読んでおいて良かった本|お金編
先日、会社の上司から誘いを受けて飲みに行った。彼は古くからの上司ではなく1年くらい前に外部から転職してきた人で、もともとは大手企業で経営に携わりながら新規事業を立ち上げ、大きな売上も達成し続けてきた営業畑出身のバリバリのビジネスマンだ。彼の参入により会社は変わろうとしている。
そんな上司は、もともと年収1000万円プレイヤーだったらしい。現代の会社員では、よほどの大手企業や儲かっている業界でなければ1000万円もらうのは難しいので、素直に凄いことだと感心している。
だから、そんな上司と飲みに行くと金銭感覚の違いを感じることが多い。稼いだお金は使ってしまうタイプのようで、飲み屋でも値段を気にせずにいいものをたくさん頼む。
一方で僕は、質素な暮らしを好む倹約家であり、立ち飲み屋に行くだけでも「使いすぎたな」と思ってしまうくらいだ。
こういう生活を目の当たりにし、金を使うことの豪快さを見せつけられて語られると、倹約している自分がバカらしく感じたり、もっと金を使って人生を楽しんだ方がいいのではないかと思ったり、そんな気持ちになりそうなものだ。
だけど、僕は確固たる考えを持って、お金は大切に使うことができている。それはやっぱり読書をした経験が大きい。
20代の前半、新卒で入社したばかりの会社をがんに罹って辞めてしまった経験がある。闘病とリハビリ期間、正社員になるまでの段階的なアルバイト期間も合わせると、社会復帰まで3年間を掛けてしまった。
そして、そんな自分を雇ってくれる会社は小さい企業くらいしかなかったこともあり、僕はこれまでに高水準の給与を得た経験がない。ボーナスも年に1回あればいい方だ。高い給与を支払えない会社の事情だってわかる。
こういった少し悲観的な考えを抱いていることもあり、収入を増やすことよりも支出を減らすことに関心が高まっていく。
そんな時に読んだのが『となりの億万長者』と『私の財産告白』だ。
『となりの億万長者』は全米の億万長者のリアルな暮らしを描いたもので、一般的な億万長者のイメージとは異なる姿が描かれている。彼らは豪華な暮らしなどは一切せず、倹約を続けて堅実な投資をし、豊かな老後の生活を送っているのだ。
本多静六の『私の財産告白』も同様に倹約の大切さを教えてくれる一冊だ。本多静六は大学の教授として働きながら、給料の四分の一を必ず貯金に回してから生活をするよう徹底し、40代を過ぎた時にその貯金を投資にまわすことで莫大な財産を築いた。
これらは一般的なマネー本やカリスマ経営者の伝記とは違い、給料が高くない会社員でも真似ができる考え方が書かれている。もちろんこの様な暮らしを継続して実践するのは難しいが、カリスマ性や才能は必要ない。
こういった本を読んでじっくりとお金について考えたこともあり、その考えは僕の骨子になった。目の前で豪快にお金を使われると、自分もそうしなければいけない様な気になることもあるが、アメリカの億万長者はバドワイザーを好んで飲んでいたし本多静六も芋粥を食べていたことを思い出すと、人の目を気にする必要はないと思えるのだ。
この前の飲み会では、会食として少し高めの個室居酒屋で二人で20000円くらい、そのあとバーに連れ出されて数千円、最後にラーメンで締めてから、タクシーで帰った。倹約を好む身としては痛い出費だ。
しかも僕は胃を摘出しているので、ラーメンを食べ終わり上司と別れたあと、キャパオーバーだったため食べたものを全てトイレで戻してきた。使った金の対価は何も得ず、トイレに金を流してきた気分になる。
あらためて思うが、質素な暮らしをした方が心が豊かでいられる気がする。本当に価値あるものに対して適切にお金を使っていきたい。