おすすめの歌集『トントングラム』伊舎堂仁著(書肆侃侃房)
こんな奴におすすめ!
ユーモアのある短歌が好きな奴
概要
石垣島出身の歌人、伊舎堂仁の第一歌集。1988年生まれの若い歌人である。著者は先日、穂村弘がパーソナリティーをしているラジオ第一の「ほむほむのふむふむ」にゲストとして出演していた。
彼の話からは、深い短歌愛と飾らない人柄を感じてとても好感を持った。印象に残ったのは、ラジオで流すリクエスト曲として彼自身がまだ聴いたことがないという曲をリクエストしていたことだ。初めて聴く曲を穂村弘とラジオ番組で一緒に聴いてみたかった、と語っていた。その理由を聴いて、じわじわ感動がきた。
ラジオで紹介されていた短歌も凄く面白かったから、「これは歌集を読まねば!」と思って手にとったのが今回紹介する『トントングラム』である。
特に印象に残った7首
副作用とかが、ありそうだ。
確かに、手話を見ていると普通の顔から急に怖い顔になるときがある。しかし、それが短歌になるとは思わなかった。
特に下の句が面白くて、読めば読むほどボディブローのように効いてくる。
石垣島出身の著者にとって「海」はふるさとの象徴なのかもしれない。
子供の頃の思い出だろうか。熱湯が出てくるとは知らず、「女の子」に火傷させたのだろう。
失恋の歌のように感じた。
「JR奈良駅」にびっくりする。いまだに、この短歌の意味はわからない。しかし、そのミステリアスなところに惹かれる。
まとめ
この歌集のプロフィールのところに、著者の写真が掲載されているのだが、なぜかパン屋さんでトングを持ってパンを選んでいる写真なのだ。
なぜなのだろう、特に意味はないのか、などと考えていてふとタイトル名が頭をよぎった。この歌集は『トントングラム』である。トングを持っていることと、『トントングラム』には何か関係があるのか。それともただの偶然なのか。この歌集には、次のような短歌もあった。
なぜ、「トントングラム」なのか。ますますわからなくなってきた。
ともあれ『トントングラム』、最高におすすめの歌集である。