元道職員SOGIハラ訴訟 プレスリリース 2021.6.1
報道関係者各位
2021年6月1日
「事実婚状態にあった元道職員が、北海道に対し扶養手当の支給と寒冷地手当の増額支給、地方職員共済組合に対し扶養認定の届出をしたところ、いずれもパートナーが元道職員と同性であることを理由に内縁関係を認めなかったことの憲法違反を問う訴訟」
提訴に関するお知らせ
「元道職員SOGIハラ」訴訟弁護団
「事実婚状態にあった元道職員が、北海道に対し扶養手当の支給と寒冷地手当の増額支給、地方職員共済組合に対し扶養認定の届出をしたところ、いずれもパートナーが元道職員と同性であることを理由に内縁関係を認めなかったことの憲法違反を問う訴訟」について、提訴日及び提訴前後の行動の詳細が決定しましたので、お知らせいたします。(なお、このプレスリリースをもちまして、本件に関する報道は解禁といたします。訴訟の内容については、別紙「訴訟概要」をご覧ください。)
当日は、訴状提出後の記者会見を予定しております。原告は、顔出し、名前の公表は可能とのことであるものの、原告のパートナーの方は、個人の特定ができる情報の公表及び取材は不可となっておりますので、ご了承いただけますと幸いです。また、原告カップルのプライバシーに最大限ご配慮をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
1.日時
2021年 6月 9日(水)
2.当日の流れ
10:30 集合:札幌地方裁判所前にて、取材の説明、撮影場所の確認などを行います。
10:35 訴状の提出:弁護団及び原告らが札幌地方裁判所へ入っていく姿を撮影可能です。
11:00 記者会見:札幌弁護士会館(札幌市中央区北1条西10丁目)5階会議室にて行います。
弁護団から訴訟の概要についてご説明した後、原告が訴訟に向けた思いを語ります。質疑応答も行います。
3.お問い合わせ
弁護士 本橋優子(北海道合同法律事務所)
※電話番号及びメールアドレスは省略しています
「元道職員SOGIハラ」訴訟
「元道職員SOGIハラ」訴訟弁護団
1.訴訟の概要
提訴日:2021年6月9日
提訴地:札幌地方裁判所
原 告:佐々木カヲル(社会福祉士、51歳、札幌市在住)
被 告:北海道、地方職員共済組合
※実際に扶養認定をしなかったのは、「地方職員共済組合 北海道支部」です。
事件名:国家賠償請求事件
請求の趣旨
「被告道は,原告に対し,248万1300円及びこれに対する令和元年5月27日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え」
「被告共済組合は、原告に対し、234万7760円及びこれに対する平成30年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」
北海道は、届出をした事実婚の異性カップルに対して、扶養手当の支給・寒冷地手当の増額支給をし、共済組合も、届出をした事実婚の異性カップルに対し、扶養認定をしています。しかし、北海道と共済組合は、事実婚の異性カップルと同様の生活をしていた同性カップルである元道職員の原告が手当の支給等の届出をしたにも関わらず、内縁関係を認めず、手当の支給等や扶養認定をしませんでした。
本件は、元道職員の原告が、支給されるべきであった手当相当額の金銭の支払いと扶養認定がされなかったことによって被った金銭的損害と精神的損害について、国家賠償法1条1項に基づいて、北海道と地方職員共済組合に対して賠償を求める事件です。
北海道と共済組合は、事実婚の異性カップルと同様の生活をしている原告に対し、異性カップルか同性カップルかという違いだけに基づき、手当の支給等と扶養認定をしませんでした。このような扱いは,性別が法律上同性である人々について,性的指向など性のあり方を理由に憲法14条1項が禁じる不当な差別的扱いをするものです。
本件訴訟は、北海道と共済組合の行為の不当な取扱いが憲法違反であり、原告が支給されるべきであった手当相当額の金銭の支払われること、被った金銭的・精神的損害が賠償されるべきであること、そして、原告らと同様の立場にあるすべての人々の困難の解消と尊厳の回復がなされることを求めて提起するものです。
2.主張の概要
原告は在職中、北海道に対し、平成30年7月23日と平成31年4月18日に扶養手当の支給、平成30年7月19日と平成31年4月18日に寒冷地手当の増額支給の届出をしています。これらの原告からの届出に対し、北海道は「認定不可」との判断をしました。
また、原告は、共済組合に対し、平成30年7月20日に扶養認定の届出をしたにも関わらず、共済組合は、被扶養者の認定をすることができない旨の回答をしました。
北海道が手当の支給等をする際の判断基準と、共済組合が扶養認定をする際の判断基準では、どちらも、職員の「扶養親族」の内、配偶者については、「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者(内縁の配偶者)」を含むとしています。
しかし、原告の手当の支給等や扶養認定の届出に対し、北海道と共済組合は、元道職員が同性カップルであるということを理由に、内縁の配偶者とは認めませんでした。
私たちは、北海道と共済組合の取扱いは、自分ではコントロールすることが困難な性的指向に基づく差別であること,異性カップルに認められている権利・義務が認められないという重大な不利益が同性カップルに生じていること,扶養手当の支給及び寒冷地手当の増額支給、扶養認定がされる必要性は、異性カップルと同性カップルで変わらないことから、不合理・不当な差別として,憲法14条1項(平等原則)に違反するものと主張します。
<参考>
憲法14条1項は,「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」と定めています。これは,法の下の平等を定めたもので,事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止するものです。
この先には文章はありません。
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