B2Bプロダクトディスカバリーの「リアル」
はじめまして、Sansan株式会社の川瀬と申します。
営業DXサービス「Sansan」のプロダクトマネジメントを担当しています。
本記事は pmconf 主催の プロダクトマネージャー Advent Calendar 2023 の8日目の記事です。
自己紹介
Sansan株式会社には、2023年8月に入社しました。
LINEやグーグル合同会社、MNTSQ株式会社などで、toB/toC国内外問わず、プロダクトマネージャー・プロジェクトマネージャーとして、様々なプロダクトに携わってきました。
本記事の背景
多種多様なプロダクトディスカバリー・デリバリーを経験してきたのですが、Sansanについては、特にプロダクトディスカバリーに力を入れているので、どのようなことを行っているのかリアルをご紹介しつつ、相談に乗ってくれる方がいたらディスカッションしたいです。(助けてください!)
以下のような背景により、Sansanはディスカバリーによる課題発見とソリューション仮説立案・検証が非常に重要です。
「営業DXサービス」という大きなコンセプト
ターゲットユーザー・ユースケースが多い
多くの機能を提供している
名刺管理、企業情報、マーケティング機能、システム連携など
既存ユーザーも多くいる
中小企業からエンタープライズまで
なので、Sansanはプロダクトディスカバリーをとても重要視しています。
どんなチームでやっているの?
営業DXサービス「Sansan」を担当しているプロダクトマネージャーは、現状8名(+ VPoPの西場)です。
うち2名は少し領域に特化していますが、基本的に皆何でもやります。
エンジニア出身、営業出身、ディレクター出身など多種多様です。
それぞれのスキルを活かしつつ、pmconfの曽根原さんの話にもあったOver-indexingにならないように、皆プロダクトマネジメントに向き合っています。
以下はインサイドセールスからプロダクトマネージャーになった乙幡さんの記事です。
機能担当のようなものはなく、誰もがどの画面・機能・デバイスについても、担当します。
課題を起点・軸にしているので、ソリューションとして画面・機能・デバイスは限定されないほうが取り組みやすいという背景もあります。
具体的に、何をやっているの?
Sansanのプロダクトディスカバリー・デリバリーには、7つのフェーズがあるのですが、今回はその最初の3つをご紹介できればと思います。
Ideaフェーズ
ユーザーフィードバックやUXリサーチなど、様々なリソースをもとに、プロダクトの課題や改善のアイディアを言語化します。
具体的には、プロダクトマネジャーがNotionでPRDを作成します。
PRDには背景や課題、要件などを記載します。
この時、まだソリューション(要件)は仮で良く、背景や課題の概要がある程度分かるようになっていることをイメージいただければと思います。
このPRDが根幹となり、ディスカバリーを進めていきます。
Discoveryフェーズ
Ideaフェーズで作成したPRDをもとに、ディスカバリーを行い、課題の特定を行います。
プロダクトマネジャーとデザイナーが、本当にそれは課題なのか、解決すべき課題なのか、その課題を解決することによる影響はどうか(解決しないことによるリスクはどうか)、などを検証します。
具体的には、社内外ユーザーインタビューや定量調査、社内Feedbackの洗い出しなどを行います。
特に社内ユーザーインタビューについては、Sansan株式会社に毎月数十人の営業メンバーが入社しているので、その入社直後のメンバーに営業についてのヒアリング(ユーザー理解)と、ユーザビリティテストを毎週4人以上実施しています。
また、社内のSlackチャンネルに投稿されるFeedbackも毎月数百件に上るので、改めて課題をもとに整理したりもします。
Designフェーズ
Discoveryフェーズを経て、ソリューション(要件)を固めていきます。
具体的には、プロダクトマネジャーとデザイナーとエンジニアが、背景や課題をもとに、ビジネス要件とシステム要件を言語化します。
デザイナーは状況設定とともに、Figmaでプロトタイプを作成します。
ソリューションについても、Discoveryフェーズと同様、商談同席を含む社内外のヒアリングやユーザビリティテストを行います。
PRDのブラッシュアップも行います。
Notion AIを用い、PRDの分かりやすを部分的に改善することはもちろん、以下のようなpromptをPRD全体に実施することで、ポイントを洗い出します。
このフェーズの後はRefinementフェーズとなり、デリバリーを行っていきます。
どのような課題に対して行っているの?
プロダクトディスカバリーは、短期〜長期の課題解決について、同様に行っています。Product QualityとProduct Roadmapの主に2種類の課題解決があります。
Product Qualityは魅力的品質まで引き上げる短期の開発実装で、Product Roadmapは1~3年後のプロダクトの開発を伴わないプロトタイプです。
Product Roadmapにより、Step changeを行います。
まだまだ改善点がありそう…
日々試行錯誤しているのですが、まだまだ改善できそうだと思っています。
例えば…
ユーザーインタビューは多く行っているが、共通のインサイトや課題の抽出・管理に改善の余地がある。各プロダクトマネジャーがそれぞれのインタビューをまとめて課題を言語化しているので、その効率化ができそう
課題とNSMをもっと紐づけたフローにできそう
各プロダクトマネジャーが取り組んでいる課題の量や性質の最適化がもっとできそう
直近だと、Melissa Perriの最新作のProduct Operationsを読んだりしながら考えているのですが、まだまだ色々試行錯誤したいと思っています。
今回の機会で、どのようなことを行っているかリアルをオープンにすることで、たくさんの方々とディスカッションできれば嬉しいです。
採用しています
このようなプロダクトマネジメントに興味があれば、川瀬か西場にXでDMいただければ嬉しいです。
読んでいただき、ありがとうございました!