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【YFFFスタッフに訊く】24年BEST MOVIE5本と25年期待の映画!~前編~

久しぶりのリターン企画!映画好きYFFFスタッフ10名による2024年映画のベスト5と、25年公開予定作品の中で気になる作品は何かを訊いてみました(※対象は24年鑑賞。劇場や映画祭上映の他ネトフリ限定作品も含む)

皆さん、こんにちは。ヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジン第97回を担当しますスタッフのSally(サリー)です。よろしくお願いします。

前編は、5人(前/後編でご紹介)

ほそ/かめ/葛岡/Sally/うのうの 

2024年ベストムービー5本を見所と共に教えてください!

・ほそ(noteチーム)

画像はFilmarksより引用

今回は、青春映画にしぼり選定しました。
-青春
「世界から見えない人たちの生を記録する」王兵(ワン・ビン)監督が長江の町の衣料品工場で働く10代後半~20代前半の若者たちの日常を追ったドキュメンタリー。劣悪ともいえる労働環境下で、若者たちは揉めたり恋をしたりと逞しく生きる。若者たちの一員になったような感覚に陥る王兵マジック。

-HOW TO HAVE SEX
友だちの中でひとりだけヴァージンであることの焦りや同調圧力に翻弄された結果、失ったもの、得たものが繊細に描かれる。リゾート地の開放的で大胆なドレスや水着の若い女性たちが性的に撮られない安心感も。

-HAPPYEND
現代の社会問題をデフォルメしたような近未来の日本を舞台にしながらも、卒業を間近に控えた高校生が、自分と向き合ったり向き合わなかったり、それゆえにすれ違ったりするという普遍的な青春が瑞々しく描かれる。

-ゼンブ・オブ・トーキョー
「日向坂46」のメンバー全員が出演。とはいえメンバー全然知らなくてもまったく問題なく楽しめる。修学旅行で東京の行きたいところを全部めぐる計画を立てるけど、班のメンバーはそれぞれ思い思いの東京を楽しんで…班長の切なさも、好き勝手な楽しみ方もすべて愛おしくて、青春!

-I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ
映画好きの高校生がビデオショップでバイトを始める。社交性のなさもありつつ、若さゆえの傲慢さで周囲を傷つけ、自身も傷ついて、成長していく。青春の痛み、痛々しさが沁みる。

25年公開予定作品から期待の1本は?
-ANORA アノーラ

大好きなショーン・ベイカー監督がパルムドールを受賞ということでとても楽しみです

・かめ(作品選定チーム、サポートチーム)

画像はFilmarksより引用

例年になく邦画を観ました。先入観や決めつけは裏切られるものであるという、心地よい驚きに満ちた年だったかも。
-夜明けのすべて
映画に登場する全ての人がそれぞれの事情を抱えていて、それが映像でしっかりと伝わってきます。過度な説明や不自然なところが一切ないので、見ていて変なストレスがない。駄目だと思いがちな気持ちを、こんなにも優しく包んでくれる映画があるんだなあと、救われる思いがしました。

-ゴースト・トロピック
終電を逃したイスラム系移民の中年掃除婦が、ただ黙々と深夜のブリュッセルの街を歩いて家まで帰るという映画です。途中で様々な人に遭遇しますが、安全のためもっと距離を取るべき場面で近づき過ぎたり、親しくしても良い場面でよそよそしくしたりと、接し方が何だか危なっかしい。他人との距離感覚が日本では得がたく思え、そのことに強い印象を受けました。

-ディア・イングランド
YFFF2024でも上映された『ディア・イングランド』。旧態然としたマスキュリンなサッカー環境が、サウスゲートの代で変わっていく様子が何よりも面白いなと思いました。選手たちのコミカライズも素直に楽しめたし、感情移入もしやすかったです。彼の代でW杯かユーロに優勝してほしかったかも(それは出来過ぎ?)

-ぼくとパパ、約束の週末
ドイツサッカー好きとしての期待値が膨らみすぎて、初見で一度失望したあと、徐々に気持ちを盛り返し、結局5回も見に行ってしまった映画です。スタジアムの美しさや初観戦の興奮は、サッカーファンなら共感するものがあるはず。主役の少年の演技力も素晴らしいです。

-侍タイムスリッパー
またタイムスリップモノ?との先入観をぶっ飛ばす面白さ。時代劇に対する愛にあふれた映画ですが、勧善懲悪だけの時代劇で完結するのではなく、斬る側にも斬られる側にも、時代を懸命に生きた背景があると感じさせる流れが素晴らしいと思いました。

25年公開予定作品から期待の1本は?
-国宝
歌舞伎好きとしては今から公開が待ち遠しい

・葛岡(撮影チーム、作品選定チーム)

画像はFilmarksより引用

-ラジオ下神白 ーあのとき あのまちの音楽から いまここへ
被災の話ではなく、好きな歌についての話を聞く。好きな歌を聞いていくと自然と被災の話にもなる。福島県いわき市下神白団地で活動をする伴奏型支援バンド。音楽を通じた被災地支援を追うドキュメンタリー。

-アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師
カメラを止めるな!の上田監督。
細かい設定のことは置いといて、真面目がバカを見るこの世の中で、悪徳権力者にギャフンと言わせる、最高のエンタメ!急に食卓に岡田将生も見ものです。

-海の上のピアニスト 4kデジタル修正版
狭い世界でも自分の芯を持ち自分の生き方に誇りを持つその生き様。
自分の人生の主導権を自分が持てているのか。もう一度社会に、自身に問いかけたい。エンニオモリコーネの音楽にも酔いしれながら至福の時間を過ごせる映画です。

-イル・ポスティーノ 4kデジタル・リマスター版
ルイス・バカロスの音楽をバックにナポリの海自然が沁み渡ります。
愛の隠喩とはなんてロマンチックなんだ。人を傷つける武器にもなり得る"言葉"だけれど、やはり愛のために用いたい。

-きみの色
水金地火木土天アーメン♪
正直、懐疑的に見始めたけど心踊る作品でした。音に色、すべてが綺麗。
「監督:山田尚子×音楽:牛尾憲輔」に間違いなし。天使にロックバンドを。

25年公開予定作品から期待の1本は?
-JUNK WORD
7年かけてほぼ監督1人で作り上げた脅威のディストピア ストップモーションアニメ。待望の第二部。

・Sally(撮影チーム)

画像はFilmarksより引用

-ぼくとパパ、約束の週末
実話ベース。自閉症の10歳の子供の演技が圧巻!独自のルールをもつ彼自身と、家族やクラスメイト等まわりの成長の物語…だけじゃないのも良い。
父とドイツ中のスタジアムを巡り“自分の推しサッカークラブを探す”週末。サッカーに明るくない私でも、まるで一緒に現地観戦をしているよう。電車で各地のスタジアムへ向かうワクワク感。彼らの週末旅、最高!当たり前のように家族各自に好きなクラブがあり、TVに釘付けで応援する姿はヨーロッパの文化なんですかね。親子でも楽しめそう。

-型破りな教室
実話ベース。メキシコの6年生と先生。生徒の目の輝きは彼女たちの世界が変わっていく証拠。”学ぶこと”で生きる可能性が広がる。それを改めて気づかせてくれる映画。めっちゃ学びたくなったし、過去自分が真面目にやらなかったことが恥ずかしくなる。話は理想だけでは終わらず“現実”の厳しいメキシコも映し出す。子供の才能を生かすも殺すも大人。考えさせられる良い映画。大人こそ、観るのをおすすめしたい!

-燈火(ネオン)は消えず
香港の街を舞台に、もう今は無い、たくさんのガラス管ネオンがノスタルジー。思わず旅行で行った写真データを引っ張り出す。あぁ、あのギラギラとして百万ドルの夜景といわれた香港の風景の9割がもう無いのですね。
“ネオンは光の書道”であるという言葉は印象的で、無口な職人をキーに暖かい喪失感をくらいました。エンドクレジットまでしっかり観て欲しい。

-ゴジラ-1.0
アカデミーの「視覚効果賞」受賞作品。せっかくスクリーンで観るならこれでしょ。迫力はもちろんですが、戦後の日本人の心情が細かく描かれているので、そこも好きポイントです。

-劇場版ものの怪 唐傘
TV版同様カラフルな世界観。とにかく色彩や手触りが美しい。くるくる変わる画面からの情報量が多くてスピードに追いつくのに正直必死でした。きもかわいいような、独特なアニメーションは万華鏡みたい。

25年公開予定作品から期待の1本は?
-劇場版ものの怪 火鼠
唐傘に続き第2章も、とんでもないカラフルな世界観に違いなく、きもかっこいい薬売りに早く会いたいです

・うのうの(作品選定チーム)

画像はFilmarksより引用

-ディア・イングランド
24年のYFFFで倉敷さんとベンさんの素晴らしいコメント付きで上映した。イギリスの一流舞台俳優たちが、サウスゲートを主人公に、この30年ぐらいのイングランド代表チームを取り上げて、イギリスとは何だろうということを観客に突きつける。有名プレーヤーの特徴を掴んだ演技で、イングランドフットボール好きな人なら単純に楽しめる。しかし、ベンさんが上映後に「この作品についてはイングランド人なら語り尽くせないぐらいの話題が散りばめられている」と話していたように、登場人物やその発言に今のイギリスを語るヒントが隠されている。多くの人にDecodeして欲しい作品です。

-東京上空からいらっしゃいませ
相米慎二監督の作品では「台風クラブ」や「お引越し」のような評価はされていないようだけど、60年代の日活映画のピクチャープログラムや香港映画のような小品で気に入りました。可愛い主人公とかっこいい相方がちょっと現実離れした環境で、ドキドキと笑いと涙を届けてくれる。牧瀬里穂さんのデビュー作で混じり気無しの魅力が爆発しているけど、笑福亭鶴瓶さんの怪演がいい味を出している。もし自分の人生がここで終わりですと言われたら、納得できますか?運命だからと諦められますか?

-侍タイムスリッパー
他の選者さんも選んでいるかも。私は上映後思わず拍手をしていました。朝ドラのオードリーとかカムカムエブリバディでも、取り上げられる時代劇撮影所物語だけど、やっと出世のチャンスを得た会津藩士が縁もゆかりもない京都で滅びる体制を守るために命をかける悲運と、タイムスリップした本物の侍が斬られ役の下積みから時代劇を守る姿がシンクロする。今を生きろ=Be here nowという言葉を改めて思いました。この映画が気に入ったら、京都東山にある金戒光明寺の会津藩士墓地を訪ねて見てください。高坂新左衛門や彼の仲間たちに会えますよ。

-あなたのおみとり
ドキュメンタリーを撮ってきた監督が、自分の母親が自宅で余命わずかの父親の面倒を見る、その老老介護の様子と最期の日々を淡々と撮影していくものです。映し出される内容全てが、私のような介護経験者にはあるあるすぎて、反省会をしているような気持ちでした。そうでない方には、人はどう自分の人生を終えていくのか、その形をシミュレーションという形で見るのもいいかもしれません。田端にあるCINEMA Chupki TABATAで見たのですが、これぞミニシアターで、こんな上映館もあるという点でも面白かった。

-パリタクシー
女優の吉永小百合さんがインタビューで、自分の女優人生の最後にこんな映画が撮れたらいいなとお話していた。お金もなく免停寸前で追い詰められている人のいいタクシードライバーが、自宅を離れて介護施設に入る92歳の女性を乗せる。パリ市内を横断する道中で、彼女の数奇な一人語りを聞きながら、心を通わせていく。フランスで人気の映画と聞いていたので、最後、多分そうなるだろうなと思ったらそうだった。やっぱり、フランス映画の王道はビターだけどスイートで終わる人情ものですよ。個人的なことですが、昔少しの間だけどパリで生活をしていたので、主人公たちの道中で映し出される市内の風景が懐かしかった。

25年公開予定作品から期待の1本は?
-ヒプノシス レコードジャケットの美学
プログレ好きです。世代論でパワープレーしますが、80年代の香港映画で育ったので最近は良い香港映画が日本で上映されないのが寂しい。例えば去年の現地で話題だった『The way we talk』は見てみたい。耳の聞こえない障害者たちの物語だそうです

前編はいかがでしたか?

それぞれの視点から印象に残った作品、私も正直5本に絞るのが大変……!
実行委員長含め、Best movie~後編~もお楽しみに!

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