デヴィッド・ボウイを聴いて転職した話
最近、年を取ってきたからか、それとも仕事に忙殺されているからか、時間の経過が本当に早くなってしまい焦っている。これはよくある話だから、誰にでも身に覚えのある感覚だろう。時間が溶けてなくなっていくような気分なのだ。
だから、もし今の生き方が間違っているかもしれないと思ったら、変わる必要があるのだと思う。このまま働き続けることにやりがいやビジョンを感じられるうちは良いが、そうではない場合には転職したり独立したり、新しい変化に挑戦しなければいけない。
僕も30代を間近に迎えた時に転職を経験している。その時は仕事も順調にはなってきていたが、その先数十年に渡って通用する自信がどうしても持てなかったため、転職した方が良いと判断をしたのだ。
しかし、その一方で、現在の仕事を辞めることにも大きなリスクを感じていた。その現場への責任も持っていたし、せっかく身に付けたスキルや経験値を次に活かせる保証もなかったからだ。
そして何より、人は現状維持を好む心理的な傾向があり、それは僕も同じだった。変化を受け容れるには、何か強力なきっかけが不可欠だった。
そういう強力なきっかけというのは、誰かとの出会いがもたらしてくれたりしそうなものだが、そういった機会がなければ音楽や本から得ることもできる。当時の僕は音楽からその力を得ることができた。
その音楽とはデヴィットボウイの『Changes』という曲の一節であり、曲のカッコ良さだけでなく歌詞も深みがあってグッとくるのだ。
特にサビを締めるこの一節がグッとくる。
英語に自信はないので誤訳と言われるかもしれないが「時は私を変えるかもしれない。しかし時を追いかけることはできない。」といったところだろうか。
デヴィットボウイは長いキャリアを誇るスーパースターだが、彼は時代に応じて常に新しい音楽を作り出してきた。成功を経験してもなお、昔の栄光を繰り返すのではなく、変化をし続けた存在なのである。
そんなデヴィットボウイが「changes」と歌い、「時は私を変えるかもしれない。しかし時を追いかけることはできない。」と言うと、人は自ら変わるために行動しなければならないと思えるようになる。
この曲を聴いていた時に、当時の僕は転職を明確に決断したことを今も覚えている。時間は自分を変えてくれるかもしれないが、あくまで「かもしれない」だけで、過去の時間を取り戻すことはできないのだ。
僕は今30代の半ばであり、そろそろ次は40代がチラついてきた。今の仕事ももう何年も続けており、まだまだ頑張れそうだが、一種の居心地の良さに胡坐をかいている側面は否定しきれない。
またデヴィットボウイを聞いて変化に対して前向きになるべき時なのかもしれない。