豆の産地、十勝で出会った豆のある暮らし
北海道が豆の産地、ということはある程度知られているだろうか。
十勝地方の広大な土地が、その生産の多くを担っている。
そんな豆の産地で、豆と向き合ってみると見えてくる新たな魅力。
ステンレスボトルを使ったら、こんなに簡単で楽しい豆のある生活が始まった。
さあ、豆を買おう
子供の山村留学を目的に、十勝の村 中札内村に短期移住しているわたし。
中札内はもちろん、周辺の更別や幕別など、十勝の道の駅には、たいがい袋に詰まった豆が並ぶ。
以前の記事でも書いたが
これまで一度も豆を煮たことのないわたし。
名産地にいるからには、豆をなんとかしたい!
そう思って、思い切って購入してみる。
違いがわからないので、えいと選んだ大豆は一袋300円、中札内村産。 生産者Kさんのお名前が書いたシールが貼ってある。
ちなみに、ちょっと変わった名字のKさん。
後日村内の道を通った際、「K〇〇農場」という看板発見し、おそらくこの方に違いない。こちらの畑でとれたのかなと、眺めて妙に嬉しくなった。
産地の距離が近いと食がさらに楽しい。
豆を煮る裏ワザ
さて、わたしの豆生活にかかせない相棒が、ステンレスボトルだ。
「ステンレスボトルに大豆を入れ、熱湯を注いで一晩おくだけ」という、道の駅の豆コーナーで目にした煮豆の裏ワザが、
これならできるかもと、ずぼらなわたしに勇気をくれた。
たまたま持っていたサーモスのボトルは、広口で豆を入れるのにもピッタリだ。
めちゃくちゃ簡単な4ステップで煮豆が出来上がる。
①大豆を洗う。
②大豆をステンレスボトルに入れる。目分量で1/10程度の量
③その上から、一杯になるまで熱湯を注ぐ。
④蓋をきっちり閉め、一晩置くだけで完成。
やってみたら、うそみたいだけど本当にふっくらやわらかな煮豆が出来た。朝、蓋を開けると、水筒の中に大きく膨らんだつやつやの豆がびっしり詰まっている。
豆料理のレパートリーなんて全くなかったが、レシピサイトを参考に冷蔵庫に余ってた豚肉を切り刻み、出来上がった煮豆とじゃがいも、にんじん、コンソメの素とケチャップも入れて、軽く煮込んで「チリコンカン」にする。思いのほか評判がいい。
気をよくした翌日は豆のスープを作ったらこれも好評。娘が「次はサラダ」という。
子供達が意外にも豆好きだったことに驚いた。
さらに極める豆生活
大豆でできるなら…と、後日さらに小豆にもチャレンジ。
何かをしようと思ってゆであずきを買って、
それが一年くらいある。
というのを経験しているのは、わたしだけだろうか。
使いたいけど使いきれない、それがゆであずき。
甘いあずきをひと缶開ける勇気がなかなか出ない。
そんなゆであずきが好きな分量で作れて、しかも砂糖の加減も出来るなんて。
しかも、ほったらかすだけで。
大豆と同様、ステンレスボトルに入れて一晩おくと、少し固めだが、小豆の水煮が出来上がった。
ここから砂糖を加えて軽く煮込むだけでおしるこになる。
砂糖を加えて軽く煮てから、フルーツ缶のフルーツを添えてみつ豆風にした。
コーヒーに加えてあずきコーヒーにしても楽しめそうだ。
豆生活をエンジョイしている中、
ふと棚を見ると慣れぬ豆が増えている。
夫が買ってきたらしい。
黒くて小さい、「からかけ豆」。
マダラ模様の「紫花豆」。
これは流石にステンレスボトルでは無理じゃないだろうか。
ついに夫も豆料理に参戦するのか、と思いきや、その後ずっと棚に飾られているが、どうしたものか。
豆を極める、その2
中札内村には、ビーンズ邸という豆の博物館があり、豆に関する資料がたくさんある。
道の駅に併設されていて見学無料となっているので行ってみた。
かなりマニア度は高いが、とにかく「豆」に関するいろいろなものが置いてあるので、極めた感は高い。
たんまりもらったパンフレットの中に、豆の煮方が書いてあり、なんと、あのステンレスボトルで煮豆の裏ワザも紹介されていた。
ステンレスボトルでやる場合の注意点としては
熱湯を入れた後、5分置いてから一度湯を捨て、また熱湯を入れるのがポイントだそうだ。
また、ボトルは立てずに横に寝かせるほうがよいとのこと。
やってみると、なるほど最初よりもふっくらと煮える気がする。
さすが豆の博物館。
また、これによると花豆の類も放置時間を延せばステンレスボトルで煮ることができるらしい。
ようやく、棚の紫花豆にも光が見えてきたかもしれない。
豆を探せ!
ほったらかしの便利さに、以来わが家の食卓には何度も豆が登場するようになった。
特に豆のスープがおすすめ。
夜に使うぶんの大豆を朝仕込んでおくのがちょうど良い。
一度だけ、流しの上に豆を入れたステンレスボトルを置いてあったら、消えていたことがある。
さあ夕食の用意をしよう、と見たら、どこにも見当たらない。
あちこち探して、おかしいなと首を捻っていたら、夕方外遊びから帰ってきた娘がボトルを手にしていた。
なんと、お茶と間違えて外遊びに持って行ってしまっていたらしい。
幸い飲まずに帰ってきたようで、
それ、豆が入ってるボトルだよ!と告げると
えええ?
とめちゃくちゃ驚いていた。
確かに、普通は水筒の中に豆が入っているなんて思うまい。
とにかく飲まずによかったね、と言うも、
お茶を飲もうとして口の中に豆が転がり出てきたら一体どんなリアクションをしたんだろう、と、それはそれで興味があり、惜しかったな…と思ったりもする。
ともあれ、以来わが家では「横に寝かせて置いてある赤いボトルは、豆が入っているので持ち出さないこと」がルール。
だんだんと、赤いボトルが「豆専用」になりつつある。
この煮豆の裏ワザで、はるか遠い存在だった乾燥豆が、"困ったときのシーチキン缶"くらいの身近さになってきた。
肉・魚・たまごに加えて「豆」という選択肢が増え、いきなり世界が広がった気がする。
今のご時世、マイボトルの所持者はすでに多いかもしれないが、「豆用にもう一本水筒を買ってもいい」と思わせるくらい便利だ。
サーモスさん、販促のチャンスですよ、と言ってあげたい。