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一年、長野旅行をふりかえる
9月7日は父の命日。ちょうど一年が経つ。
その日私は長野にいた。旅行に行っていたのだ。
旅行の少し前に見舞いに行ったけど、コロナ禍で面会制限があり結局病室には入れなかった。
旅行に行くのは迷ったけれども前々から決めていたことだし、医者の見立てでは大丈夫だろうということだったので、出かけることにした。
でも結局旅行の間に父は亡くなってしまった。
私はなんで実家に帰らなかったんだ…
やっぱり後悔した。
上田駅から実家に帰る新幹線の中で声を殺して泣いた。多分周りから白い目で見られていただろうけど、そんなの気にならないくらい涙が止まらなかった。
でも、一年たった今、もちろん涙は出ないわけで。
悲しみの渦中にいるときは、この気持ちがずっと続いていくのではないかと絶望的になる。けれど、いつまでも同じ気持ちが続くわけはない。時間はかかっても、グラデーションみたいに心は変化していく。
後悔の念は完全には消えないけれど、今はその日のことをとてもフラットに、ニュートラルに思い出せる。
長野の山の美しさや、野菜のおいしさとかキラキラしたものまで。
せっかく撮った写真もあるし、
今更ながら長野旅行のことを振り返ろうと思う。
上田城
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まずは上田城。
有名なお城なのに天守閣もなく残ってるのは一部だけというのが、なんか意外。
大河ドラマで堺雅人が真田幸村を演じたときは大層盛り上がったようで、今も街の至るところに堺さんのポスターが貼ってあった。
真田幸村という人のことは詳しくは知らないけれど、玄人好みの戦国武将というイメージがある。真田幸村が好きって言っときゃかっこいい、みたいな。(適当ですみません。笑)
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城内にあった立て看板。
500万という金額が高いのか安いのかはよくわからないけれど、そこはかとない郷土愛を感じる。
umataco(SEKIDO錆作所)
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大学時代からの友人が上田に住んでいるので、合流してご飯へ。
まさか長野まで来てタコライスを食べるとは思わなんだが、めちゃくちゃ美味しかった。野菜が美味しいのだ。ちなみにこのスープも美味しかった。(ズッキーニが入っていた)
とにかく全てにおいて目が覚めるような野菜の美味さであった。
ジェラート ちるちる
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友人に連れられて、さらに東御市のジェラード屋さんに。
これがまた濃厚でなめらかでとっても美味しいジェラードだった。
ただ一つ残念だったのはその日がかなり寒い日だったということ。九月の初めなんて、残暑厳しいはずなのに。なんだかすごく寒かった。
これも山の多い長野ならではの天気なのか。
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岩をまるごと使った看板が味わい深い。
ジェラードみたいな形だからって、えっちらおっちら運んできたのだろうか。
想像してニヤニヤしてしまう。
暑い日にまた行きたいなぁ。
道の駅 雷電 くるみの里
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東御市の道の駅にて。
くるみの一大産地で道の駅にもくるみが売っていた。わたしが心惹かれたのはこのでっかいくるみの標本。くるみと一言に言っても本当にいろんな種類があるものだ。
ねえ、くる〜み〜
ミスチルファンなので、つい呼びかけたくなる。
焼匠 政宗
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夜は宿の近くの焼き鳥屋へ。
ご主人が1人で切り盛りしている、地元の人からも愛されているお店。
焼き鳥屋だけどなぜかオニオンスライスがすごく美味しかった。「長野は野菜が美味しい」を確信に変えた一皿である。
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店主の遊び心(いや、下心?)溢れるドリンクメニュー。
パンティーはパッションフルーツと紅茶(ティー)のリキュール、ブラジャーはブランデーとジンジャエールのカクテルだそうな。
大きさをカップで呼ぶ徹底ぶりである。
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翌日は早起きして、温泉街を散策する。
立派な木立のなかにひっそりたたずむ山寺。神々しいものを感じる。
(仏様がいるお寺に「神々しい」ってのも変か。)
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そして、レトロな別所温泉駅を見学。
駅舎は現役で使われている。
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ノスタルジーな雰囲気に浸りながらも、私は別のことを考えていた。
昨晩遅くに母から連絡があり、父の容態が少し良くないと聞いた。
でも、今までもそういうことはあって、持ち直したり、看護師さんが大袈裟で実際はそこまで悪くなかったりしたので今回も大丈夫なのでは、と思っていた。
今日は上田に住んでいる叔母(父の妹)と会うつもりだったけど、とりあえず挨拶だけしてすぐ帰ろうか。そのまま実家に向かおうか。
そんなことを考えていた。
今こうして写真を見ると、前にも後ろにも進めないような宙ぶらりんな気持ちが甦ってくる。
そして、その数時間後に、父はあっけなく亡くなってしまう。
長野から急いで実家に帰り、葬式の準備のてんやわんやであっという間に時間は過ぎた。
人が一人死ぬということは、大変なことだ。
物理的にも精神的にも、周りに大きな影響を与える。
私は父のことがあまり好きではなかったけれど、それでも、父が生きていた時と亡くなった後では、全てが変わったように感じる。
とにかく私は、父がいない世界を一年生きた。
さらに年を重ねていくだろう。
なるべく人には優しくしようと、父が亡くなった時に誓いを立てた。
誓いなんて大層なものでもないけど、折に触れて思い出す。
いつもできているわけではないし、人によって優しさの定義は異なるから難しいけれど、その度に私は思い出す。
思いだすことが父が生きた証になるかも知れない。
余談
しんみり終わりたくないので、お葬式の間で一番笑ったことを。
叔母たちと火葬場に向かう車の中での出来事。
火葬場の入口が混んでいて、霊柩車が詰まっている。
なかなか前に進まない。
どうやら私たちの前の火葬がまだ終わってないらしい。
叔母「なんだ、まだ入れないの?」
叔父「まだ前のが焼き上がってないんだべ」
叔母「焼きあがるまでそんなにかかるかい〜?」
叔父「かかるべ!焼き上がるまで結構時間かかっぺ〜」
「焼き上がり」と聞くと、どうしても職業柄パンとかケーキの焼き上がりをイメージしてしまい、思わず笑ってしまった。
不謹慎ですみません。
でも、不謹慎な時に限って、笑ってしまうことってありますよね。