今、何時?
他言語がふと、聴こえるような経験。
この感覚が分からなった。
英語で言えば、学校で同級生や教師が言う英語はわかるけれど、それを聞けたところで、
英語が聴こえる!
みたいな感覚にはならないし。
やっぱり、日常生活の中でネイティブが言ってる言語が聞こえるような、そんな経験ができてやっと
聴こえる!
という感覚になるのではないだろうか。
今回は、中国語が全くできなかった僕が滞在1か月の最終日に体験した、他言語が聴こえる!という感動体験について話したいと思う。
他にも中国の滞在した際の日記を書いているのでよければこちら
北京・王府井
僕は8月の1か月間、大学のプログラムで中国の桂林、三江、北京で語学勉強、フィールドワークを行った。
中国に渡航する前、中国語といえば、
ありがとう、こんにちは、とてもいいね
の3語しかわからなかった。
だから、桂林の大学で中国人のバディとコミュニケーションを取ろうと思っても電子辞書なしでは意思疎通ができなかった。
それゆえ、バディさんがあれこれしてくれても十分に感謝の気持ちも伝えられなかったし、相手が言っていることがそもそもわからないので悔しい思いをした。
(中国版LINE=wechat での意思疎通は難しい発音も聞き取る必要もなかったので、wechatのほうが格段に意思疎通ができた)
自分の無力さや無学を痛感させられた。
桂林の大学で必死に勉強したけれども桂林での滞在は約2週間。
そんな短期間でマスターできれば、語学学習者は誰も苦労しない。
そんなもんだで、
必ず、中国語ができるようになって帰ってくる
という思いを秘めて桂林をあとにした。
スーパーのおばちゃん
北京・王府井に着くと、あまりの人の多さ、熱量、そして、大都会にも関わらず、おばさんたちが太極拳に興じているのに驚いたことを鮮明に覚えている。
1秒でも中国を堪能したかった僕は、朝も昼も夜も街を歩き回った。
そんなとき、王府井のホテルも目の前にあったスーパーに立ち寄った。
果物の安さ、日本のスーパーと比べて中国のスーパーはこうなのか、ああなのかと考えている刹那、スーパーの女性店員が
じーでぃえん?
(日本語にはない漢字なのでひらがな表記)
と話しかけてきた。
その時、その言葉を聞いたのと同時に自分の腕時計を見ていた。
つまり、女性店員は僕に
何時?
今の時間を聞いていたのだ。
8時30分ですよ。
(スーパーの閉店時間が8時40分とかだった。きっと閉店が近くなっていて、今何時なのか、店員さんは気になったんだと思う。)
と答えると、あっそ、と言わんばかりに店内に消えていった。
僕はほんの数秒のやり取りだったけれども、とても感動した。
脈絡もない質問に対して、自分は
中国語
↓
日本語
↓
時計を見る
ではなく
中国語
↓
時計を見る
という風に日本語を介すことなく、動作に移し、返答することができた。
たったそれだけのことといえばそうだけれども、中国語を3語しか知らずに来た自分としては、
中国語を聞き取れたことにも感動したし、
日本語と同様に何にも考えずとも聞かれたことにただ答えただけ、
というスリムな受け答えを中国語でできたことにも感動した。
明日、もう日本に帰らなくてはいけないという焦燥感に駆られていた僕はスーパーでの他愛もない会話一つで一生、消すことのできない、貴重な土産を手に入れることができた。
帰国
帰国後も独学で中国語を勉強していたけれど、時々、中国人観光客の言っていることがわかるようになった。
それを隣にいる友達に言うと
すげーな
と言われて、うれしい気持ちになる。
語学は日々の積み重ね。
今は原点に立ち返って英語の勉強をしているけれど、こつこつと頑張りたい。そして、いつか中国語の学習を再開して、2週間、お世話になったバディさんにあの時、十分に伝えられなかった気持ちを伝えた。
(番外編)
北京から30分ほどで着く天津での一コマ。
普段、写真を撮り慣れていないから指が映り込んでる。