
世代を超えて育つ組織のつくり方 —なぜ山陽不動産に社長室がないのか—
世代を超えて育つ組織のつくり方 —なぜ山陽不動産に社長室がないのか—
はじめに
先日のブログ「『教える』から『待つ』へ」への反響から、コミュニティづくりの学びが職場における若手社員とのコミュニケーションにも直結していることが見えてきました。特に印象的だったのは、「自分はファシリテーター型だと思っていたが、実はアドバイザー型になっていた」という気づきを得た方々の声です。
私たち山陽不動産は、現在人材不足と言われる中、大手就活サイトへの掲載や合同企業説明会への参加、就活イベントへの参加など、就活に費用をかけたことはありません。それでも、主体的に情報を探している学生から毎年多数のお問合せをいただいています。
3年連続で新卒採用を実現し、中途採用でも大手企業からのIターン、Uターン組が加わってくれています。現在は社員の40%が20代、女性比率50%という構成で、代々女性社長が経営している会社です。特に私たちは、フラットでフェアな関係づくりを基盤に、「不易流行」の精神で常に変化・進化・挑戦を続けています。
このような採用や組織づくりが実現できているのは、偶然ではありません。私たちなりの「組織づくりの哲学」があります。今日は、その具体的な取り組みについてお話ししたいと思います。
会社の価値観が表れる空間づくり


まず、私たちが大切にしているのは、物理的な空間づくりです。多くの企業が社長室に豪華な内装や広いスペースを割く中、私たちは異なる選択をしています。
社内をリフォームして約2倍にスペースを広げた際、そのスペースを社長室にするのではなく、社員が日々使う施設の充実に投資しました。広い洗面台と大きな収納のある手洗い場所、従業員10名に対して2ヶ所のトイレ設置、運動のできるスペース、そして快適な休憩室。休憩室には推薦図書や漫画、くつろげるソファを置き、リフレッシュできる空間を作りました。
また、お客様の利便性も重視しています。お子様連れの来社が多いことから、キッズスペースを増築。これは単なる待合室ではなく、子どもたちが楽しく過ごせる空間として設計されています。

20歳から74歳(社長)までの全スタッフが同じフロアで机を並べて仕事をしている私たちのオフィス。この空間づくりは、会社の価値観の表れです。
私たちが何を大切にしているのか——それは、フラットな組織づくりであり、従業員とお客様の快適性なのです。
会社が何にお金をかけるのか。
それは、その会社が本当に大切にしているものを如実に表します。
私たちは、限られた予算の中でのリフォームで階層性を象徴する社長室ではなく、人々が心地よく過ごし、活き活きと働ける環境づくりに投資することを選びました。
受け止める組織文化の創造
言葉遣いがつくる心理的安全性
空間づくりと同様に重要なのが、組織内での言葉遣いです。営業統括部長(54歳)を含め、管理職や上司は部下に対して呼び捨てや命令口調で話すことはありません。全員が丁寧語で話すようにしています。
これは単なる形式的な敬語使用ではありません。年齢や役職に関係なく、一人の人間として互いを敬い、対等な関係性を築くための意識的な選択です。上司が部下に対して丁寧語で接することで、誰もが意見を言える、アイデアを出せる環境が自然と育まれていくのです。
主体性を育む組織づくり

私たちの組織づくりの根底にあるのは、「与えられた仕事をこなす」のではなく、「自ら考え、行動する」という理念です。一人ひとりが会社の主役として、この会社をより良くしていくために何ができるかを考え、実践する。そんな文化を大切にしています。
全員参加の新規提案制度

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