禅の道(24)般若心経を読む
現代語訳と解説
現代語訳
観自在菩薩(観音菩薩)が深い智慧である般若波羅蜜多を修行していたとき、全身全霊で五蘊(すべての存在の構成要素)が空であることを見極めました。
五蘊とは、**色(物質的なもの)、受(感覚)、想(思考)、行(意志の働き)、識(認識)**のことです。これらはそれぞれ般若として例えられています。
「照見(ありのままを見通すこと)」こそが般若そのものです。
この教えの核心を解き明かすと次のようになります:
色即是空(物質的なものはその本質において空である)
空即是色(空そのものが物質的なものとして現れる)
色是色(物質は物質として存在する)
空即空(空は空としてある)
これが自然界のあらゆる草木や万象を指し示します。
般若波羅蜜は12の次元を持ち、それは十二入(六つの感覚器官とその対象)を表します。
また、十八の般若もあり、それは眼・耳・鼻・舌・身・意と、色・声・香・味・触・法、さらにそれらを認識する六識を含みます。
さらに、四つの般若は仏教の四諦、つまり苦・集・滅・道を意味します。
また、六つの般若は六波羅蜜(布施、浄戒、安忍、精進、静慮、般若)を指します。
そして、「ただいま現れた一枚の般若波羅蜜」は、阿耨多羅三藐三菩提(最高の悟り)です。
また、時間の流れを表す三つの般若は、過去、現在、未来を指します。
さらに、六つの般若は地・水・火・風・空・識を示します。
また、普段の日常生活の中で実践される四つの般若とは、**行・住・坐・臥(動き、立ち、座り、横たわること)**です。
解説
1. 観自在菩薩の修行と五蘊皆空
観音菩薩が「五蘊皆空」を体得した場面は、『般若心経』の核心でもあります。五蘊(色、受、想、行、識)はすべての存在の基本構成要素ですが、それらが「空」、つまり本質的に固定的な実体を持たないことを示しています。これは、「すべての現象は変化し、無常である」という仏教の基本的な教えを指しています。
2. 「色即是空、空即是色」の深意
色即是空:私たちが目で見たり手で触れたりする物質的なもの(色)は、本質的に独立した存在ではなく、空であることを意味します。
空即是色:空(本質)は、私たちの目の前に現れる物質や現象として表れます。
これらは、存在の二重性を表し、相対的な視点では物質的な形を持ちながらも、究極的な視点では「空」であるということを示します。
3. 般若波羅蜜の多様な表現
十二入、十八般若
これらは、私たちの感覚やその対象、認識の働きを分析的に捉えたものです。すべての要素が「空」であることを理解することが、智慧(般若)の本質です。六波羅蜜
修行の具体的な実践方法で、特に布施(与えること)や精進(努力)など、日常生活に結びつく徳目を含みます。四諦と行住坐臥
四諦(苦集滅道)は仏教の基本教義で、人生の苦しみを理解し、それを乗り越える道を示します。また、行住坐臥は日常生活すべてが修行であることを示しています。
4. 般若波羅蜜の一枚と三枚
「一枚の般若」は最高の悟り(阿耨多羅三藐三菩提)を象徴し、「三枚の般若」は時間を超えた智慧(過去、現在、未来)を示しています。
5. 自然界の象徴としての般若
地水火風空識という要素や、草木や万象は、宇宙と生命の調和を表します。般若波羅蜜の智慧がこれらすべてに行き渡ることを表現しています。
まとめ
この教えは、般若波羅蜜があらゆる存在と日常生活の中に浸透していることを強調しています。物事の本質を見極め、日常を修行の場とすることで、智慧が具体的に現れてくるというメッセージです。
私たちが「般若心経」を毎日お唱えしておりますのは仏教の最重要なことが書かれているからです。道元禅師が著された正法眼蔵の最初にこの「魔訶般若波羅蜜」の巻が在り、大変わかりやすく解説されておりますので、すこし解説をこころみた次第です。
さまざまな解釈があることは承知しております。ただお経に優劣はありませんから、そのままを受け取ればよいのではないでしょうか。あれこれ現代の私たちが「評価」を行うことは慎みたいと思っております。それはさておき「般若心経」を暗記する方法をお伝えします。
ずばり「毎日、経本を手にして、声に出して読むこと」です。これ以外に知りません。覚えようとか思わなくても「自然に」覚えてしまいます。いや覚えようと思わないことですね。できれば誰かといっしょにお唱えすれば、はやく覚えられます。こつは「コツコツ」。なにごともしかりです。
昨日の夜は、師匠から誕生日祝いにケーキをいただきました。6人分に切り分けていただき、とてもおいしく頂きました。食事の最期にコーヒーとケーキ。別腹とはよくいったものです。たべられるものです。ひさしぶりのバースディケーキ。70。セブンティーンではなく、セブンティです笑
ご覧いただき有難うございます。
念水庵
「ともに坐る」
昨日は開単記念の参禅会でした。