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建築物を見て歩く❷日本橋界隈

東野圭吾のミステリー小説「麒麟の翼」は、映画化され話題になりました。冒頭で映し出され、ズームアップされるまで、欄干の中央に設置された麒麟像に目を向けることなどありませんでした。
「ここから夢に羽ばたいていく、はずだった。」
劇中のその言葉も強く心に残りました。

小説のタイトルになった麒麟像

神社仏閣で見かける麒麟は、龍や鳳凰と同じ伝説上の生き物です。ただ、麒麟に翼があることは、この像を見るまで知りませんでした。
天を仰ぎ、今にも羽ばたいていきそうな麒麟の姿。映画の中の台詞とリンクします。翼はなくてはならないものです。

無粋な高速道路の下にある美しい橋
日本橋三越

麒麟像を鑑賞し、カメラにおさめた後向かったのは国指定重要文化財である日本橋三越本店。
クラッシックな外観がひときわ目を惹きます。
内装(インテリア)の時代を超えた佇まいは、美術館を彷彿させます。

本館1階ホール
天女の像

1階から5階までの吹抜けに設置された巨大な天女は、高さ約11メートルの木彫刻作品です。
この像の存在が、百貨店を非日常的で上質な空間に引き上げていると思います。

松屋銀座や銀座シックスなども大きな吹抜けを現代アートで演出しています。
今では珍しくない百貨店とアートのコラボは三越本店の天女の像から始まったのかもしれません。

気後れすることも、チケット代を払う必要もない。誰もが気軽にアートを楽しむことができる商業施設のエントランスは、お勧めのアート鑑賞スポットです。食事や買い物の合間に、足を止めてみてはいかがでしょうか。

ライオン像
クラッシック感満載の看板

私たちの周りには、たくさんのアート作品が点在しています。
意識を向けないと日常の景色の一部にすぎません。ひとたび目を向け、留めてみるとアートとの思いがけない出会いがあります。
例えば、小説や映画をきっかけにその舞台に出かける。
気になった作品について、調べてみる。調べることで知識が深まり、蓄積され、アートの引き出しが1つ増えます。

アート鑑賞を愉しむコツは、好きか嫌いか直感で良いと思います。
作品の背景を理解する必要はありません。心に引っかかったものを愉しむ。引っかからないものには敢えて目を向けないでやり過ごす。シンプルで良いと思います。


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