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「月夜」

雨粒を滴らせる窓よりも
冷えた体温では
指文字は残らない
透明なガラス窓の上

なぞってもなぞっても
描いているはずの
残痕はその欠片さえ浮かべず

諦めの意味をその時
誰が知っていただろう

月の仔さえも凍え死んだ
井戸の底で

―――詩集「胎動」より


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