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【タイムリー試訳】ジェリー・アダムズ新年の挨拶(2021)

現代におけるアイルランド/北アイルランドのリパブリカン運動に携わった政治活動家/作家、ジェリー・アダムズの「新年の抱負」(2021.1.3音声・書き起こし公開)。自伝や短編小説にもみられる、計算されたとぼけ具合がアダムスの言語活動の特徴か(※)。カッコ内は訳注。

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※彼のこのような話法には批判の声もある。

歌って登る2021年

A Chairde(友よ)、2021年おめでとう。さてこの輝かしい新年に私が個人的にやりたい十のことです。


  1. パンデミックを生き延びる。生き、かつ健やかであること。健康に関するアドバイスに従うことと、私に許される限り早くワクチン接種を受ける。

  2. エリガル山(ドネゴル州、標高751m。写真)にまた登る。かつてよく登っていましたが、パンデミックと移動規制によってそうもいかなくなりました。年老いて自分がもう昔のように山を歩いたり登ったりできないことを悟ったときにイワン・マッコール(1915-1989, イギリスの歌手・演劇人・労働運動家)が書いた、『生きる喜び』という素晴らしい歌があります。このあいだエリガルに登ったときまで、彼が何を言わんとしているのか、私は本当には理解できていなかった。しかし、息を切らせながらゆっくりと天上の国へと近づきつつある間に秘訣を探り当てました。時間をかければいい。競争じゃないんだから。そこで、私はできるだけ長く、できるだけゆっくりと、そして2021年のできるだけ早い時期に、上を目指して進むつもりです。

  3. 新しい短編集『証人の樹』を出版する。これもパンデミックのおかげで後倒しになっていましたが、うまくいけば夏の盛りにはオブライエン・プレスがこの短編集を世に送り出してくれるのを見られます。

  4.  Léargas (アダムズのポータルサイト)の記事を、有能なリチャード・G. マコーレー(シン・フェイン党報道官) と共同で書き続ける。この非商用のプロジェクトは、人生の旅の間に私が直接、または間接的に出会った女性たち・男性たちについてのものです。次は歌手兼活動家のキャスリーン・トンプソン(アイルランドの抵抗ソングシンガー。同名のアメリカのフェミニズム活動家とは別)、旧姓ラージ、または旧姓マクレディを紹介する予定です。うまくいけばイースターの前に出版されるでしょう。その後、我々はハンガーストライキ(1981, 英国政府に対し獄中の政治犯待遇を求めたリパブリカン活動家らによる集団ハンスト)の記念日に合わせ、アーマーの女子刑務所についてひとつ書くつもりです。

  5. もっと試合に行く。 ベルファストにおいてハーリング、カモギー(アイルランドの女性の伝統球技)、フットボールは、未成年のリーグでもその他のあらゆるレベルでもめざましく伸びています。地域のGAA(ゲーリック体育協会。19世紀末に設立され、文芸復興運動とともに反英運動の下地を作った)のボランティアやご両親や指導者や支援者の尽力です。視察はゲールの伝統的スポーツへの素敵な支援方法です。試合の進行状況についてご意見を述べたり安全ネットの向こうから審判のミスに怒鳴り立てたりするのは、身の回りの物事を楽しむ素晴らしい方法です。ついでにストレスが解消されます。あと自尊心が回復します。  

  6. 曲を一曲まるごと覚える。歌手として成功を約束されたキャリアを、アイルランドの自由をめぐる運動に集中するために私が諦めた、というのはちょっとは知られた話です。最近気がついたことに、私は何百曲もの歌のそれぞれ何行かを知っていますが、もしステージに引っ張り出されたとしても一曲まるごとは歌えません。この傾向を、「I Wish I Had Someone To Love Me」(ダブリナーズ, 2009)と「Mo Ghille Mear」(ケルティック・ウーマン。伝統曲を70年代に編曲。ゲール語で「私の優しいヒーロー」の意)の歌詞を全部覚えることで改善したいと思います。

  7. ステージに引っ張り出される。

  8. アイルランド語の知識と実践スキルを磨く。

  9. ツイッターをやめる。

  10. ささやかな外出の機会によるとても楽しいひとときを家族や友人と過ごす。

  11. できるだけ早く自由なアイルランドの一市民の境遇を満喫するために、アイルランドの自由をめぐる運動にもっと尽力し参画する。

  12. 歌手としてのキャリアをやり直す。

犬活!

犬を二匹飼っています。本当のことを言うと、我々はとても長いこと犬を二匹飼ってきました。三匹だったときもあります。三度四度、子犬たちが襲来したときは一ダースくらいいました。しかしそれは束の間のことです。私は犬なしでは生きられません。六歳くらいのときから、カナダに移住した叔父さんが犬を私に残していったときから、私はいつもワン公たちと人生を共にしてきました……。

最後に

Brexitとコロナウィルスとが2020年の政治の議題を席巻していたにも関わらず、統一国民投票と、その国民投票の価値や形式や性質に関してグッド・フライデー・アグリーメント(1998, 和平合意)においてなされた提案はいまやあらゆる勢力の注目を集めています……我々が新しいアイルランド──公正さと平等と相互の尊重に基づく、共存可能なアイルランド──を信じるなら、2021年は統一アイルランドのために集おうではありませんか。

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◾️ジェリー・アダムズのプロフィール
1948西ベルファスト生まれ。1964シン・フェイン党及び周辺組織で活動開始。1967北アイルランド公民権協会参加。数年に及ぶ獄中生活。この頃から議会路線を呼び掛け、数十年かけて党を脱武力化し議会政党にする。1978シン・フェイン党副党首、1983-2018シン・フェイン党党首。1983-1992、1997-2011英国下院議員。1998-2010は北アイルランド議会議員兼任。1998の和平合意に至る交渉を担う。2011英国下院を辞し、アイルランド下院に選出。国際作家協会PEN会員。 

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