お土産って言ったら食べ物のイメージだけど…キノコ達お菓子とか食べるのかな?」
「うーん、そもそもキノコって何か食べるのか?」
よく考えてみると
「食べる?とは聞いてくるけど、お腹空いたとか聞いた事ないけど…どうしてるんだろう?勝手に増えてる事あるし」
どうなってるんだろう本当に
「なんだそれ…ちょっと怖いぞ!」
「じゃあ、食べ物とかはやめといたほうがいいね…だったら玩具かな?」
「玩具…?」
ハイこれと渡してもキノコ達と玩具が一緒に並んでいるのが浮かんでしまった。
「うん…玩具はやめとこうかな」
そうなると何をお土産にしたらいいのか
「どうしょう…カメちゃんキノコ達のお土産何にしたらいいと思う?」
カメちゃんがうーんと悩み
「だったら絵本とかはどう?」
「えー?お土産が本か…俺だったら、お菓子の方がいいけどなー」
そんなうーちゃんを無視して
「絵本かぁ、うん絵本いいね!キノコ達のお土産は絵本にするよ!ところで本屋さんは何処にあるの?」
「それだったら俺さっき見た!確かこっちだ」
走って行こうとする、うーちゃんの後をカメちゃんと私は慌ててついていった。
「ほら、あそこだ!あったぞ!」
指さした先には大きな逆さになってる花の蕾?があった。
「え?」
あれが本屋さんなんだろうかと、うーちゃんを見ると大きな声で
「オーイ!カミールさん!」
カミールさん?うーちゃんの声に反応するように花の蕾がゆっくりと上にめくりあがって中から本棚が現れた。
「凄い!キレイ!」
感動しているとカメちゃんがニコニコと
「うん可愛いよね、これが移動式のお花の本屋さんだよ」
移動式?そう言われて下を見ると確かに車輪らしき物がある
まるでカボチャの馬車のようで可愛い!
本当のお花なんだろうかと、もっと近くで見ようと近付くと
「はい、いらっしゃいませぇぇー」
顔を上げると白いヤギさんが居た。
ヤギさんにうーちゃんが手を挙げ
「カミールさん久しぶり!」
カミールさんと呼ばれたヤギさんはニコニコと
「おや、うーちゃんひさしぶりですねぇぇ、ー今日はどうしたんですかぁぁ?」
ヤギさんはゆっくりとした口調でうーちゃんに話しかけて来た。
「今日は本を見に来たんだ!何かいい本ない?」
うーちゃんがそう言うとカミールさんが目を開いて
「え?うーちゃんが本?どうしたの?調子が悪い?変な物でも食べた?病気行く?その前にウサ美さんとウサ子さんに連絡しないと!」
さっき迄のゆっくりとした口調は鳴りを潜めいきなりの早口!
ビックリしてるとうーちゃんが
「俺じゃなくて!すうが本を探してるんだ!」
「え?すうさんとは?」
カメちゃんがクスクスと
「カミールさん、こっちに居るのがすうちゃんです。」
「あの、こんにちは、すうっていいます。」
挨拶するとカミールさんは
「ああなんだ、そう言う事なんですねぇぇ私はてっきり、うーちゃんがとうとう本に興味を持ったのかと思ったら違ったんですねぇぇ。よかった…私心臓が止まる程ビックリしましたよぉぉ!」
本屋さんにまで言われるなんて…呆れているとカメちゃんも片手で頭を押さえていた。
「……。」
カミールさんはホッと胸を撫で下ろして私に向き直して
「こほん、それでどういった物語をご所望ですかぁぁ?」
「あの、読み聞かせられる絵本とかでお勧めとかありますか?」
「読み聞かせですかぁぁ、お幾つぐらいの方になさるのですかぁぁ?」
幾つ?年だよね?キノコの年ってどうやったら分かるんだろうか?カメちゃんとうーちゃんを見ると2人も首を傾げてる
「?どうかしましたか?」
カミールさんが不思議そうにしてるけど、どうしょう?と考えているとカメちゃんが
「大体小学生低学年ぐらい?」
ああ、そうかもと思っているとカミールさんが本棚から赤い表紙の本を取り出し
「そうですか…でしたらこの物語とかどうでしょうか?どうぞ」
カミールさんが一冊の本を差し出された。
「ありがとうございます。」
それを受け取って、
そう言えば…こっちの世界の本は一体どんな内容なんだろうかと
「あの、少し見ても良いですか?」
「どうぞ!好きなだけ見ていってください!本も喜びますのでぇぇ」
本が喜ぶ?よくは分からないけど私は本を受け取り本を開いた。
本の内容は目の見えない女の子が色々な冒険するお話のようだ。
少し読んでみてもなかなか面白そう
「あの、これ買います」
カミールさんに本を差し出すと
「お気に召されたようでぇぇ」
「おいくらですか?」
カミールさんはニコニコと金額を言うと思ったより安くて、どうにか買えた。
カミールさんが本を袋に入れて
「どうぞ」
「ありがとうございます。」
と本を受けとるとカメちゃんが
「良い本が見つかって良かったね!読み終わったら感想聞かせてね?」
「うん!」
袋を抱きしめながら
「カメちゃんうーちゃん今日は私のお買い物に付き合ってくれて有り難うね!」
「なんだよ、いきなり」
「今日凄く楽しかったからお礼言いたくなって!」
「フフ別にいいのに、私も楽しかったし、ね?うーちゃん?」
「まぁ、そうだな、また来ようぜ!また色々な店を紹介してやるかー」
「いいの!やった!」
「変なお店だけはやめようね?」
カメちゃんに言われうーちゃんは
「うぐ、分かってる」
うーちゃんは懲りたのか
「それより明日の遠足楽しみだよな!」
無理やり話を変えた。
カメちゃんがため息をつきながら
「確か海にいくんだったよね?すうちゃんは海初めて?」
「小さい頃行った事あるけど、小さすぎて覚えてないから、初めてみたいなものかな」
「そうなんだー私は海大好きで何回かお母さんと行ってるの」
「そうなんだ!うーちゃんは?」
聞くとうーちゃんは嫌な顔で胸を張り
「俺は泳げない!」
そんな胸を張って言う事じゃないけど…
「少し憂鬱だけど…楽しみだ!」
それは楽しみなんだろうかと思ったけど、うーちゃんが楽しみにしているんだったらいいかと、それに私も
「私も楽しみ!」
カメちゃんが傾きかけたお日様を見て
「さぁ、暗くなる前に帰ろう?」
「うん!」
「そうだな!」
明日の遠足の話をしながら帰った。