テレビと新聞とラジオ|既存のメディアの活用方法
最近、20代の若者にはテレビを持っていないという人が増えています。基本的にニュースなどの情報収集はパソコンだけで済ませ、テレビを観るのは実家に帰ったときくらいだというケースをよく聞きます。
民放連研究所の調査によると、その理由は「NHKの受信料を払わなくてはいけなくなるから」が一位のようですが、その他に「ネット配信で見られる番組だけで充分だから」や「テレビ番組事態に興味がないから」といった理由が見られます。
また、Amazon PrimeやNetflixなどのSVOD(サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド)のいずれかと契約している世帯は2022年時点で47%を超え、テレビからネットへ、娯楽としてのメディアの在り方が変遷しつつあることがわかります。(2022年はコロナによる在宅特需もあるため、今後は一時的に頭打ちとなる可能性あり)(※1)
それでは、新聞やラジオの利用者数はどうでしょうか。
新聞通信調査会が2023年10月に発表した「メディアに関する世論調査」によると、毎月新聞を取っている人の割合は2008年度の88.6%から2023年度の58.1%に減少しており、新聞利用者率を年代で見ると60代が46.1%、しかし10代では2.1%、20代では2.8%にとどまっています。(※2)
NHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査によると、ラジオを聞いている人の割合は1995年に15%前後を推移していましたが、2020年には9%程度にまで減少しています。(※3)
何となくわかっていたことではありますが、いわゆる既存のメディア離れが進んでいることがよくわかります。
メディアも市場の競争の渦中にいるわけなので、便利で面白いと思われるメディアが生き残るのは当たり前のことです。これからもこの傾向は進んでいくように思えます。
しかし、テレビからYoutubeへ、新聞からネット記事へ、ラジオからポッドキャストへと移り変わる時代を消費者として体感していた世代である僕自身の感覚としては、どちらのメディアにも良い点と悪い点があることは覚えておいた方が良いように思います。
ネットで情報を取得する時は、自分が欲しいと思っている情報だけにアクセスすることができます。お気に入り登録されたチャンネルを観て、興味のあるタイトルの記事をクリックして読み、フォローしている番組だけを聞くことができます。不要な情報を意図的に排除することができるので無駄がなく、ストレスも少なく楽しむことが可能です。
それに比べて、テレビ、新聞、ラジオは番組の制作会社が公共の電波に載せて情報や娯楽を公開して発信しているので、視聴者や読者はその情報の全体像を読み解くことになります。興味のない情報がどうしても目に入ってくるのです。
これはネットの快適さを経験すると非常に面倒でストレスフルなものに思えますが、この興味のない情報こそ、世界観を広げてくれる側面があるとも言えます。
社会で生きていくうえで、自分が興味のある情報だけを得ていても、この多様な世の中を理解することは到底できません。
そして、自分が見たいと思う情報だけを得て、世の中を自分に都合よく解釈してしまうことも非常に危険です。アルゴリズムによって、まるで「泡」(バブル)の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなることをフィルターバブルと呼びます。
例えば、ホリエモンは自分の思考がバイアスによって偏ることを避けるために、自分が嫌いな思想を持っている人も敢えてSNSでフォローしていると言っていました。フィルターバブルは意識的に避ける必要さえあるようです。
テレビや新聞、ラジオからはこういった雑音とも言える情報がどうしても目に入ってきます。こういった雑音こそが、実は自分の興味のなかった情報にも気づかせてくれることにも繋がります。
そして、既存のメディアはプロが仕事として作り上げているものばかりです。それが受け手の価値観と合わなくとも、一定のクオリティが担保されているというのは忘れてはいけません。
便利な時代になったからこそ、洗脳されない程度に楽しく有意義に情報収集ができるよう、気を付けたいものです。