かつての宝探し
先日本屋に行ったとき、エコバッグを忘れてしまい書店で袋に入れてもらいました。
袋を提げての帰り道、ふと懐かしい気持ちになりました。
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私は小さいころ、かなり長い時間本屋にいました。並べられた本の装丁を眺めたり、裏のあらすじを読んでみたり。
本当はどれも読んでみたいけど、お小遣いではとても無理な話です。だから吟味を重ねたとっておきの一冊をレジに持っていく。
そのときの高揚感、そしてその本が入ったショップバッグを提げて帰る、誇らしさ。
そんな気持ちをふと思い出しました。今はエコバッグが主流になり、どこへ行っても同じバッグを提げるようになったので、珍しく手にした書店のショップバッグが呼び水となったのかもしれません。
社会人になって、本屋からはすっかり足が遠のいてしまいました。本を読むことが少なくなったのと、Kindleを購入したことがきっかけです。
Kindleは本当に便利ですが、欲しい本をピンポイントで購入することが多くなり、本屋を果てしなくさまよう「宝探し」をする機会はなくなってしまいました。
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欲しいものにピンポイントでアクセスできる。それは紛れもなく素晴らしい機能で、もはや失い難い存在です。
しかし今回、自分の好きなものを忘れてしまっていたなあと感じました。
便利・不便という事実や現実とは別の場所に、自分にとって大切なものがひっそりと置き去りにされているかもしれない。
時代や手段は少しずつ変わっていっても、そんな自分にとって心地よいと思える感性は、忘れずにいたいと思いました。