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誰かの課題は、誰かの課題ではない

スタートアップ支援と「誰かにとっての課題」について考える

スタートアップピッチとシェルパとしての役割

昨日、広島県庁が主催するスタートアップ支援事業「PANORAMA」の最終ピッチ大会が開催されました。私はこの事業でシェルパ(サポーター)として、ある起業家の方のプロジェクトに関わってきました。その方は素晴らしいプロダクトを世に広めたいという強い野心を持っており、課題は山積みでした。
最終的には、最優秀賞をいただきました!おめでとう!!

課題の特定とやっつけかた

例えば、初期ロットの1億円をどのように調達するのか。サンプル段階のプロダクトをどのように技術的にブラッシュアップし、社会的に認知させるのか。特許取得、法人格の取得、補助金申請、ピッチ資料作成、システムアップデートなど、課題は50以上もありました。その中でも致命的な課題を除けば、解決可能な課題がほとんどです。

ディレクター兼トップセールスマンの彼女は、ものすごいスピード感と正確さで課題に向き合い、次々とクリアしていきます。その姿を見て、私も一緒に複数の業務をこなしながら、まるで険しい山を登っているような感覚になりました。私がシェルパとして導きながらも、新たなシェルパを巻き込み、現場での調整を重ねていきます。適格なオファーを出し、必要な人材を紹介していくことで、少しずつ課題を突破していきました。


誰かの課題は、誰かの課題ではない

スタートアップ支援を通して、彼女が口にした素晴らしい言葉があります。それは「誰かにとっての課題は、誰かにとっての課題ではない」ということです。

例えば、私は身長が189cmあるので、高いところの物を取ることが得意ですが、背の低い人にとってはそれが課題になります。経営者の課題は200人以上の課題を解決してきたので簡単に解決出来ますし、その経営者に寄り添った適度なアドバイスを行えます。
一方で、私は洗濯が苦手です。柔軟剤や洗剤の量を測るのが面倒で、正しいやり方を調べる気にもなれません。
きっとこれを課題だと思っているのは私含めたごく少数で、多くの人は難なくこなしています。

このように、人それぞれが抱える課題は千差万別であり、それを他人の視点で見ると意外と大したことではない場合があります。しかし、自分にとってはその課題がとてつもなく大きく感じられるのです。


課題を解決するための「動く力」

スタートアップの世界では、動く人と動かない人の違いが明確に表れます。動かない人は、課題を見つけるだけで終わってしまい、一向に前に進めません。動く人は課題に直面しても「うげー、めんどくせ」と思いながらも、実際に行動を起こします。

課題解決のプロセスは以下のようにシンプルです。

  • 着想 → 着手 → 解決

多くの人は「着想」まではできても、「着手」に至るまでに時間がかかります。しかし、動いてみると意外と大したことはなく、問題が簡単に解決することも多いのです。


課題解決のヒントはジグソーパズルにあり

課題解決について話すとき、私はよくジグソーパズルを例に出します。たとえば、2000ピースのジグソーパズルを完成させるには、以下の手順を踏みます。

  1. 枠を購入する

  2. パズルを広げ、自分が動き回るスペースを確保する

  3. 枠の下敷きを置く

  4. 全てのピースを表向きにする

  5. 角を集め、周囲から作り始める

  6. 特徴的な色や形を見つけて組み合わせる

  7. 最後に空や海のような同じ色の部分を完成させる

初心者は順番を守らず、適当にピースをはめようとして非効率に進みます。一方、上手な人は淡々と手順を守り、完成に近づけていきます。課題解決も同じで、大きな課題は複数の小さな課題の集合体であることが多いのです。


スタートアップの目的は「起業家を育てる」こと

ピッチコンテストに参加する目的について、私は「起業家を育てること」が本質だと考えています。スタートアップ事業は、短期間でビジネスを完成させることが目的ではありません。5年後、あるいは20年後に実現するかもしれないビジョンに向けて、起業家が経験を積み、成長することが大切なのです。

今回学んだことや得た人脈、スキルは、たとえ事業が変わっても必ず役に立ちます。失敗したとしても、その経験が起業家の将来を支える財産になります。


課題の重さを何で計るか

私はこれまで200社以上の事業再生・経営支援を行い、100社以上の補助金申請を手がけてきました。私生活は課題だらけですが、数千万円の営業赤字を黒字転換し、コンサル先の従業員の雇用を守ってきました。
守秘義務もあるし、そもそも黒字転換してよい企業になっているから、全くどの会社か、なんて言えませんが。

そんな私にとって、洗濯の仕方を教えてもらうことは、私が再生した企業の経営者が喜ぶ以上の喜びかもしれません。誰かにとって重要な課題は、他人にとっては些細なことです。人はそれぞれ異なる課題を抱えていて、その重さを測る物差しは人それぞれです。
おそらく、世の中の、私にとって致命的であるあらゆる課題は、誰かにとってはソヨ風のようなものかもしれません。

とんねるずの石橋貴明さんが競馬で言ってました。
「100円でも10万円でも、ドキドキは一緒」
私も、ビジネスの稼ぎ方を教えた相手から、日常生活のアドバイスをもらい、そのフェアな関係が成立する。それが世の中の多様性であり、相互支援の本質なのかもしれません。


終わりに

スタートアップ事業を支援する中で、私は「動く力」と「課題の視点の違い」を強く感じました。誰かにとっての課題は、誰かにとっての課題ではない。その事実を理解し、互いの得意分野を活かし合うことで、個人も社会もより良く進んでいけるのではないでしょうか。

数千万円のビジネスコンサルと、ズボラな僕でもふんわりとして、おひさまの香りのするタオルにする洗濯のノウハウを教え合う時に価値がバランスするのかどうかについては?

本人が良しとすればそれでよいのではないでしょうか。
少なくとも今回のクライマーと歩んだ4か月のシェルパ活動は、僕にとっては毎日youtubeでお笑い番組を見るよりも楽しかった


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さんよーさん
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