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【多摩川自然観察スケッチめぐり】EP7 多摩川左岸「約8㎞地点多摩川/約8.6㎞地点矢口/約12.2㎞地点鵜の木」

このシリーズでは多摩川沿いの自然を観察しながらスケッチをしていく様子をお届けします。
今回は「多摩川自然観察スケッチめぐり」の第7回目で河口から約8キロ地点の多摩川、約8.6キロ地点の矢口と、約12.2キロ地点の鵜の木、全て左岸から見た多摩川をスケッチしました。

この辺りが自宅から最も近い多摩川なので気楽な気持ちで出かけました。
お手洗いも家に戻ればいいですしね。

2024年12月28日(土)曇り時々雨
最初は曇っていただけでしたが途中から雨が降り出しました。
こんな日もあるかなということで今日は撤退することにしました。

2024年12月29日(日)晴れ
翌日、よく晴れたので、気を取り直して同じ場所に出かけました。
やっぱり天気のいい日は気持ちいいですよね。
スケッチをしたいという気持ちがむくむく湧いてきます。

二羽のカンムリカイツブリが距離を取って魚を捕っていました。
彼らが潜ると大きな魚が跳ねます。
対岸の競馬練習場に、ホバリングするチョウゲンボウを見つけました。
電線にとまるとすぐにカラスがやってきました。

今回新しい画材を取り入れてみました。
カランダッシュのネオカラー2という水性クレヨンです。
スイスのメーカーで、かなり高級なクレヨンです。
この辺りは汽水域なので、(川の水は)潮の満ち引きの影響を受けてる感じなんです。この日は水が上流に向かって、波打っているような感じがしました。
それを表現するのにこのカランダッシュのネオカラー2を使えないかな?
と思ったんですけど、まだ使い慣れないので微妙なところですね。

20241229_六郷



2025年1月4日(土)晴れ
今日は矢口から見た多摩川をスケッチします。

矢口といえば「矢口の渡し」という名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
私は細川隆の「矢切の渡し」という曲の矢切と矢口を混同して考えていました。「矢口の渡し」は歌舞伎で有名になった場所だそうです。
「神霊矢口の渡し」というタイトルです。
ストーリーは、1358年頃に新田義興は足利氏と対立しており、その勢力争いの中で追われる身となります。
ある時、義興は部下たちとともに船で「矢口の渡し」から多摩川を渡ろうとします。しかし船頭(頓兵衛)が敵方に買収されており、船の上で義興をだまし討ちにして川へ沈めてしまいます。義興の死後その霊は無念を抱えたままこの地にとどまり、人々に恐れられる存在となります。物語の中では義興の忠臣たちが彼の仇を討つために奮闘するシーンや、義興の霊が登場してその怨念を語るシーンが描かれ、悲劇的かつ霊的な要素が強い内容となっているそうです。
私は本格的な歌舞伎は見たことがないんですけどなんか面白そうなストーリーですよね。

けれど、実は今の「矢口の渡し」とその舞台になった場所は違っていて、現在の新田神社付近がその舞台だったそうなんです。
新田神社は、ここから徒歩20分くらい武蔵新田駅の方へ向かった場所にあります。当時の多摩川は今よりずっと蛇行していて、かつて多摩川は「暴れ川」と言われていたそうです。
大きな台風が来ると、その度に大水が出ました。
そして古い地図を見てみたんですけど、ものすごく蛇行していました。
現在も六郷のあたりの川は蛇行していると思うんですけど、それと同じぐらいの蛇行が、もっと至る場所にあった感じです。

絵画にも「矢口の渡し」は登場します。
明治時代の画家和田英作が描いた「渡頭の夕暮」は野良仕事を終えた家族が、渡し船を待つ様子が描かれています。川面に夕焼けが染まる色がとても美しい絵画です。待っている場面というのが面白いと思いました。

他にも川瀬巴水の版画「矢口」は、人工物が船しかないという風景に驚きますし、高橋松亭の版画「矢口」と「都南八景内 矢口之渡し」は民家がありますが、護岸はコンクリートではなくて土で緑が多いです。
そして桜や松もあって、日本の原風景という感じがしました。

渡し船は、昭和24年に多摩川大橋が開通して廃止されたそうです。
当時の渡し賃はなんと一人二銭くらいだったんだそうです。
村民は無料だったらしいです。
外から来た人は少しだけ払ったみたいですね。
しかも船頭さんは村民からの希望者で交代制で働いてたそうですよ。

私が描いた2025年の多摩川を動画で誰かが将来見て、
「こんな橋を車っていう乗り物をわざわざ運転して渡っていたんだよね昔の人は大変だよね」
なんて思ってくれたら面白いですよね。

スケッチをしていたら、目の前を鳥が通りすぎて近くの枝にとまりました。
最近この辺りでよく見かけるノスリの幼鳥です。
ノスリは結構大きな猛禽類なのに、周囲の人が全然気づいていない様子なのがいつも不思議です。
おしゃべりしているママ友三人の頭上の木の上にいたり、ボール遊びをしている親子の横で、ネズミが何かを捕まえるためにふわっと枝から飛び降りたりします。
夫にそのことを話したら「誰も鳥のことなんて気にしてないからね」と言われました。確かにそうですよね。
けれどママ友にはママ友の、親子には親子の、私には私の楽しみがあるのがいいなぁという風に思える今日この頃です。
見えている世界がそれぞれ違うっていうのが面白いですよね。

20250104_矢口

2025年1月5日(日)晴れ
今日は自宅より上流へ向かいます。
鵜の木まで行ってみようと思います。
ガス橋を超えてから、堤防ではなく川のそばを通って行くことにしました。
河口からここまで中洲はないと思いますが、鵜の木には大きな中洲があります。
干潮時には歩いて渡れるほどの浅瀬になるので、犬を散歩させてる人をよく見かけます。
さらに「鵜の木水辺の楽校」という活動もあるようで、親子が集まって多摩川の自然や、生き物に親しんでいるところを時々見かけることがあります。

鵜の木という地名ですが、鳥の鵜の名前がついてますね。
かつてこの辺りの森に、たくさんの鵜が群棲していて、鵜の森と言われていたことから、最終的に鵜の木になったそうです。

ここではまずオスのモズを見ました。砂礫で、虫か何かを捕まえて。枝にとまって食べていました。尻尾を回転させる様子が、なんか満足したような感じに見えました。
それからモズは、ジョウビタキのメスを見つけて、ギチギチ言いながら追い払っていました。
遠いところにノスリを見つけました。木の枝に、マトリョーシカみたいな形のものが見えたので、もしやと思ったらノスリでした。足を伸ばしていました、だるかったんでしょうかね?
最後にイソシギを見ました。木の枝を伝って歩く様子が、可愛らしいです。飛ぶ時は水面をすごいスピードで飛んでいくので、そのギャップがすごいです。

というわけで今回は以上です。

20250105_鵜の木


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