見出し画像

面接で嘘をついたら病気を克服できた話|就活成功の秘訣

就職活動において、自分を良く見せるために嘘をついてもいいものなのか。

選考結果に影響はあるのか、入社してから大変になってしまうのではないか、様々なリスクが考えられると思います。

おそらく一般的には嘘はつかない方が良いでしょう。嘘を見破られない保証もなければ、入社後にその嘘を貫き通すことも難しいからです。

しかしそんな就活における嘘もケースバイケースです。

僕は過去に面接で嘘をついて入社した経験があります。そして、その結果は良い方向に進みました。


面接で嘘をつく理由

僕が面接でついた嘘というのは病気についてです。そして「嘘」と言っても伝えにくいことを誇張して表現したに過ぎません。

当時の僕は病気の経験(就活で用いる言葉としては「既往歴」)と後遺症を持っていたために、なかなか就活がうまくいかずに悩んでいました。その既往歴は胃がんであり、後遺症は食事が人並みにできないことです。

はじめのうちは病歴を全て隠して就活をしていたのですが、自分の経歴の説明が難しくなってしまい、面接で自分をうまくアピールすることが全然できなかったのです。

そこで自分の経歴の説明がしやすい程度に、面接では既往歴を正直に話す方針で臨んだところ、相手の反応はどうあれ、アピールはしやすくなった実感を持ちました。

アピールはしやすくなったと言えども、伝える内容が既往歴(しかも胃がん)なのでポジティブに受け取ってもらうためにはある程度の嘘や誇張が必要でした。

そこで、そもそも就職できなければ何も始まらない、と開き直って、うまく嘘をついて乗り切ろうと企んだわけです。

面接でついた嘘の詳細

病気の経験があることを面接で伝えると「今の体調はどうなのか」について必ず尋ねられます。

その時に、どんなに後遺症で苦しんでいようが再発の不安に押しつぶされていようが「今は元気です」と答えないわけにはいきません。

僕は「今は元気です」という回答にあわせて、元気である証明になるよう「闘病後にフルマラソンを完走しました」や「必死でリハビリしたので人並みに食事がとれます」といった説明を加えて、今は元気であるアピールを繰り返しました。(これは本当のことです)

その効果もあってか無事に内定を頂くことができ、無事に社会復帰を果たすことになります。

しかし、心のなかでは若干のモヤモヤが残っていました。

フルマラソンを完走した経験を持っていると健康的な印象を持つかと思いますが、42.195kmを走りきることと、毎日夜遅くまで気を抜かずに働き続ける生活を送ることは全くの別物であって「これでは本当は元気な証明になっていない」と自分ではわかっていました。

また、食事についても「人並み」という抽象的な表現を使って誤魔化して伝えました。

胃を全摘出した経験がある人は世の中に多くはいないので、こちらが大丈夫と言えば大丈夫と思ってくれるだろうと踏んだのです。

噓から出た実|しんどかったが元気になった

こういった嘘をついて就職したところ、「病気克服」というシンボリックなサクセスストーリーによって、会社側から過剰に期待されるようになってしまいました。

本来既往歴を伝える目的は企業側からの配慮を求めるためだったのに、自分を良く見せて就活を乗り切るために既往歴を伝えてしまったため、入社後は通常の働き盛りの若者として扱われるだけでなく、飲み会を始め交流の場にもたくさん呼ばれることとなってしまいます。(要は気に入られたのです)

胃がん経験者としてこの働き方は正直しんどかったです。

毎日夜遅くまでの残業と週末の社内イベントにあわせて、勉強することもたくさんあるので、身体にも悪影響がでている感覚が強かったです。

しかし、振り返ってみると会社にその様なアピールをしたのは他でもない僕自身だったということに気づきます。

会社側はその様なアピールをしてくれた若者に期待をして仕事を任せ、イベントにも積極的に呼んでくれていただけです。

その当たり前の事に気づいてからは、病気を理由に仕事を得られなかった時期のことを思い出し「今のこの状況を受け容れて適応しよう」と、気持ちを前向きに転換することにしました。

次第に知識やスキルが身に付き仕事にも慣れ始めたころには、多くの後輩が入ってくることもあって仕事量は分散され、適度な働き方を実現することができるようになってきました。

そして、しんどい時期に適応しようとしていた時期のおかげで、ある程度のハードワークができる体力も身につきました。(今もハードワークはしたくないですけど)

こういった体力はフルマラソンとは全く別のもので、この時期の頑張りがあってこそ身に付いた体力だと思っています。

後遺症である食事量の減少についても、職場にはお弁当を持参することで失礼なくランチを断るという、ちょっとした工夫も身に付けるようになります。

自分がついた嘘に責任を持つことで、結果的に自分を高めることができたのです。

安静にしていただけの闘病ではこの体力はついていないはずです。「噓から出た実」とは良くいったもので、この体力と経験は僕にとって大きな財産となりました。

嘘をつくことはリスクを伴う行為ですが、結果次第ではその嘘が良い方向に転がることもあると、ひとつの参考にしていただければ嬉しく思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集