大人の自由研究〜5月の東京タワー〜
小説「東京タワー」、主人公である小島透の冒頭の呟きが印象的でした。
天気や時間帯で印象を変える東京タワーを、独自の言葉で表現する主人公透。
彼の部屋からは、日常的に東京タワーを臨むことができるのかもしれません。
純粋で何事にもまっすぐな視線を持つ大学生透の言葉は、すべてではないですが、ストンと心に落ちるものもありました。
「昼間の東京タワーは、地味でやさしいおじさんのようだ。」
江國香織の描く世界観とは異なり、5月の東京タワーは、哀しさもなければ、地味でもない、健康的に明るい姿を見せてくれました。
多くの映画やドラマの背景に主張することなく、映り込む東京タワー。
少し前までは、その当たり前の風景に慣れすぎてしまい、昭和を纏った赤い鉄塔に魅力を感じることがなくなってしまいました。
また新しくできたスカイツリーの存在もあり、観光名所としての役割も希薄になったように思います。
ところが今は、ライトアップ効果やドラマや映画の舞台に使われることで、その存在そのものがお洒落だと捉えられるようになりました。
映画「東京タワー」の中で、青一色にライトアップされた東京タワーは、黒い夜空を背景に花火のような儚げな美しさを纏っていました。
重なり合う建物の間からちらっと見える東京タワーも美しいですが、真下から見上げる
画も新しい発見があります。
私にとって東京タワーは、擬人化されたものではなく、これから先もその存在感で見る人を魅了し続ける建築物だと思います。
機会があれば、東京タワーにお出かけください。
Photo by Maya
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