【LUNA SEA同タイトル小説】『THE SLAIN』
【LUNA SEA同タイトル小説におけるマイルール】
*LUNA SEAの曲タイトルをタイトルとする
*タイトルの意味と、曲から受けるインスピレーションをもとに創作する(歌詞に沿った話を書くわけではない。歌詞の一部を拝借する場合はあり)
*即興で作る
*暗めなのはLUNA SEAの曲のせいです(笑)特に初期…
*ノーマルの創作はこんな雰囲気です
男はいつしかスレインと呼ばれるようになった。
その男の本当の名前を知るものはいない。
彼は殺した。生まれた時から殺した。何もわからずに、けれどとても上手く。
物心がつくと、彼はもっと上手く殺した。まさに生まれながらのスレイヤー。彼は迷うことなく殺し続けた。
彼はマントを翻し、町から町へとさすらった。
彼の後には、必ず死があった。
人々は彼を怖れはしなかった。むしろ、待ちわびていた。
彼が殺すのは悲しみだった。ただひとつ、悲しみの感情だけを殺す、取り去るのだ。
彼と視線を合わせるだけで、悲しみは消えた。もう生涯悲しみにくれることはないのだ。
彼は悲しみをすべて取り込んでいるようだった。その表情は悲しみに満ちているようにも見え、冷たく無表情にも見えた。
悲しみのない人生など知らない。悲しみを殺された者の人生など知らない。望む者に、スレインは悲しみの死を与える。
それが彼の人生だから。悲しみだけで生きて行くのが彼の人生だから。
今日も彼は街を歩いて行く。黒いマントを翻して。
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