実録 ドラキュラ菜園に立つ 8

師匠は舞い降りた

仕事が忙しくてこちらの更新がはかどらないうちに、種まきを直播したトウモロコシ、つるありインゲンなどがそろそろ20cmぐらいになってきた。菜園には小鳥やモンシロチョウ(私はアブラナ科のものを今育てていないのでモンシロチョウには目くじらを立てない)などが訪れて、最初の殺風景なむき出しの荒地が、緑美しいのどかな景色になってきて、私の心は弾んでいる。

↑ルバーブ。

ズッキーニと、左にはつるありいんげん。右はかぼちゃと、育つまでの間に二十日大根もはさみ込むのであった。

先に植え付けたジ第一陣の成長もまずまず順調、なんとなく畑らしさを醸している。いよいよ夏野菜の苗の用意しどきである。トマト、ピーマン、ナス、オクラ、ゴーヤ、きゅうりなどである。一体この狭い畑のどこにそれだけの種類を植えるのか、となると、各種類につき1株か2株、多くても4株ぐらいしか植えないのであり、そうなると俄然「よい苗を選ぶ」という事が肝要になってくる。ホームセンターにひしめく苗たちはみなこぞって「甘い!」「リコピン10倍!」「病気に強い!」とそれぞれの美点を叫んでいるが、全員がそう言っているのではまったく選びようがないのであり、結局はカンで「なんとなく良さそうな品種」を選ぶ。苗おのおのについては、よく言われるように、「徒長しておらず、しっかり育っているもの」を選びたいが、それについても正直だいたい皆同じようなものだ。

さて、植え付けをしていると、おとなりさんが話しかけてくれる。おとなりさんの年上の女性は、そうとう菜園歴の長い手練れのようで、そうやってまじまじ見てみると確かに畑の様子が「違う!」のである。彼女のほうがやや早めに展開しているというのもあるが、明らかにわたしの畑より彼女の畑の方が、なんというかこう、勢いがある。生き生きしているというか、端的にいうと三倍ぐらいすごい。やはり経験や実力の差というのはあるのだなーと感心し、お話を伺う。苗についての話になると、曰く、ホームセンターの高いブランド苗よりも、そこらのスーパーで五十円で投げ売られていた無名苗の方が元気に育ったりすることもあり、苗選びは難しいとのこと。さらにそこへ、彼女が師匠と敬う年配の男性がふらりとやってきたのである。わたしもこの際師匠に教えを乞うてみる。自然栽培派の師匠によると、

●雑草は引っこ抜かなくても作物より高くならないように刈ればよい。地面がある程度雑草に覆われていると土の乾燥も防げるし、害虫も雑草がないと作物ばかりにかえって集中する。

●刈った雑草は土の上に自然に重ねておけば良い。米ぬかなどを撒くとなお良い。

●肥料のやりすぎに注意する。トマトの葉の色が濃すぎるのは肥料のやりすぎである。少し薄いぐらいの色合いがよい。

●じゃがいものそばにナスやトマトなどナス科の仲間を並べると害虫にとっては楽園ゾーンが形成されてしまうので離した方が良かった。(後の祭りである)

●じゃがいもはどんどん盛り土をして出来てきたじゃがいもを隠していかなければソラニンが形成されてしまうので、そもそも畝を作らないで植えるべきであった(わたしもそんな気はなんとなくしていた、これも後の祭りである)

●また、じゃがいもとナスが隣だが、かたや乾燥を好み、かたや水分を好むのでよろしくなかった。(あちゃー)

などなどである。まだまだお話を伺いたいところだが、いかんせん夕方から作業をしているので、もうタイムアップである。「またなんでも分からなかったら訊きなさい」とありがたいお言葉を残し、園芸大先輩は夕日に照らされながら去って行ったのであった。さて、話を聞いていた間作業がさっぱりはかどらなかった私もカラスが鳴くから作業半ばにして帰るしかないのであった。


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