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生命的観点から建築空間を考える。

「お金」に縛られた建築から、「生命」として生かされる建築へ。

街中を見渡せば、見えてくるのは無機質なビルやマンション。画一的な建売住宅。それらは、経済効率性が優先された「金融資産(不動産)」としての建築物である。

資産性、投資対効果、ランニングコスト、利回り・・・戦後に建てられた建築物の多くは、「お金」が全ての基準となっている。老朽化により資産性を失ったものは壊され、経済効率性の高い建築物へと変わっていく。建て替えによって地球環境への負荷が掛かるとしても。

私もかつては、金融資産としての建築物を作って付加価値を付けて売るという仕事をしていたし、今も「お金」というジレンマを感じながら設計の仕事をしている。作る側だけではない。住まいやオフィスや店舗など、建築物を使う側も「お金」に縛られていく。

お金に縛られたこの枠組みから外れることができれば、都市という生活空間はもっと豊かになっていくのではないか。人間だけでなく、地球上の全ての生命が生かされる建築空間ができるのではないか。

私の中に確信的なアイディアがある訳ではないし、資本主義の中で形作られてきたこの枠組みは簡単には変わらないと思うけど、建築物を「生命」と捉えることで、何か次なる一歩が見えてきそうな気がする。そんな探求の記録を、このnoteに残していこうと思います。

生命としての建築を考える。

建築物は人間の所有物なのか、人間の拡張体なのか、自然界の一部なのか。どのような観点から捉えるかによって、建築物に対する私たちの振る舞いは大きく変わってくる。

人間の所有物と捉えたとき、それは金融資産としての建築物となる。
人間の拡張体と捉えたとき、それは人間中心の建築物となる。
自然の一部と捉えたとき、それは人間を超越した自然界の産物となる。

生命としての建築を考えるにあたっては、人間の拡張体であり、自然の一部として、建築物を捉えていくことで、そこに命が宿ってくると、私は感じている。

人間は建築物のない大自然の中では最弱な生き物である。だからこそ、生きるために建築物を作り、そこに住んでいる。建築物という安全な空間を介して、自然との関係性を構築している。建築物は、人間と自然を繋いでくれる重要な役割も果たしているのである。

そこで大切になってくるのは、

  • その建築物は、どのように自然との接点を持っているのか。
    → 形、素材、微生物、土地との関係性

  • その建築物は、自然界のエネルギーをどのように取り込んでいるのか。
    → 室内環境、氣の流れ、土地との関係性

  • その建築物は、人間の内面や身体性にどのように働きかけているのか。
    →五感との関係性、身体との関係性

という問いである。

自然の摂理、環世界、バイオミミクリ、フィボナッチ、神聖幾何学、霊性、結界、磁場エネルギー、アフォーダンス、生態心理学、環境心理学、身体性と内観・・・
まずは、ここら辺の要素を元に、生命としての建築を紐解いていきたいと思う。

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