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会いたい人に会えるかも…五百羅漢 天寧寺(滋賀県彦根市)
いろんな表情の羅漢様がおられる天寧寺。
「亡き親・子供に会いたくば五百羅漢の堂に籠れ」との伝承もあります。
彦根駅から東へ徒歩約20分。
山門への坂を登って行くと、大きな地蔵尊が出迎えてくれます。曹洞宗のお寺です。
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五百羅漢
お堂へ入ると、三方をぐるりと羅漢像が取り囲んでいます。
数の多さに圧倒されましたが、ゆっくり拝観することができました。
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表情豊かな羅漢さん。手のしぐさも色々あって面白い。
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「誰か知ってる人いないかなぁ」と探したら、祖父に似た羅漢さん発見!
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こちらは母そっくりの羅漢さん(中央)
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釈迦如来・十大弟子・十六羅漢・五百羅漢の併せて五二七体が、制作当初から一体も欠けることなく安置されています。
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天寧寺建立のいきさつ 腰元・若竹の悲劇
天寧寺は井伊直弼の父である直中が、自分の過失で手打ちにした腰元と初孫の菩提を弔うため建立しました。
文政二年の春、男子禁制の槻御殿(現在の楽々園)で、奥勤めの腰元若竹がお子を宿しているらしいという風評が広がった。
それが藩主の耳にも届き、大奥の取り締まりのためにも相手の名を詰問したが、口を固く閉ざして明かさない。遂には不義はお家の法度であるという掟によりお手打ちになった。
後になって若竹の相手が長男直清であったということが明らかになり、直中公も不知とはいえ若竹と腹の子(初孫)を葬ったことに心痛め追善供養のため、京都の大仏師駒井朝運に命じて五百羅漢を彫らしめ安置された。
手打ちって、殺傷ってこと⁉ 現代では考えられません‼こんな経緯があったのですね。
井伊直弼公供養塔と小説「奸婦にあらず」
羅漢堂を出て、境内を散策します。
彦根城を見渡せる方向に、井伊直弼の供養塔が建っています。
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幕末の大老井伊直弼は、安政七年三月三日桜田門外で暗殺された。
その時の血染めの遺品類は四斗樽四杯に詰められ、急ぎ彦根へ持ち帰られ、直弼が心の拠り所として愛した天寧寺に埋められた。
翌万延二年(文久元年)三月三日此処に彦根の墓として、「井伊直弼公供養塔」が建立された。
供養塔の近くには、直弼の腹心だった「長野主膳の墓」や、密偵として働いた「たか女の碑」があります。
たか女(村山たか)を軸に、幕末の動乱期を描いた小説「奸婦にあらず」(諸田玲子著)を読んだことがあるのですが、その舞台のひとつが天寧寺です。
長野主膳の墓
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たか女の碑
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供養塔の近くからは、彦根城が望めます。直弼もここからお城を眺めたのでしょう。
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小説「奸婦にあらず」が好きで、いつか天寧寺を訪ねたいと思っていました。
実際に供養塔などを目にすると、描かれた場面をリアルに感じることが出来ます。
たか女にまつわる地を、いつか巡ってみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。