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【理想の三線探偵団04】 人工皮の音が一瞬で ”本皮一枚張り” の音に?


 さてみなさんこんにちは

 今日もみなさんに三線にまつわる

「驚きの発見!」

をお届けします。 名付けて、

ハイサイチューン!

 このチューンナップで、あなたのお手元の人工皮三線の音が、一瞬で本皮一枚張りの音に早変わりするという魔法です。


 と、その前に、まいどおなじみの「うんちく」のお時間を少し。

 わたくし左大文字は、もともと邦楽の「地唄三味線」から三味線の世界に入りました。関西の大学を出ているので、邦楽部サークルで和楽器を弾く際にはどうしても「箏・三味線・尺八」の3つの楽器で演奏する「三曲=地唄」をやることになるんですね。

 これが関東の高校や大学の邦楽部だと、歌舞伎で使われる「長唄」をやったりするところも多いのですが、これは地域性の違いです。

 さて、本州の三味線は、中国の三弦が元祖ですが、沖縄の三線が堺を経由して東国に広がっていったもので、戦国時代からの歴史があります。

 ということは沖縄の三線にもおなじくらいの歴史があることになるのですが、残念ながらずっと三線は宮廷音楽で民間に降りてこず、宮廷以外では発展が停滞した時期がありました。

 逆に本州の三味線は、「歌舞・浄瑠璃」音楽から「花柳界」のみならず、「民謡」など、すでに幅広いジャンルでそれぞれ別の発展を遂げています。

 楽器が発展するということは、単純に言えば

バリエーションが増える

ということです。ギターであれば「クラシックギター」が元祖だとすれば「フォークギター」になり、「エレキギター」が生まれて「アコギ」にハイブリッドされちゃったりするような、楽器種類の広がりが生じるのですね。

 三味線も、「柳川三味線」「長唄細棹」「地唄中棹」「浄瑠璃太棹」「津軽太棹」など、形態や寸法、パーツもふくめて全然異なる進化を遂げてきました。

 沖縄三線の場合は、「真壁型」や「知念大工型」などの型の違いはありますが、古典と民謡で用いる楽器の形が異なるなどの「バリエーション」の違いはまだ生まれていません。 

 皮の違いも「本皮」「人工皮」などがあるものの、これも「ポップスは必ず人工皮の短棹を使う」などの”しばり”があるわけではなく、まだまだ未発達であることがわかります。

 将来的には、もしかすると「古典は真壁で弾き、ロックは久葉の骨で弾く」なんて差異が生まれてくるかもしれません。

 ところで、地唄三味線は棹の細さが「中棹」という中くらいのサイズであるだけではなく、撥を皮に当てずに、胴の部分に当てて止めるという技術的な違いもあります。つまり、バンバン太鼓の音を響かせず、糸・弦の振動のみを楽曲にするのです。

 逆に津軽三味線は、皮を叩いてなんぼです。打楽器の要素が強いということです。

 話があっちこっちに飛びますが、コマも異なります。地唄三味線のコマは中をくり抜いて鉛が入れてあります。まったくサウンドが違ってくるのはこのせいです。


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 このように、「楽器の形態が変化し、サウンドが多品種になる」というのが楽器の進化ですから、沖縄三線の世界は現在進化のまっただ中で、いろんな種類のスタイルやサウンドがこれから増えてゆくのが、望ましいというか面白いということになるでしょう。

 その意味では

「本皮一枚張りがいちばん良い音である」

という言説が今はまかり通っていますが、将来は変化する可能性もある、ということになりますね。

 さて、本皮が一番良い音であると仮定して、ではなぜ人工皮は「良くない音」になってしまうのでしょうか。実は、音響学的には、人工皮は「より強く張れる」し「より均一な皮面」を持つことが可能です。ですから、言い方を変えれば、たぶん人工皮は

良すぎる

のでしょう。逆にそこに、皮の厚みの乱れや、湿度や強度に対する不安定要素を加えてゆけば、

「本皮らしい音」

が作ってゆけることになるのではないでしょうか。

(これも面白いことに、前回発見したように人工皮の場合、値段差や価格差によって音が変わるわけではありません。最低価格の人工皮で充分、高いものと同じ音がすることがわかったわけですから、それほど完成された素材なのです)

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 では、魔法の「ハイサイチューン」を施した人工皮の三線サウンドを聞いてください。AとBの2棹用意して、チューンなし(ノーマル)とチューンありの2パターンを収録しました。

(ヘッドホン推奨です)


 いかがですか?たしかに人工皮なのに、「ハイサイチューン」が施されたほうは、人工皮特有の「シャリシャリ感」「ジャリジャリ感」「キンキン音」「金属感」が無くなっていることがわかると思います。

 チューンされた2つの楽器の音を、先入観なしで聴くと

「本皮」

と評価する人がいても不思議ではありません。

 まさに発明!

 人工皮の登場や、二重張りの発明に匹敵する大発明(笑)になるかもしれません(←言い過ぎ)


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 では、そのハイサイチューンの方法を紹介しましょう。

画像1

 使うのは1ミリ厚の天然ゴムシート。合成ゴムでもよいし、チューンを極める場合は0.5ミリのものでもOKです。それをごくごく最小限に切ります。

画像2

 理想的なのは、ウマの足元だけサイズですが、足の面積が小さくふにゃふにゃするので最小シートにしています。

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 あとは、シートの上にウマを載せるだけ。これで、弦からやってくる振動信号のうち、超高域の周波数を減衰させます。

 だから、シャリシャリ音だけが消えるのです。

 (ウマ高さが少しだけ変わるので、適宜調整してくださいね)


 本州の三味線では、コマの仕様変更でサウンドを変えるのは定着しているので、その考え方を沖縄三線に取り入れてみました。

 ぜひ、みなさんも

 ハイサイチューン

で、人工皮でも超絶サウンドをお楽しみください!


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