ピリカの安静鑑賞日記①「恋は雨上がりのように」
今月の手術にそなえて、仕事をセーブしている。楽しみはNetflixの映画くらいだ。ちょうどいい機会なので、療養期間に見た映画の感想などあげていきたい。
大泉洋さんのファンである。
でも胸を張って「どうでしょう藩士です!」とは言えないレベルのファンの私。大泉さんの出演作は大概見ていたが、この作品は見ていなかった。
なぜかというと、女子高生に惚れられるバイト先の店長との恋愛という設定に、あまり興味が湧かなかったからだ。
ちなみに、アニメとマンガは見ていないのであくまでも映画単品の感想になるのをお許しいただきたい。
今回食指が動いたのは、先日配信された「カフェペンギン(いまえだななこさんゲスト)」で、この映画の主題歌となっていた「フロントメモリー」が、こーたさんによってオススメされていたからだ。
映画の冒頭、ヒロインの小松菜奈さんが疾走するところでメインテーマが流れ(この曲もカッコいい)、小気味よく映画の中に誘導されていく。
そしてキャストの名前と共に、雨粒の波紋が広がるようなアニメーションが重なる。センスいいなあ!
正直、つまんなかったら途中で止めちゃおうと思っていたが、ここで私は心を掴まれた。
そして、主人公の小松さんがいい。これがもっとお目目ぱっちりの色気のある女優さんだったら、生々しくて2時間見ていられなかったかも。
そういう意味では加瀬役の磯村勇斗さんがべたっとしてて、またいいのだ。(彼は私にとっては、永遠に『きのう何食べた?』のジルベール航である)
ストーリーは詳しくはここに書かないが、全体としてはわりと淡々とした感じでストーリーが進んでいくので、楽に見ることができた。
女子高生側の年代から見たらどう感じるかは分からないが、中年のおばさんにはちょうどいい温度感だ。
背伸びしたい盛りの女子高生の世界に、いい大人が駆り出されて、一瞬の熱が冷め、はいサヨウナラ、みたいな話かと思っていたが、ちゃんと店長側の話もきっちりと描かれているのがいい。
彼も突然の告白に戸惑いながらも、そこにスケベ心を発動させることなく、昔の夢にむかってもう一度動き出すのである。
ちょっと猫背の中年男性の背中って、若い子には魅力があるのもわかる。私も若かりしとき、中年の男性に憧れたことがあった。
休憩室で当時は煙草も吸えた時代だったので、ライターをポケットから出して煙草に火をつける仕草をじーっと見つめて不審がられたこともある。
同世代の男の子にはない、いろんなものを背負っている感じがカッコよくて、一挙一動に萌えていたことを思い出した。
洋ちゃんの演技も自然で、女子高生に想いを告げられて戸惑う店長を、嫌味なくさらっと演じられていた。
この「さらり感」が俳優洋ちゃんのすごいところ。
これが他の俳優さんなら、ちょっと淫靡な空気感が出ちゃうんじゃないかな。
(ちなみに、店長の友人役で、大泉さんと同ユニットのTEAM NACSの戸次さんが出演しているが、店長役が戸次さんだったら色気がありすぎて別の映画になりそうである)
そしてラストシーンに流れる、「フロントメモリー」。疾走感のある畳み掛けるようなメロディが、ふたりの新しい物語に向けてさわやかな余韻を残すのだ。
そう、まるで雨上がりのように。
年齢差のある恋のドロドロさが主軸ではなく、あくまでもそれぞれの人生を見つめなおすひとつのきっかけとして描かれていたのが素敵だった。
49歳のおばさんを17歳に戻してくれた、いい映画でした。
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