見出し画像

第4回口頭弁論期日報告会 2022.6.22 11:30-①弁護団からの期日報告及び原告が提出した準備書面の内容説明、②被告らから提出された準備書面の内容説明、③原告からのコメント、④質疑応答


会場:北海道高等学校教職員センター4階大会議室
原告:佐々木カヲル(社会福祉士)
弁護団(弁護士):加藤丈晴、須田布美子、犬塚賢護、髙橋友佑、本橋優子(司会)

司会
それではみなさま、本日はお忙しい中、私どもの報告集会にお越しいただきましてありがとうございます。これから本日第4回口頭弁論を行いました元道職員SOGIハラ訴訟について、報告集会を行います。報告集会はまず、弁護団から期日報告及びこちら側が提出した準備書面の内容のご説明いたします。次に被告らから提出された準備書面の内容を説明し、原告である佐々木カヲルさんからコメントや感想などをお話ししていただきます。その後、質疑応答の時間を設けております。佐々木さんのお名前とお顔出しは可能ですけれども、パートナーの方については、特定できる情報は全て非公表となっておりますのでご了承ください。それでは弁護団の髙橋弁護士より、今回の期日報告及びこちら側からの準備書面の内容の説明をいたします。髙橋弁護士よろしくお願いいたします。

弁護団(髙橋友佑弁護士)
はい。それでは弁護団の髙橋から、本日札幌地方裁判所で行われた期日の報告をしたいと思います。まず、本日の期日では、まずはじめに、被告らから令和4年6月10日付で提出されていた被告ら第2準備書面というものが陳述されました。この被告らの書面の内容については、後ほど犬塚弁護士から説明していただきたいと思います。
次に、原告が令和4年6月16日付で提出した準備書面(2)とその要旨を陳述しました。さらに、この書面の内容を立証するための証拠も提出しました。法廷ではこの書面の要約をしたものを読み上げたんですけれども、ここでちょっともう一度、書面の内容をご説明したいと思います。
まず、前提事項の確認なんですが、北海道職員の給与条例や、地方公務員共済組合法には、扶養手当その他福利厚生を付与する場合の1つとして、このように規定されています。「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」、すなわち内縁関係にある場合に扶養手当等を支給するというふうに定められています。そして、被告らは、この「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」は、それは男女間の関係を大前提としていて、同性カップルが含まれる余地はないんだと主張しています。
そこで、原告は、参議院議員の石川大我議員の協力を得て、全都道府県及び政令指定都市を対象として、同性パートナーのいる職員にも扶養手当の支給等をしている自治体に関する調査結果の提供を受けました。ここ、あくまでも調査の対象は、全都道府県と政令指定都市だけであって、全国の自治体ではないので、その点だけご留意ください。
当該調査結果から、これまで原告が書面で主張してきた他にも、多くの地方自治体が、同性パートナーのいる職員に扶養手当の支給等を保障している実態が明らかとなりました。
今回提出した原告準備書面では、この調査結果を踏まえて、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という文言に同性カップルが含まれていると解することが可能で、かつ、そう解釈すべきであったっていうことを主張しています。
今回石川先生からいただいた調査結果の内容は、2つに大別することができます。1つは、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という文言はそのまま変えずに、そこの解釈によって同性カップルを含めて、同性カップルを「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に含めて、扶養手当等を支給している自治体があるということです。
もう1つは、もう新たに文言を設けちゃって、例えばですね、例えば「職員と性別が同一であって当該職員と婚姻関係と異ならない程度の実質を備える社会生活を営む関係にある者」等という文言を新たに付け加えることによって対応している自治体がある。大きくこの2つの自治体があるということがわかりました。
1つ目の、条例や規則の解釈のみによって同性パートナーのいる職員にも扶養手当を支給している自治体としては、判明したのは7つです。三重県、鳥取県、和歌山県、これはもともと主張していたんですが、今回の調査の結果新たに、茨城県、富山県、滋賀県、佐賀県、これで全部で7つの県が、解釈のみによって同性パートナーにも扶養手当を支給していると、同性パートナーのいる職員にも扶養手当を支給しているということが分かりました。
次に、扶養手当以外の福利厚生に関してなんですけれども、条例や規則の解釈のみによって扶養手当以外の福利厚生を付与しているその自治体は、札幌市を含む19自治体あるということが分かりました。あくまでも調査の対象は都道府県及び政令指定都市だけです。それで19自治体。
2つ目の、そもそも条例の文言を変えた条例や文言の規定を変えて対応した自治体としては、大阪市を含む9つの自治体があることが分かりました。
これらの調査結果から、2つのことが言えるというふうに考えています。1つは、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という文言に、同性カップルを含めて解釈することが可能だということです。
さきほど、解釈により同性パートナーを有する職員にも扶養手当を支給している自治体が7県あるということを言いましたけれども、これらの自治体の給与条例の扶養手当に関する条文は、北海道の給与条例の条文とほぼ同様です。立法趣旨も同様と考えられます。したがって、被告らにおいても、同性パートナーを「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に含める解釈をすることは、まず、これは少なくとも可能でした。よって、被告らの「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に、そもそも同性パートナーは含まれ得ないんだという主張は、まず、この点で失当というか、的を射たものではないということが言えると思います。
調査結果から言えることの2つ目は、被告らが、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に同性カップルを含める解釈をすべきであったことです。合理的な理由のない限り、同性カップルと異性カップルの間に区別取扱いをしてはならないというのが、憲法14条1項の要請と考えます。そして、異性カップルには扶養手当や福利厚生を支給するけれども、同性カップルには付与しないという区別をすることに、合理的理由などないと考えます。
先ほど挙げた、条例や規則の解釈により同性パートナーのいる職員に扶養手当等支給している自治体は、こうした憲法14条1項の要請に応えた例ということができると思います。また、先ほど挙げた、そもそも条例の文言を変えて対応している自治体というのが、大阪市を含む9つあるということを言ったと思うのですが、その自治体は「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という文言に同性カップルを含めて解釈することも可能であったけれども、あえて改正をして、同性カップルにも扶養手当やその他の福利厚生が保障されるんだということを明確にすることで、より憲法14条1項の要請に明確に応えた例だということができると思います。
このように、解釈によるか改正によるか、方法はありますけれども、全国的に地方自治体が同性カップルを異性カップルと同様に扱って、同性パートナーを有する職員に対し各種手当を給付する運用を進めてきていることは、それだけ性的少数者を異性愛者と平等に取り扱うべきとの社会的認識が拡大してきていることの表れに他なりません。
それにもかかわらず、被告らが、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に同性カップルを含まないと解釈をして、原告に扶養手当その他福利厚生を付与しなかったことは、同性カップルと異性カップルとの間の合理的理由のない区別取扱いを禁止する憲法14条1項の平等原則に反することは明らかです。ということが今回提出した書面の内容となります。

それで、期日報告の続きなんですけれども、本日の期日の最後に、次回期日と、次回期日までに準備すべき事項について確認がなされました。
まず、次回期日なんですけれども、令和4年8月31日の午前10時、令和4年8月31日の午前10時。場所は同じなので、(札幌地方裁判所)805号法廷です。805号法廷。次に、次回期日までに準備すべき事項に関してなんですけれども、今回、被告から提出された、この後、犬塚弁護士から説明がある被告から提出された書面に対する反論書面をそれまでに提出するということになっています。本日の期日の報告は以上となります。

司会
続きまして、弁護団の犬塚弁護士より、被告らからの準備書面の内容をご説明いたします。犬塚弁護士よろしくお願いいたします。

弁護団(犬塚賢護弁護士)
はい、犬塚です。今回、相手方からは、前回こちらから提出した準備書面(1)に対する反論書面が提出されました。以下、具体的な反論内容をお伝えいたします。反論内容は大きく分けて3つ。私法上における同性間の内縁関係に関する主張に対するもの、公法上における同性間の内縁関係に関する主張に対するもの、他の自治体の運用に関する主張に対するもの、の3つになります。
まず、原告側の、私法上において同性間に内縁関係を認めるというのが学説でも通説的な見解であるという主張に対し、相手方は、あくまで特定の学者の意見を踏まえた原告側の意見でしかないというような反論をしています。また、原告側の、判例でも私法上の内縁関係を認めたものがあるという主張に対しては、当該判例は個別の事案に即した判断があっただけであって、裁判所が同性間の内縁関係を認めたとの結論を導けるものではないというふうにしています。さらに、仮に学説上の通説が同性間の内縁関係を認める方向にあることが事実だとしても、それによって今回問題となっている各規定の解釈が影響を受けることはないということも主張しています。
次に、原告側の、公法上における配偶者概念の拡張は、婚姻と同様の家庭生活、共同生活の実体を保護しようとする趣旨から行われてきたものであるため、この趣旨からすれば同性カップルが保護対象から排除される理由はないとの主張に対し、相手方は、内縁法理における保護対象はあくまで異性間であることが前提だから、同性カップルを保護対象とすることはできないというふうに反論しています。
最後に、原告側の、他の地方自治体が、今回問題となっている規定とほぼ同様の文言から、解釈で同性カップルに対する各種手当を行っているとの主張に対しては、相手方は、他の自治体が解釈で同性間の内縁関係を認める運用をしていたとしても、今回問題となっている規定を他の自治体と同様に解釈する余地はないという反論をしています。
道からの反論の概要は以上になります。これら道からの反論の前提には、一貫して、内縁関係に同性カップルを含めるという解釈自体が不可能との見解があります。原告としては、このような見解は到底許容できないため、この点を踏まえ次回反論を行う予定です。以上です。

司会
続きまして、原告の佐々木さんからコメントをいただきます。佐々木さんよろしくお願いいたします。

原告
原告の佐々木カヲルです。本日は、参議院選挙の公示日であり、世界情勢も不安定な中、私どもの裁判の傍聴、そして、この報告集会にお越しいただき、誠にありがとうございます。今回の期日については、弁護団より詳しく説明がありましたので、私からは少し別の角度からお話しさせていただきたいと思います。

まず、私が、権利擁護を掲げる団体に連帯を呼びかけていたところ、私の所属する北海道社会福祉士会が声明を公表してくれました。今年、2022(令和4)年5月11日のことです。タイトルは「性的指向及び性自認を理由とする差別に反対する声明」です。
この声明の結びには、「今後の判決において、憲法第14条第1項に規定される法の下の平等の理念に基づく、司法判断がくだされることを望みます」と記載されております。
まずは、そのことを報告させていただきます。

配付資料

次に、前回報告させていただいたことと少し重複する点もありますが、お伝えしたいことがあります。被告である北海道は、2003(平成15)年に「北海道人権施策推進基本方針」を策定し、「性的マイノリティ」の人権課題に取り組む姿勢を示しました。そして、2017(平成29)年、北海道は、環境生活部くらし安全局道民生活課が「みんなが自分らしく性の多様性を考える 性的指向・性自認・性別表現」という冊子を発行しました。これは前回も、お見せした資料です。この内容については、前回の期日報告集会で説明したとおり、「誰もが「自分らしく」生きられる社会へ」と題し、「制度や習慣を変える」、具体的には、「福利厚生制度などを変更する」と明記されていることはお伝えしました。その後、2022(令和4)年3月に、北海道は、環境生活部くらし安全局道民生活課が「にじいろガイドブック~性のあり方の多様性を理解し認め合う職場づくりのために~」という冊子を発行、配布しています。それがこの資料です。
(ガイドブック提示)

この「にじいろガイドブック」の9ページ、「Ⅱ 性の多様性への理解について 2 職場で理解を深めることの重要性(1)多様な人材が活躍できる職場環境の整備」には、次のような記載があります。
>職場の無理解や偏見、差別、ハラスメントは、性的マイノリティである従業員の職場への帰属意識を失わせたり、勤労意欲の低下や生産性の悪化にもつながりかねません。また、メンタルヘルスを悪化させた結果、場合によっては、休職や退職に至ったり、生命を脅かす自体に発展することもあり、本人だけでなく職場にとっても大きな損失につながります。
>また、人事や労務管理上の問題に対して、誤解や理解不足などから不適切な対応を行うことは、人材の流出、法的責任の発生、企業等のイメージを損なうなどのリスクにもなります。という記載があります。
私自身も、第1回口頭弁論期日で陳述したとおり、被告らから「無視され、差別され続け、心身ともに疲れ果てたのです。そして、不合理な区別、差別を当然とする組織に、自分が所属し続けることに困難を感じ、働く気力がなくなったのです」。そして、2019年(令和元年)6月21日依願退職しました。その後、昨年、2021(令和3年)年6月9日に札幌地方裁判所に提訴し、今まさに、北海道や地方職員共済組合の「法的責任」を問うているのです。

さらに、先日、大学時代からの友人が、専門学校の授業で、性的マイノリティの人権課題を取り上げたいと言ったので、今回の訴訟について事例提供したところ、授業後にアンケートをとってくれ、たくさんの感想や意見を書いていただきました。そこで、お礼の手紙を書いたので、その一部を紹介したいと思います。
>今回の授業を通じて、性的マイノリティについての人権課題だけでなく、マジョリティとマイノリティの関係性や個人の尊厳、人権について深く考えていただけたらと思います。人は、全ての側面においてマジョリティ、あるいは、マイノリティであるとは限りません。ある側面においてはマイノリティであっても、ある側面においてはマジョリティであるということもあります。
>例えば、私は性自認や性的指向という面においてはマイノリティですが、日本にルーツを持ち、日本で生まれ育ち、日本国籍をもっている点では、マジョリティでもあります。そういうマジョリティでもある私の普段の生活の中では、意識しなければ、先住民族であるアイヌ民族の人や外国にルーツをもち、日本で生まれ育った人の姿はほとんど見えてきません。
>しかし、見えてないということは、いないということではありません。いないと思っている属性をもつ人は、もしかしたら、今、あなたの目の前にいる人かもしれません。あなたの周囲にいる人かもしれません。
>差別が大きければ大きいほど、当事者は自分のことを日常的に話すことができません。それはなぜでしょう?私たちは、もっと想像力をもって人と接する必要があるように思います。
>さらに、無関心は差別をする側かしない側か、それとも、中立な立場にいるかという問題があります。無関心でいることは、いじめの問題を想定するとわかりやすいと思います。
>私は社会福祉士ですが、その倫理綱領と行動規範を意識して仕事をしていきたいと思っています。みなさんも専門職として仕事をされる際には、所属する職場の当たり前が、専門職としての倫理綱領や行動規範にのっとったものといえるかも意識してほしいです。
手紙の内容は以上です。

最後に、私がみなさんに知っていただきたいことをお伝えします。それは、私が、今回の訴訟を、単に「性的マイノリティのための訴訟」とは考えていないということです。つまり、今回の訴訟は、すべての人に関わる問題。個人の尊厳や人権を守るための訴訟だと考えております。私からのコメントは以上です。

司会
それでは質疑応答にうつらさせていただきます。ご質問される方は所属とお名前を言ってからご質問をお願いいたします。それでは、ご質問はございますか。

質問者
この度はありがとうございます。今後の訴訟のことについてお聞きしたいのですが、短い意見書などを引用して反論していくということだったんですけれども。どのような意見書、どのような内容の意見書を引用してどのような反論をしていくのかというのをうかがいたいのと。もう1点、今後、次回反論提出して、またその次回陳述、()の陳述書を出して、その次()に入って。そして結審という流れ、スケジュール感なのでしょうか。うかがいできればと思います。

弁護団(加藤丈晴弁護士)
はい、ご質問ありがとうございます。今後の進行についてなんですけれども、今日、裁判長がこの裁判は法的な許可を争っている裁判なので、尋問とかはどうされるんですかねというふうにお聞きになったっていうのを耳にされたと思うのですけれども。普通、尋問というのは事実関係を争うときなんですよね。例えば交通事故で何かぶつかったときに赤信号だったのか、青信号だったのか、そこが争われるとかですね。お金を貸したのか貸してないのか争われるとか、そういう事実関係を明らかにするために当事者の話を聞きましょうという話しになるので。本件の場合は、主にこの条例ですとか、あるいは、地方公務員共済法の条文解釈の話しになってくるので、そうなると純粋に法的な問題なので尋問はやらないのではないか。そういうふうに裁判長の問題意識というのが見え隠れするんですね。ただ、この裁判というのは法律の解釈だけを争った裁判なのかといったら決してそうではなくて、損害賠償請求な訳ですよね。損害賠償請求、損害って何ですか。と言ったら、それは佐々木さんが受けられた精神的な苦痛ですよね。そうするとその苦痛がどれほど大きなものだったのかというのは、これは原告側が立証しないといけない訳ですから。その立証の中で、当然、その精神的な損害がここまで大きかったですということについて、これを明らかにするためには当然、原告本人の尋問が必要になりますよね。こういうことになる訳で、そういったことは当然、今後、これはもう、尋問というのは裁判の手続きの最終番に行うものですので。最後の最後に尋問をして、そして最後に最終準備書面を出して、だいたい裁判を終えるというのが一般的な流れですので、それは、後半のクライマックスという形になります。ただ、その前に、国から言われたものに対してですね。国じゃない、ごめんなさい。道から言われたものに対して、言われっぱなしというわけにはいきませんので反論はします。ということで。ただまあ、今回の準備書面に書いていることは、ほとんど前の準備書面に書いてあることの繰り返しなんですね。なので、改めて何を反論するって、結局、同じ事をまた反論することになってしまうので、そのあたりは、前回の準備書面を出してから、今回の準備書面を出すまでの間に、意見書は、実はこの裁判のために書いてもらった意見書ではなくて、同様の論点が問題になる名古屋、いま名古屋高裁にかかっている犯罪被害者給付金支給法の、その給付金の受給資格。これが同性パートナーにもあるんじゃないかということで争っている裁判があるんですけれども。そちらの方で提出されている民法の学者の方々の意見書。いわゆる民法上の内縁関係というのはどういうものなのかということについての意見書が何通か出てまして、それをそのままお許しをいただいて、提出をしていると。論点が重なるものです。ですので、その意見書にもとづくきちんとした主張はまだしていないので、今回はその意見書を引用しながら道の主張に対する反論をすることが必要になるのかなというふうに考えてまして、そういったことをまずは準備していきたいというふうに思っております。以上です。

質問者
よろしいですか。ちなみに結審の時期っていつぐらいになりそうでしょうか。

弁護団(加藤丈晴弁護士)
それはまだわかりませんけど。まだ先のお話しですので。ですから、次回期日までに陳述書を出すということはこちらはまだ言っていません。ですから、次回は反論書面の準備で手一杯になるので、陳述書の準備まではできないだろうと思っていますので、2ヶ月後の次回期日には、こちらは道の書面に対する反論の書面を出す。というところまで。おそらくそれに対して、国が反論、あ、道が反論したいというのか、それとももう反論はありませんというのか、ちょっとわかりません。それは道の対応しだいなので、私たちではどうしようもないことなので。道が反論するっていったときに、その反論を待った上で陳述書を出すのか、その反論と同時に陳述書も出してくれと言われるのか。おそらく今の裁判所の雰囲気からすると早く終わらせたいと思っているのはもう目に見えていますので、おそらく、次回、道が反論するのと同時に原告側はおそらく陳述書とそして証人申請を出してくれ、証人というか原告本人尋問の申請を出してくれと、おそらくそいう指示が裁判所からあるんじゃないかなという予想をしています。そうすると、原告本人尋問がいつぐらいになるのかというと、年内はおそらくはできないとは思いますけれども、年内できないとは断言できないのかな。年末か年明けくらいに原告本人尋問を行って、その次に最終準備書面を出して、結審という話しになるので。年度末か年度明けか。これも不確かなことを言って、紙面に4月結審なのでと書かれても困りますので、それはまだどうなるかわかりませんけれども。そういうようなペースで進んでいきますので、だいぶ、裁判としては大詰めを向かえているということにはなります。はい、以上です。

質問者
ありがとうございます。

司会
それでは他に、ご質問がある方いらっしゃいますか。

質問者
本件の裁判とはずれてしまうかもしれないのですが、先日大阪地裁の方で同性婚の判決について合憲の判断が出されました。あの裁判は結婚という、婚姻関係というところに焦点を置いているとは思うんですが、パートナーというその関係性において、子を産み育てる関係っていうところですとか、異性間に限るっていうふうな、そのパートナー関係っていうものをある意味限定的にするようなニュアンスのような、こう判断がされていたんじゃないかなぁというふうに感じたのですが、佐々木さんはあのケースを、あの件をどのようにご覧になりましたでしょうか。また、本件と少し違うというふうに感じるところがあれば、その点のご指摘していただきつつご回答いただけますでしょうか。

原告
はい、佐々木です。先日の大阪の地裁の判決のこと、ということですよね。私、ちょっと仕事バタバタしていて、なかなかその判決の文とか読んでなくて、ニュースちらちらっと見たりしただけなんで、きちんとしたこと言えるかわかんないんですけれど。今朝、NHKのニュースの、ネットで調べて読んでました。それで、その男女が子を産み育てる関係っていうところに限定しているっていうことですよね。そのようなニュアンスのことですよね。それのことですよね。そこが、24条にも14条1項にも違憲とは言えないというような中身の判決だったのかなと思っていますけれど。そもそもこれまでの報告集会とかでもお話ししていますけれど。異性間のカップルでも子どもが産み育てられない方であっても婚姻ができるんですよね。それなのに、その方々、この判決はその方々をも傷つけるような中身だったのかなというふうに思っています。あと違いですかね。違いって言うことになると、私は本当に結婚を認めてくれと言っているわけじゃなくて、その「実」っていうか、その結婚したら得られる部分、権利。そういうところをお話ししていて、今回、前回からも提出されている、原告側からの準備書面の(2)ですかね。本当に石川大我先生の方で調査された扶養手当等の調査が裁判所に提出されていますけれど、本当に、実際にやっているところが全くない訳じゃないし、調査すればするだけ実際にその扶養手当等の認定しているところが、実際条例を、あたりを解釈で適用できたり、わざわざ変えて積極的に同性カップルを認めるんだよって言っていうところもあるというところで。結婚したいっていうことを認めてくれというよりは、私の裁判、私たちの裁判は、そういう「実」のところを争っていることかな。というふうに思っています。以上です。

質問者
ありがとうございます。

司会
それでは他に、手前の方。

質問者
佐々木さんにうかがいたい。今ちょっと回答の中にもあったんですけれど、他の自治体の福利厚生の調査の結果ですね。結構、単純に足し算すると三十いくつの自治体がもうすでにそういうことをやっているっていう結果。この結果をどう受けとめられているかうかがってもよろしいですか。

原告
はい、そうですね。いや、あの、こんなにあるんだなってびっくりしました。っていうのが、まず思ったことです。それで、そうですね。私がその届出をした時の前後関係はわからないけれど、実際、今の、どの時点での調査かわからないですけれど。そういう解釈をし得たり、わざわざ改正したりっていうところが出てきているっていうことであれば、まず、もしかして、私が一番目に届出をしたとしても、それは北海道が、なり、地方職員共済組合が積極的に解釈運用していくべきところだったんじゃないかなというふうに思っています。よろしいですか。

質問者
で、この調査結果に対して、被告側が、他の自治体の解釈にすぎないみたいなことを言っている。これについてはどう思われますか。

原告
あ、そうですね。それはあの前に、加藤先生がちょっと説明をされていたかなと思うので、加藤先生にお話ししていただいた方が適切かなとは思うんですけれど。やっぱり、私、さっきもコメントでお話しさせていただきましたけれど、個人の尊厳とか人権を守るっていう観点で物を考えているかどうかってことなんですよね。社会情勢、みんなが理解したからそういう権利も与えるっていう類いのものかっていうか、そういうものかどうかっていうのを、なんか、こう、考えて欲しいなっていうか、そのへんが、ちょっと理解に違いがあるのかなというふうに思います。以上です。

質問者
ありがとうございます。

司会
それでは他に、ご質問がある方いらっしゃいますか。

質問者
質問させていただきたいと思います。何回か傍聴を聞かせていただいているんですけれど。先ほど、加藤先生のお話の中で、精神的な苦痛っていうのを、これから主張していくことにもなると思うっていう話しがあったんですけれど、ずっと傍聴させていただいたりとか、同性婚の方も傍聴しているんですけれど。なんか、どうしてわかってもらえないのかなっていうことがずっと一貫してこうあって、なんか、あたりまえでしょってとても言いたくなるようなことをずっと、みなさん頑張って、たたかってらっしゃるのを見させていただいているんですけれど。なんかその精神的苦痛っていうのを、なんかこうあたりまえのことだって思っているんですが、それをなんかどう、なんか主張していかれるのかなと思って。ちょっとこう専門的な話しになってしまうのかもしれないんですけれど。なんかあたりまえのことを相手は解釈の問題だというような、ちょっとそういう切り捨てるような表現をいつもするので、そういう相手に対して、どう、その精神的苦痛っていうのを伝えて、たたかっていかれるのかなあと思って、そこをちょっと教えていただけるとありがたいです。すいません。

弁護団(加藤丈晴弁護士)
それは弁護団に対してですか。

質問者
どちらからでもかまわないんですけれど。

弁護団(加藤丈晴弁護士)
精神的苦痛をどう立証するかっていうのは、もうそのままですと。本当に、佐々木さんが感じてられておられることをそのまま法廷でお話しいただくという、それ以上でもそれ以下でもなくて。なぜあたりまえのことがわからないのかっていうのは、それはもう、我々もこの裁判を関わっている中で、もちろん同性婚の裁判もそうですし、この裁判もそうなんですけれども、やっぱり見えている地平が全然違うんだなっていうのは、この間の大阪の判決もそうですけれどもね。やはり、もう結婚は男女のもの、当然じゃないと思っている人からしてみたら、何を言っているんだと。私たちの主張はそう見えている訳ですよ。男同士、女同士で結婚って、いや、ちょっとおかしな人たちだねと。そういうふうに見えてしまっている人たちの基本的な価値観を変えさせるっていうのは、これは簡単なことではなくて、一つの裁判でもちろん成し遂げられることではないと思っているんです。なので、私たちは私たちが当然と思うことをとにかく裁判で主張していくしかなくて。同時に、やっぱり、世の中の人たちが結婚というものをどう考えるのか、あるいは、多様性とか今いろいろと言われているダイバーシティー、ダイバーシティーアンドインクルージョンとかいろいろ言われていますけれども。そういった多様性を尊重するっていうのがどういうことなのかということ。考えてみればあたりまえのことで、なぜ異性カップルは結婚できるのに、同性カップルは結婚できないのか。明確にこれを説明するっていうのは簡単ではない訳ですよね。で、ただ、多くの人たち、例えば、弁護士でもいるんですよ。いや理屈ではわかるけれど、気持ちがついていかないんだわって言われるんですよね。面と向かってね。そこって結構重要なところで、結局、気持ちがついていかないってなんだろうっていう話しで。もちろん憲法14条が合理的な理由のない差別は禁止しています。で、なぜ異性間は結婚できるのに、同性間は結婚できないんですか。それ合理的な理由あるんですかっていわれたら、彼らは明確にはもちろん答えられないわけですけれど。だから理屈ではわかるんです。でも、なんか気持ちついていかないっていうそういう状況の中で。気持ちついていかないっていう部分を理屈だてたら大阪の判決になる訳なんです。じゃ、なぜ気持ちついて行かないのか。あ、そうそう、だって我が国の歴史と伝統は、男女間の婚姻、これが歴史と伝統ですよねって。だから、男女が結婚するというのはあたりまえのことであって、なぜといわれても困るのだと。で、あえて理由をつけるとすれば、子どもが生まれるから。生殖目的。それを保護したと、こう説明すれば、とりあえず説明できるかなと。だから結局、先にあるのは違和感なんです。なぜ男同士、女同士で結婚したい。別の制度つくる、それでいいじゃない。なんで結婚なんていうのにこだわるんですか。結婚は男と女のものでしょ。それ以外の方法でもいいじゃないか。なぜかわからない。ここがスタート地点なんです、結局。裁判官は、そこを説得しきれなかったといえばそういうことなんですけれども。やっぱり全く違う価値によってたつ人たちにもわからせるって、すごい大変な訳ですよね。なので、理屈でどれだけ憲法14条がとか24条がと言っても、それは結局あとづけの話しで。最終的には、その違和感というものを、どうなくしていくのか。やっぱりそういう人たちにも、なるほどおかしいよねって思ってもらうためにどうしたらよいのか。これは一つの裁判ではできなくて、Marriage For All Japanという団体とかでいろいろとね、キャンペーンをやったりだとか。選挙もそうだし。あるいはいろんなイベントを通したり、あるいはいろんなオンラインのツールを通して訴えてますけれども。まぁ、そういうのもやっぱり、結婚て当然異性間のものだよね。っていう、その思い込みをどうやって少しでも、え、でもそれってやっぱり違うかもしれないっていうふうに思ってもらえるかっていう働きかけの一つですよね。ですからこの裁判もまさに一つの裁判という、こういう裁判が、先ほどお話しをしたように犯罪被害者給付金支給法で争っていて、同性婚の裁判で争っていて、この裁判で争っていて、まだ他にもたくさんいろんな形で争っている訳ですけれども。まさに、積み重ねによって、私たちは現にここにいて、こういう点が困っているという。こういう点はおかしいですよね。そもそもへんじゃないですかっていう、そういう、こう、主張を積み重ねていくことで裁判官を説得していく。で、今の裁判官の反応をみていると、あのやっぱり札幌地裁の同性婚の裁判の判決を書いた裁判長とは違って、やっぱりぴんときてないだろうなっていうのが見え隠れしちゃうわけです。ですから、ああいう人は大阪のような判決を書いちゃうかもしれないと私たちは心配している。じゃ、そこで、どう、こうね、訴えて、その考えが違いますよっていうことを言っていくのか。まあそれは、答えがあれば教えて欲しいくらいなんですが。まずは、本当に実態、その同性パートナーで暮らすということの実態を、きちんとやっぱり尋問で浮かび上がらせて、このお二人に、なぜ当たり前の扶養手当が認められないんでしょうか。いやいや同性だからだよっていうことで切り捨てるのおかしいんじゃないですか。やっぱりそれをきちんと、あの裁判長にわかって、裁判官にわかってもらうっていうこと。これが非常に重要なのかなというふうには思っています。なので、秘策もないし、戦略も、これというものがあるわけじゃないんですけれど。本当に一つ一つの積み重ねなのかなというふうに思っております。以上です。

質問者
ありがとうございます。ただ、あのすごい難しいことだなって、今、お話しうかがってて思ったんですけれど。最近、いろんなこう作品の中とかで、そういう同性の方の取り上げる作品とかも増えてきてて。私の職場のこう上司とかも、ちょっと否定的だったんですけれど。そういう作品とかを見たりして、どうしもこれから患者さんとかで増えていくよねっていう発言をされるようになってきたりとかして。本当に少しずつかもしれないんですけれどちょっと変わってきているところもあって。本当になんとかなってほしいなというすごい率直な感想です。ありがとうございます。

司会
では他に、ご質問がある方はいらっしゃいますか。ご質問ではなく、原告に対するメッセージ、ご意見など。そういったことも、もしあれば、いただければと思います。

質問者
以前、学習で大変お世話になりました。今回のこの裁判で、まさにその尊厳を守るたたかいっていうところではとても共感いたしました。それと、先ほどの解説でもあったところでは、理屈ではない気持ちの部分をどう高めていくかっていう点においては、例えば、こう支援者だとか、世論の高まりっていうところが、高まることによって、何か裁判に影響を与えることができるのかどうかっていうのはちょっと聞いてみたかったです。そういう視点で、何か自分も力になれることがあれば、是非、協力していきたいなと。あまり、具体的な点は思いつきませんですけれど、例えば署名だとか、あるいは、なんかこう世論が高まる、なんていうんですかね、SNSのTwitterデモだとか、そういったところぐらいしかちょっと思い浮かばないですけれど。例えば、そういった世論の高まりによって、なんかこう裁判に影響を与えることができるっていうのも、なんか戦略の一つとしてあり得るのかどうかっていうのをちょっと聞きたかったです。

原告
いつもお世話になってます。ありがとうございます。そうですね、署名だとかSNSで発信だとか、そういうことをしていただけるんであれば、それは本当に大変ありがたいことかなというふうに思っています。本当に裁判傍聴していただけるとか、報告集会に来ていただけるとか。そういうこと。裁判の傍聴っていうのは本当に裁判長、裁判官が見ていますから。平日の時間で、なかなか、みなさんに来ていただくのって本当に難しいんですけれど。そういう呼びかけとかしていただけると大変力になるなと思います。本当に裁判、この裁判、私と意見が同じっていう人もそうだけれど、意見が違うっていう人にも関心をもつってことはできるかなと思うんですよね。そういう方にも来ていただきたいなというふうに思っています。以上です。

弁護団(加藤丈晴弁護士)
傍聴の話し、先ほど佐々木さんから出ましたけれど、傍聴席を埋めるっていうことは裁判官にプレッシャーを与えることになるので、それが非常に重要ですし、是非、お願いしたいというふうに思ってます。あと、やっぱり社会の関心が、裁判官って、やっぱり世の中がどっちを向いているかっていうのがものすごく気にするんですよね。で、なので、世の中が当然、同性パートナーにも認められるべきだよねっていうふうに流れていくと、そういう方向でこう安心して判決を書ける。まだ世の中はそういう方向になっていないんじゃないかっていうふうに思うと、大阪みたいな判決になっちゃう訳なんですよね。まだ議論が足りない。ということを言い出すわけです。ですから、もう議論をするまでもなく、こんなの議論の問題じゃなくて、あたりまえのことですよ。みんなそう思っていますよっていう空気が、社会の空気ができると、裁判所もそういう考え方をするようになるのかなというふうに思ってますので、ですので、本当にSNSとか、そういう発信とかで、応援しています、あるいは、この間の大阪のような判決を、とんでもない判決だと思いますというふうに声をあけていただくことで、それを、いろんな形で裁判官も目する訳ですよ。やっぱりそれは報道ですとか様々な形で、ですね。そういったものがやはり影響を与えていくのかなというふうに思いますので、あの是非、そういった発信も含めてですね、ご支援いただければと思います。よろしくお願いいたします。

司会
では他に、ご質問やメッセージがある方はいらっしゃいますか。
それでは、これで質疑応答は終了とさせていただきます。あわせて本日の報告集会は終了することといたします。みなさまありがとうございました。

最後に2点ほど、アナウンスがございます。まず1点目は出入口のところに、こちらの訴訟についてのカンパ箱をおいてあります。この度の報告集会の会場費用や訴訟を告知するチラシの作成費用など、現状全て原告が負担をしております。こちらの訴訟を応援していただける方はカンパのご協力をお願いいたします。2つめにマスコミの方へのご案内となります。こちらの報告集会終了後、私の方に来ていただければ、マスコミの幹事社の方に、被告ら第2準備書面と原告が提出いたしました準備書目(2)のデータなどをお渡ししたいと思っております。この後にお声がけいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

*質問者の所属と氏名にかかる部分は削除しています



この先には文章はありません。
元道職員SOGIハラ訴訟ではカンパ(寄付)を集めております。いただいたカンパは、憲法第14条1項「法の下の平等」を求める裁判を支える費用として使わせていただきます。あたたかいご支援お待ちしております。


ここから先は

88字

¥ 500

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?