希望から現実へ
「あら、おかえりなさい。」
紫陽花を両手に抱えて、庭先からひょこっと現れた。1週間ぶりに病院から帰ってきた彼女は、どことなく痩せて見える。いつも通りに笑顔を見せた。
「明日は、花を配達に行くからね」
このまま自分を律することができなかったら、くたばってしまうわと言わんばかりに、彼女の身体は動き出す。その光景が信じられなかった。
「わたしね、帰ってきて、びっくりしたわ。野原も畑の草もみーんな伸びてて。あら、ここ本当にわたしのお家かしら?って聞いちゃったもの。」
植物や木々の草花への眼差しが、この土地を守り続けてきた。まるで、こんちゃんと草花がここでダンスするように、互いに寄り添い生きているように見える。
「希望は、現実に勝るわ」
色んな障壁や恐れが現れたとき、希望だけは失わない。気づけば、この土地を存続させるための人が集まってきた。点と点が結びつく
わたしはきっと一本の線に辿り着くまで、何かを表現することを諦めない
幼少期に決めた、行動し続けることでしかわたしの価値を存在させることができない強い信念を、ここで生かすときが来た。弱くて逃げ出したくなるわたしを、ちゃんと受け入れて、心の変化を楽しむことができるようになったと思う。
わたしはまだ、残してもらったものを受け取っている最中で、誰かに伝えることができるのは、まだまだ先。けれど、こうやって文字や写真だけに頼らずに、しっかりと記憶もして思いもきちんと込めていきたい。
伝え、継承していく。
いろんなものがまた、動き出した。また周囲と新しい関係が始まっている。私はやっぱり、少女のように、ロックのように、生きていきたいと願う。
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