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人生と飲食はリスクテイク|発がん性リスクと暮らし

20代で胃がんになった時、手術によって一旦は命拾いをしましたが、その後の3年間くらいは常に再発することへの不安に付きまとわれて暮らしていました。

一般的にタバコは発がん性リスクを高めると言われており、病院からも喫煙はしないよう指導を受けていました。しかし、それ以外は食事制限の指導などもなく、胃を全摘出してしまった状態でいかに栄養を摂取するかの相談がメインとなり、食べる食材は患者である自分自身で選ぶこととなります。

そういった状況において、どうしても気になってしまうのが「発がん性リスク」という言葉で、医療の知識に乏しい身としては「発がん性リスクがある」と何かに書かれているだけで、食べないように気を付けてしまうような状況でした。

タバコとアルコールなどは科学的根拠が明確になっていますが、まだはっきりしていない食品や習慣も多いようで、それら全てを含めると膨大な一覧になってしまっています。

不安を抱えたままこういった情報を見ていると、「肉は食べないで魚を食べた方がいいんではないか」となり「魚も食べないで野菜を食べた方がいいんではないか」となり「そもそもできるだけ食事をしない方がいいのではないか」となってしまうように、どんどん極論に進んでいってしまいます。

また、発がん性リスクのなかには「シフト労働」といったリスクもあり、そうすると「シフト労働の職種には就かない方がいい」といった判断のもとキャリア選択をすることにもなります。

確かに適切にリスクを避けるために情報収集することは大切ですが、不安な気持ちを持ってこういった情報を眺めると、更に不安は増して正常な判断ができなくなることに繋がります。

もちろん、タバコの吸い過ぎも酒の飲み過ぎも良くないですし、乱れた食生活で暴飲暴食をすることも良くないことだとは思いますが、冷静に考えると人間のどんな行動にもリスクは付きものだということはわきまえておきたいところです。

肉食を辞めた次の日に食べた野菜でアレルギーが発症してしまう可能性だってあります。禁酒禁煙を誓った翌日に車にはねられてしまう可能性だってゼロではありません。

大切なことは発がん性リスクをゼロにしようとすることではなく、定期的に健診を受けてリスクヘッジをしておくことです。現代の医療では、がんになってしまった場合も、早期治療を実施することで多くのがんが治療可能になっています。

リスクをゼロにしようと無理をして、窮屈な人生を過ごしていては元も子もありません。適切なリスクヘッジを施して、飲食も人生もリスクを取って楽しんでいきたいところです。

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