あとまわしと歪み

家にいると赤ちゃん中心に過ごせるが、出かけるとどうしても優先順位が変わってしまう。家にいると泣いたらすぐにおむつ交換も授乳もできるが、外にいるとそうはいかない。ぐずったり泣いたりすると、とにかく今すぐ泣き止ませなければと思ってしまう。かといって、授乳がしたくても店先だと難しい。あんまり泣くので洋式トイレで授乳してみたが、寒いし高さもまだ定まらないし、その場しのぎで申し訳程度だけ吸わせてすぐ家に帰ろうと決める。さっきまで寝ていたので頼んでしまったコーヒーを、一気飲みして帰路につく。コーヒーを頼むことは、贅沢な時間を買うこと。一気飲みするなら、缶コーヒーでいいじゃんか。ちえっと思いながら家に帰ると、いつもは３時間の間隔で授乳しているのに、気づけば５時間近く開いていた。その間一度も変えていないおむつも、ずっしりと生暖かく重たい。泣きすぎた涙の筋がカピカピに乾いている我が子と、パンパンに張った自分の胸を見て、悲しさがこみ上げてきた。そりゃあ泣くわな。あなたが飲むはずだった母乳が今、私の胸をはち切れんばかりカチコチにしている。いろんなことが歪んでいる。あとちょっとだけ、が重なると、こういうことになる。ごめんなさいよ。はい、もうこれからはあなた中心の時間に戻りますよ。いつもより長い時間しっかりとおっぱいを吸ってもらいながら、ゆっくりと時間を巻き戻す。