禅の道(53)坐蒲
「坐蒲」の魅力
禅において欠かせない道具の一つが「坐蒲(ざふ)」です。坐禅をしたことがある人なら、一度は目にしたことがあるでしょう。この円形の小さなクッションが、なぜこれほど重宝されるのか。その理由を少し掘り下げてみたいと思います。
坐蒲の一番の役割:腰を立てる
坐蒲を用いる最大の理由は、「腰を立てる」ことにあります。坐禅の際、骨盤を少し前傾させる姿勢を取ることで、背骨が自然と理想的なS字カーブを描きます。この姿勢は、身体に余計な負担をかけず、長時間安定して坐れるポイントです。
坐蒲の高さは適度に調整されていて、骨盤を前傾させるサポートをするだけでなく、足や腰への圧力を分散します。これによって、坐禅中の無理のない集中が可能になります。
坐蒲の素材とデザイン
中綿の柔軟性
坐蒲の中には、そば殻や綿、ポリエステル、パンヤ(カポックという樹木の実から採れる天然繊維)などの詰め物が使われます。これらの素材は適度な柔軟性を持ち、坐った際に身体の形に合わせて沈み込むため、安定感があります。耐久性のある表面素材
表面の布地は、滑りにくく、耐久性が高いものが選ばれます。禅堂での繰り返し使用にも耐え、しっかりと身体を支える役割を果たします。円形の安定感
坐蒲が円形であることは単なるデザインではありません。円形は身体の中心を捉えやすく、均等に安定感を与えます。また、持ち運びが容易で、どんな場所でも坐蒲一つで坐禅が始められる利便性も魅力です。
坐蒲がもたらす恩恵
坐蒲を使用することで、姿勢を整え、身体への負担を軽減するだけでなく、精神的な集中力も高まります。坐禅は無理のない姿勢で行うことが重要であり、坐蒲はその助けとなる道具です。
坐蒲を選ぶポイント
これから坐蒲を手に入れたいと考えている方には、以下のポイントを参考にすると良いでしょう。
高さ:自分の柔軟性に合った高さを選びましょう。柔軟性が低い場合は、少し高さのある坐蒲が適しています。
素材:中綿が何でできているか確認しましょう。パンヤあるいは、そば殻や綿など、自然素材のものは通気性が良く快適です。
大きさ:コンパクトで持ち運びしやすいものが便利です。
「腰を立てる」その先に
坐蒲を使うことで得られるのは、単なる快適さではありません。「腰を立てる」ことで、心も整います。背骨が整うと、呼吸が深く安定し、思考が静まりやすくなるのです。坐蒲は単なる道具以上に、心身を整える「小さな相棒」と言えるでしょう。
今日の坐禅、少し意識を変えて坐蒲に感謝を感じながら坐ってみませんか?円形の中に広がる安定感と、腰を立てることで得られる心の静けさに気づけるかもしれません。
坐蒲(坐禅のときの蒲団)は、畳のうえや座褥(広めの座布団)の上に置いて使います。ヨガマットも滑りにくくていいですね。これらは工夫しだいですから楽しんで選んでください。ちなみに私は昔ながらの綿入り座布団がお気に入りです。どこか郷愁を感じています。
いすの上に坐蒲をおいて使えば、デスクワークにも最適です。「左右揺振」と申しまして、坐禅をはじめる前に腰を中心として左右に上半身を揺らします。じょじょにその振幅を少なくしていき、中心を定めていきます。この左右揺振は腰を立てながら行います。前後左右に揺振するのも工夫です。
仕事の合間に、この左右揺振をすると気分転換になるだけでなく、リズミカルに仕事がはかどります。ストレッチ感覚で楽しいですよ。坐禅の前後だけではあまりにも勿体ない笑。時計の振り子のように、そうですね、メトロノームのように、「人間メトロノーム」。超オススメであります。
座から立ち上がってから、この坐蒲に感謝の気持ちをそえ、横にして全体重をかけて手で押して形をもどします。これは忘れないでください。ぺしゃんこになったままの坐蒲は寂しすぎます。立って坐蒲にむかって合掌低頭一礼します。右回りに向き直って一礼。問訊(もんじん)と申します。
坐禅のアイテム「今ここ自分」
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念水庵
にゃんすいあん日記23日目
昨日は、友人がかけつけてくださった。
「にゃんすいあん」玄関の屋根と壁を張りに。
ときおり霙まじりの冷たい雨の中。
ひとりでは作業しにくいところを温かく助けてくれた。
にゃんたちは、そしらぬかおでドタンバタン遊んでいる。
しずかになったかと思うとふたりで寝ている。
にんげんの苦労をしりめに、さむさ知らず。
ねこの手だけは借りようがない笑
もうそろそろ別々に食べさせたいと思って食器を分けた。
でないと、ここがたべすぎて、ビリーは途中でやめるから。