自分を変えたい人は何をすればいいのか
理想の自分になりたいとか、今の自分を変えたいと思った時に、どうすればいいのかわからなくなることがある。このように感じた時、始めは行動をしてみるものの、だんだんと時が経つにつれて気持ちは元に戻ってしまい、結局今までと同じ様に生活してしまったりする。こういった経験は僕だけではなく、誰にでもあるのではないだろうか。
「自分を変える方法」とか、そういった自己啓発書やセミナーはたくさんあるが、結局のところ「自分を変える方法なんてものはない」というのが正解な気がする。人間にはどうしても現状維持バイアスが働いているので、本を読んだり話を聞くだけでは、余程の感動がない限りは行動に移すことはないと思う。
とはいえ、僕は今までに、自分を変えたなと思ったことが何回かはある。その時のきっかけなどを思い出すと自己改革のコツのようなものが少しだけ見えてきた。
もっとも最近の大きく自分を変えた行動は、6年も前だが転職に踏み切ったことだと思う。当時の会社では、就職できた喜びはあれども、その後自分が活躍できる未来をどうしても描くことができなかった。だからこそ、環境を変えることで何とか生き残っていこうと思ったのだが、なかなか行動に移すことができずにいた。
しかし、当時の職場はIT業界だったこともあって、変化が非常に激しかった。外部から新しい上司や社員がたくさん入社してくるので、より社内競争は激しくなり、自分が担当する仕事を請け負うためにはより高度な知識とスキルが必要で、資格取得なども考えなければならない状況だった。
将来活躍できる未来を描けない状態で、そんなプレッシャーを感じながら働き続けることはできず、居続けること自体、軽い恐怖を覚えていた。だから僕は焦るように、忙しい合間を縫って、自分を変えるべく転職先を調べ、友人に相談し、転職活動にも勤しんだのである。
少し大袈裟な言い方だが、結果的に「恐怖」が自分を変えてくれたのだった。
また、もともとこの会社に就職したばかりの頃も、自分を変えるべく苦悩していたことを覚えている。当時は26歳で、僕は23歳の時に胃がんに罹ってしまい闘病とリハビリをしながらアルバイトをして暮らしていた。そろそろ正社員として復帰しなければと考えていた頃だ。
この時、初めは色々な会社に応募をしてみたが、履歴書上、闘病のために空いた空白の3年間の期間をうまく説明ができず、不採用通知を受け取り続ける日々が続いていた。正直に病気のことを話し、それにより面接で不穏な空気となった挙句不採用になったようなこともある。
不採用というのは、どうしても不名誉な気持ちになるもので、自分の境遇も含めて、物凄く不愉快な気持ちを毎日抱いていた。こうして世の中に対しても怒りのような感覚が芽生えてきた。「誰一人取り残さない社会を目指す」といった綺麗なことを社会は掲げているが、結局のところ表向きだけではないかと。
こういった「怒り」を覚えていた僕はなりふり構わない姿勢を身に付け、いかに自分の闘病経験をプラスに変えられるかを分析して実証するようになった。とにかく色々と試しながら進めていったんである。トライアンドエラーの連続を経て、無事に上述のIT企業に何とか雇ってもらうことができた。
これも大袈裟だが、この時の社会への「怒り」が自分の行動に繋がったのである。
こうして振り返ってみると、大きな行動力に繋がる動機というのは、自分のなかから自然と湧きあがってくるものではないとわかる。自分の身を脅かす、今の状況のままではならないという、恐怖や怒りのような強い動機があることで大きな行動に繋がるのだと思う。
個人だけではなく、会社や社会そのものも、そういった外からの影響で大きく変化していると思う。我々の住む日本だって、黒船が来航しなかったら明治維新も起きず、こんな近代国家になっていないだろうし。
だから、これは逆に捉えると、そういった負荷の大きい感情を抱いて辛く思っている時は、行動に変えるチャンスだと捉えてもいいかもしれない。
人間なかなか変われるものではない。だとしたら辛いことがたくさん起きている時こそ、実はチャンスがたくさん落っこちていると思ってポジティブに構えておくのが一番いいんじゃないか。