三浦半島釣り魚図鑑(7) ゴンズイ
ゴンズイといえば、水族館などではゴンズイ玉という、群れの状態で展示されていて割と人気のお魚。黄色い縞の、ナマズのような見た目がユーモラス。
かなり昔、まだうちの家族が釣りを始めたばかりの頃、船着場で釣りをしていたら3本ついていた針のうち、2つにハゼよりもだいぶ大きな魚がかかった。夫は釣れたーとばかりに喜んで魚に触ろうとしたら、周りの人に危ない!と止められた。その魚こそがゴンズイ。
ゴンズイは毒があることで知られている危険な魚のひとつ。背ビレと胸ビレの三箇所の針に毒があり、これが刺さると激痛が走り腫れ上がるという。その時横にいた釣り人の方は、糸を切って捨てろと教えてくれた。実際、針を取ろうとして刺されることも多いらしく、とても危険だ。
でも今、うちではゴンズイといえば、通称ゴンと呼ばれて、唐揚げで食べることの多い魚になっている。そう、ゴンズイは、毒針さえうまくとれれば食べることができるおいしい魚。毒も熱を加えることで無毒化されるという。
とはいえ、はじめそのことを夫がネットで調べて、食べようと言い出したときには私はかなり心配で反対した。今でも毒針をとるのは夫や子どもにやってもらっていて、自分でやったことはないのだけれど、やり方としては、吊り上げてすぐにトングのような道具(メゴチバサミ、フィッシュグリップなど)で魚を押さえて3本のヒレをハサミなどで切り取る。ついでに大きすぎて食べることもない頭も落として持ち帰る。
家に帰ったら3枚におろして身の部分のみを調理する。ぬめぬめしてちょっと見た目は気持ち悪いのだけれど、ウロコがないので楽。ゴンズイは夜釣りに行けば必ずと言っていいほど釣れるので、たくさん釣ってたくさん揚げる。塩を振ってシンプルに食べることが多かったのだけれど、アナゴのタレのような甘辛いタレを塗れば、アナゴによく似ていて 子どもにも好評。さらにフライにしてタルタルソースでもかければ、普通の魚のフライと変わらずおいしく食べられる。
私はやったことがないけれど、この地で育ったおばあちゃんの話でも、昔は漁師さんがゴンズイをよく持ってきていたので、煮つけにして食べていたらしく、味噌煮がおいしいらしい。
写真などではゴンズイは黄色い縞が目立つことが多いけれど、釣ってしばらく経つと縞が目立たなくなるのか、このとき絵に描いたゴンズイの縞はほとんどわからなかった。大きくなったゴンズイは臭いこともあるので、中ぐらいのサイズが食べるにはちょうどよいかも。
ぜひ、たくさん釣れるゴンズイを食卓へ。