死産後に苦しんだ経験は決して無駄になっていない…
前回7月にnoteをあげてから気がついたら2ヶ月以上の期間が空いていて自分でもビックリ・・・
とにかくこの2ヶ月新たな出会いや活動、久しぶりの遠出の旅をしたりバタバタと過ぎていきました...
そんな忙しい期間でしたが必ず毎回見ていたのが、「転職の魔王様」というドラマ。
このドラマは様々な理由から転職しようとしている方(転職希望者)をサポートするキャリアアドバイザー(CA)の物語で、一昨日が最終回でした。
私は転職エージェントのCA(キャリアアドバイザー)をしていたので、良い意味でも悪い意味でも、毎回登場人物たちのセリフが心にグサグサと刺さり…色々考えさせられました。
ちなみに現在は働くことに悩みを抱えている方の就労に向けた支援を行う機関で相談員として働いており、就労までの道のりをサポートしています。
2つの場所で就労支援の経験をしているからこそ、「わかるなぁ...」と思う場面や自分とリンクすることが多々あり...とてもリアリティあるドラマでした。
特に9話の”引きこもり”が軸となったストーリー。
現在引きこもりの方の就労支援をしているからこそ色々思うことがありました。
改めて思ったことは、引きこもりは簡単に解決できる問題ではないということ。
ドラマでは引きこもりだった男性は1歩前に進もうと決意し、これから自分のペースでゆっくりと進んでいく…というラストでした。
自分自身で1歩前に進もうと決意し、自分のペースでゆっくり進んでいく・・・・
そう、言葉にするのは簡単です。
しかしこれまでサポートをしてきて思うことは、引きこもりだった方の社会復帰までの道のりはそんなに簡単ではなくそして時間がかかるということです。
わたしがサポートをしていたAさんは、大学卒業後10年近く引きこもっていました。
引きこもりになったきっかけは、学生時代の就職活動。何十社も受けましたが面接で上手く答えることができず、結果1社も内定を得ることができませんでした。
そして卒業後にアルバイトの面接を受けたところそれも落ちてしまい、、、
本人曰く、そこで”心が折れてしまった…”とのこと。
それからは、ずっと自分の部屋で過ごし、だんだんと昼夜逆転になり、外に出ることがほんとんどない生活を送るようになってしまいました。
引きこもりといっても、それぞれの事情を抱えています。不登校や退職、人間関係等の悩みから引きこもり状態になっている人も多くいます。(内閣府の調査によると、引きこもりは全国で約146万人と推計されています)
Aさんは親から行くよう勧められたのと、自分自身もこのままではマズい…という焦りもあり、勇気をふりしぼって相談に来てくれました。
私は「まず(体力的にも精神的にも)負担にならない範囲でやれることをやっていきましょう」と伝え、”規則正しい生活にもどし体力をつけること”を最初の目標にしてAさんをサポートすることにしました。
まずは散歩を習慣化するところからスタート。最初は時間も短く、行く頻度も週に2〜3回。それから徐々に時間が長くなり、行く頻度も増えていきました。また散歩とあわせて家で軽い筋トレもするようになり、そして起床就寝時間、何を食べたか、何歩歩いたか、どんな筋トレをしたかなどを毎日ノートにメモしてもらうことに。
週に1回する面談では、上記の報告がメインでした。生活リズム、睡眠時間、散歩した時間と距離、散歩しているときにこんなことがあった、〇〇というyoutubeをみて筋トレをしている・・・といったような報告と雑談を1年間くらいしていました。
そして2年目からはだんだんと、自分の好きなこと(アニメや漫画)や最近話題になっているニュースに関して自分の考えなども話すようになり…
そして少しずつ内省するようになっていきました。
過去を振り返り、いまの自分をみつめ、この現状を変えるのは自分自身であり、自分の考え方や物事の捉え方、自分の行動を変える、、という内容にだんだんと変わっていきました。
3年目にはいり、行動を変え新しいことにチャレンジするという目的で”職場体験”をしてみることになりました。Aさんは最初は不安が強くなかなか”やってみよう”という気持ちになりませんでした。
しかしいざ勇気をだしてやってみると「いまの自分でも働ける…大丈夫だ!」と、不安はむしろ自信に変わっていきました。
そして、そのまま体験先でアルバイト就労することになりました。
現在Aさんは同じ職場でアルバイトから契約社員にステップアップし週5日フルタイムで働いています。
最初の面談をしてから約2年半…
Aさんは、最初来たときと全く違う生き方になっていました。
こうやって改めてAさんとのやりとりを思い出すと「どんな状態であったとしても人は成長する力を持っているんだな...」と胸があつくなります。
そして支援者として長期間寄り添う気持ちをもつことが何より大事だったな、、と思います。
なぜそこまで粘り強く寄り添うことができたか、、?
それは私自身が死産後に身動きがとれず苦しい状態になった経験があったからだと思います。
まわりは変わらない日常をおくっているのに、自分は何もやる気がおきず、無気力な状態のまま時間だけが過ぎていく、、
出口が見えない暗いトンネルに1人いるような感覚...身動きが取れない状態、その苦しさは実際になってみないとわかりませんでした。
そして自分自身が心に傷を負い苦しい経験をしたからこそ、いま本当の意味で人に寄り添えるようになったと感じます。
ドラマのなかで「キャリアアドバイザーの原点は人に寄り添うこと」という台詞がありましたが、本当にそうだと実感しています。
わたしが死産後に苦しんだ経験は決して無駄になっていない…
いまはそんなふうに思えるようになりました。
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