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自分のことを誰も知らない街へ行く

転勤や出張が増えたことで、若いころの様にコミュニティに属すことが圧倒的に少なくなってきています。(会社には所属しているが、人の入れ替わりが激しく毎年違う人たちと働いている気がする)

新しい出会いがあり、少しずつ居場所と言えるようなところが見つかった頃には、次の転勤の話がチラついてきてしまい、その土地の人たちと仲良くなればなるほど辛い気持ちになるような、そんなサイクルが始まりそうです。出会いは別れの始まりだったりするわけで。

そんな生活が始まってきたことによって思い出した映画があります。『100万円と苦虫女』です。

随分前のことなので内容は正直あまり覚えていません。どちらかというと、当時仲が良かった友人がこの映画の影響を強く受けていたので、強く印象に残っているだけです。

ざっと内容を説明すると、前科がついたことで実家にいづらくなってしまった主人公の鈴子が、100万円貯まったら引っ越しをして、住む場所を転々として暮らしていくというストーリーで、「100万円貯まったら出ていきます」というセリフが印象的です。海へ、山へ、100万円貯まる度に住む土地を転々とし、その土地その土地で様々な交流をして様々な気づきを得ていく物語です。

確かにこれは共感できる人にとっては凄く共感できる話だと思います。

僕の友人も「だいたい2年くらいで全ての人間関係をリセットしたい」と言っており、100万円貯めたのかどうかはわかりませんが、実際に引っ越しをしてそのまま会うことがなくなってしまいました。

僕も出張や転勤に出向く時には、その土地で「誰も知り合いがいない」という状況に、底知れぬ自由を感じることがあります。

コミュニティに属すことで、社会との繋がりが生まれ、その一員として役割を得ることができます。孤独にもならず、毎日助け合って暮らしていけるし、何よりも楽しい日々を過ごすことができます。

しかし、一方でコミュニティに加わって人間関係を構築していくと、だんだんと面倒なことに巻き込まれていき、窮屈な思いをすることも出てきます。自分のことを年収や職歴などのステータスで把握しながら、周囲の目を気にして生きていくことにもなります。

そう考えると、100万円を支払うことで自分の事を誰も知らない土地に行って生活をリセットできるのは、結構お得な買い物であり、尚且つそこそこ現実的な行動だと思います。

今はそこまで追い詰められていないので、会社を辞めて自分のことが知られていない土地に行くことはないと思いますが「100万円さえあれば、暮らしをリセットできる」そう思うだけで、人生がだいぶ楽になるような気がしました。

もちろんリセットしたくない人間関係もあるものなので、孤独と向き合う必要も出てきそうですが、ひとつの場所やコミュニティに縛られてしんどくなってしまうよりは、こうしてリセットすることも大切なのかもしれません。

『100万円と苦虫女』、近々、見直してみようと思います。

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