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禅の道(111)左右便利
先日、目が覚めたら右の首筋から肩にかけて鋭い痛みがあり、思うように首が回らなくなってしまいました。いわゆる「寝違え」のようです。実際に医師の診察を受けたわけではありませんが、いろいろ調べてみると、睡眠時の姿勢や寝具が体に合っていないことが原因になりやすいのだとか。私の場合は、簡易ベッドに切り替えてから症状が出始めたので、どうやらそれが引き金になったようです。幸い、今朝は昨日より痛みが和らぎ、日を追うごとに軽くなっていきそうな気配があります。
私が右利きであることも、今回あらためて実感するきっかけになりました。というのも、友人から「左手を使ってみるといい」というアドバイスを受けたのです。これは、友人の友人で私もお世話になっている歯科医師が実践している方法らしく、右手での治療が多い分、普段の生活では左手を意識的に使うようにしているのだそうです。たとえば、食事の時は左手で箸を持つようにすると、やはり時間もかかり、動きもぎこちなくなります。けれどもそのぶん、自分がいかに無意識に右手を頼りにしているかがはっきりわかりました。
振り返ってみると、私たちには両手、両足、さらには両目が備わっています。左右どちらかに偏ることなく、うまく使い分けることが「バランスと調和」につながるのでしょう。禅の言葉に「左右便利(さゆうべんり)」というものがあるのですが、まさにこのことを言い表しているように思えます。日常のちょっとした仕草でも、左と右をバランスよく使えるようになると、身体の使い方や疲れの感じ方まで少しずつ変わるのかもしれません。
もっとも、完全な左右対称というのは、私たちの身体や感覚の中には存在しないでしょう。たとえば、鏡の中の自分と写真に写った自分の姿が違って見えるように、それぞれの側で微妙に使い方や見え方は異なります。ただ、意識して左手や左足を使ったり、左側から物を見るようにしたりすることで、普段あまり使わない側を活性化できるというのは大きな発見です。
今回の寝違えをきっかけに、私は「スロー」と「バランス」を心がけてみることにしました。急がず慌てず、ゆっくりと動いてみることで、不思議と痛みが和らぐ感覚があります。そして、左右のバランスをとるように普段から意識することで、身体にかかる負担が軽減されるように思います。しばらくはこの生活スタイルを続けて、どのような変化が訪れるのかを楽しんでいきたいと思います。
毎日の暮らしの中で、私たちは多かれ少なかれ自分にとって使いやすい「利き側」に頼っているものです。でも、そっと反対側に目を向けてみるだけで、新しい発見や身体の調整が可能になるのだと実感しました。まさに「左右便利」の教えが、現代の生活の中でも役立つのだと感じます。これからも大切にしたい考え方です。
Convenient for left and right.
ご覧いただき有難うございます。
念水庵 正道
昨日は友人と、「たいじん」さんのアップされた動画をみて笑いました。この漫才は理屈や掛け値なしで楽しめます。