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寝落ちしない方法|自分の時間を取り戻そう
読書を自分のライフワークにしているのだけれど、そのうえで壁が立ちはだかることがある。本を読んでいる時に寝落ちしてしまうのだ。
特に食事を摂った後に本を読んでいると、あっという間にカクっと寝落ちしてしまう。僕は胃を切除しているので、食事をすると血糖値が急上昇してダンピング症候群という症状が起こってしまい、寝落ちに拍車がかかり、まるで気絶したかの様に寝落ちしている。
こうして事あるごとに寝落ちをしていると、その時間が溶けてなくなったかのように、損した気分になってしまう。これは読書に限ったことではなく、映画を観ている時も同じように寝落ちしてしまうのだ。
さて、寝落ちしない方法を紹介する前に、まずは僕が寝落ちしてしまった残念な例を少しだけ書かせてほしい。
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』という1997年に公開されたドイツの映画があるのだが、僕は学生の頃にレンタルビデオ屋でビデオをレンタルして観ていた。ちなみに映画タイトルはボブ・ディランの曲名から取られたものだ。
この映画のあらすじは、余命宣告をされた二人の男が病室で出会い、海を見たことがあるか?という会話から幕を開ける。死ぬ前にまだ見たことのない海を見ようと、二人で病棟を抜け出して車を盗んで旅に出るのだ。しかしその盗んだ車はギャングの車で…といったストーリーで、死が目の前にある怖いものなしの二人の生き様が心に残る感動的な映画だ。
こんなにも素晴らしい物語であるにも関わらず、当時の僕は寝落ちしてしまった。目が覚めた時、彼らは海に到着していたのである。
「寝落ちしてしまった」と書くと、映画が面白くなかったのではないかと思われそうだが、そんなことはない。僕はその後レンタルビデオ屋を行き来して結局のところ『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は3回くらい観ている。つまらないから寝落ちしたのではなく、どんなに面白い作品だろうと眠くなることがある、というだけなのだ。
こういった反省を活かして、自分が大切にしている映画鑑賞や読書の時間を取り戻すために、今も心掛けていることがある。
それは読書でも映画でも、作品を享受する時に身銭を切ることだ。
本を読むときは、図書館で借りるのではなく、しっかりと本屋で新品の本を購入するようにしている。そしてできる限りカフェに行って読むことが多い。
映画についても、できる限り映画館に行って観るようにしている。最近はサブスクで映画を観れる時代になったが、僕は寝落ちしてしまいそうだから登録をしていない。
普段は節約を心掛けた生活をしているけれど、本や映画に身銭を切るようにしたのは、これらが自分の思想や価値観を形成してくれる大切なものだから、あまり出し惜しみをするのは良くないと思ったからだ。
自分の大切なお金を支払うことによって、映画ならば「1,800円払っている…」本ならば「本に1,000円、カフェに400円払っている…」という緊張感のもとその時間を過ごす。
そして少し大げさに言えば、金銭を支払うことで、まるで世の中と約束をしたかのようにその作品と向き合う時間を大切にするように思えるのだ。金の力は凄い。
医学的な解決策ではないけれど、僕のように胃を切除している低血糖な人間でさえ、ある程度の効果があるのだから、こういった心理的な解決策も一定の効果があるものだと思っている。
だから今日もこれからも眠い目をこすりながら本を読み映画を観ることだろう。身銭を切っているのだからこそ、眠るわけにはいかないのだ。
僕と同じように寝落ちしてしまって困っているという人がいたら、少しだけでも参考にしてみてもらいたい。ただし、あまり金は掛け過ぎないように。